【ニュース】プロジェクション・マッピング協会 逗子市で発足イベント

2011.9.5 UP

逗子小学校の壁全面を使って投影された  
壁面サイズは45m×12mと巨大だ

壁面サイズは45m×12mと巨大だ

PMAJ代表のmichi(石多 未知行)氏

PMAJ代表のmichi(石多 未知行)氏

Mac Book Proなど比較的シンプルな機材で実現できる

Mac Book Proなど比較的シンプルな機材で実現できる

■映像メディアアートと広告の新市場として期待

 経済不況の中で映像制作の市場も冷え込んでいる今日、新たな映像メディアの市場として注目されているのが『Projection Mapping/プロジェクション・マッピング』だ。
 『プロジェクション・マッピング』とは、巨大な建物や様々な物体などの立体物に合わせてCGなどで制作された映像を投影して、その物体の形状に合わせた様々な映像演出を展開することで、物体が本来とは違った物として映し出されたり、物体自体が変化していくように見える、リアルとバーチャルの面白さを兼ね備えた映像表現のこと。
 この日本でもこの夏に、ようやくプロジェクション・マッピング協会(PMAJ)が設立され、そのスタートアップイベントとして今年8月、神奈川県逗子市の逗子小学校、逗子文化プラザで開催された「ZUSHI MEDIA ART FESTIVAL 2011」において、このイベントのハイライトとして逗子小学校の壁全面を使って行われた“プロジェクション・マッピング・ショー「光の物語」”が6日、7日の2日間に渡って行われた。

 これまでもこの『プロジェクション・マッピング』と同じような映像表現は、「ビデオアート」「メディアアート」といった名称で、特に舞台美術の世界などでは以前から頻繁に行われていた。しかし現在行われている『プロジェクション・マッピング』は、それらとはまた違った意味を持つようになってきている。

 例えば広告の世界では、今まさにプロジェクション・マッピングブームとも言える状況がある。この手法を利用して新製品発表や新築建造物などのオープニングイベント、また様々なイメージプロモーション映像に至るまで、ここ3,4年前から欧米を中心に世界で注目されている映像と広告を兼ね合わせ広告手法として注目されているのだ。さらに舞台の世界でも舞台美術の一環として『プロジェクション・マッピング』の手法が以前にも増して取り入れられている。

 これらの映像は、一次的にはそのセンセーショナルなイベントとして、その演出を楽しむことができる。そしてその後、二次的利用価値としてYouTubeやUSTREAMといったネットメディアを中心にその情報が拡大、その映像の強烈なインパクトとともにサブリミナル的に製品や企業イメージを刷り込んで行くという、新たな商品PRやマーケティングの手法としても用いられるようになっている。


■デジタルテクノロジーとの親和性

 さらにプロジェクション・マッピング隆盛の要因として、デジタル機材の進化が大きなバックボーンとなっている。
 制作環境面ではまずコンテンツとなるHDサイズ以上の映像が、デスクトップPC上でも簡単に作り易くなったこと、そしてプロジェクター上映環境も輝度が上がり、安価になり、さらに様々な形状に映し出す特殊機能や複数台を同期させる操作性などもかなり進化したことに起因している。

 以前は筐体が大きく、解像度も低く、さらに輝度も低い(暗い)プロジェクターと高価なVTRデッキ、大仰なPCシステムやビデオプレーヤーを何台も置いて、サイズによってはTV放送の中継車さながらの大量な機材が無ければ実現出来なかったものだ。しかし、今回の逗子でのイベントでは、45m×12mという巨大な学校校舎の壁面へのプロジェクションにも関わらず、出力はMac Book Pro1台に、マルチモニター対応グラフィックボックス『matrox T2G/D』で2台のプロジェクターもパナソニックの業務用プロジェクター『PT-DZ8700』(10600lm)に分配/ブレンドするというシンプルなもの。

 特に最近の業務用プロジェクターの進化は大きく、HD-SDI入力、自動台形補正などは当たり前だが、今回使用された『PT-DZ8700』ではさらに、曲面への投写を簡単に実現する「幾何学歪補正」機能や、複数のスクリーンに映像をシームレスに写し出す「マルチスクリーンサポートシステム」、さらには「複数台輝度コントロール」機能を搭載しており、今回はプロジェクター2台のデータ同期も自動的に合わせてくれるなど、まさに現在行われようとしている様々な形での『プロジェクション・マッピング』に向いた機能も多々兼ね備えている。

 またコンテンツ側の制作環境においてもAutodesk 3ds Maxで制作されたCGアニメーションをAdobe After Effects CS5でVFX処理、さらにそれらをAdobe Premiere Pro CS5でタイムライン編集し、完成したコンテンツは2048×768ピクセル/30fpsのQuickTimeデータに書き出す、という一般に行われているようなデジタルビデオコンテンツ制作そのままのものでも実行可能なのである。もちろん投影されるスクリーンとなる物体に対して、表示するコンテンツの綿密な計算と設計、デザインによる部分はP.M.専門のクリエイターの手腕による所が大きい。


■地方自治体とのコラボレーションによる、新たな映像メディアの可能性
 
 今回逗子で行われたイベントは、子供から大人までが映像をファクターとして楽しく交流するという夏休みイベントという位置づけだったが、この開催にあたって興味深いのは、逗子市という地方自治体が大きく関わっていることだ。昨年夏、日本で初めての大規模な『プロジェクション・マッピッグ』ショーとして、同じ会場を利用しての「ビジュアルライトショー」と称した同様のイベントが行われている。このショーを目の当たりにした逗子市長を始めとする役場関係者が、このプロジェクション・マッピングの可能性と魅力を理解し、今回の規模拡大による映像フェスティバル開催へとつながった。

 今年の本格的なイベント開催について、PMAJ代表のmichi(石多 未知行)氏は、これまで空間デザインなど世界からこの『プロジェクション・マッピング』の世界にたどり着いた。
「このところ日本でもようやく『プロジェクション・マッピング』という手法が認知されてきましたが、海外では数年前から新たな映像表現、そして広告手法としてのプロジェクション・マッピングが大きく注目されています。しかし日本では都市部での街灯の数や、上映時消灯に関する管理/管轄の問題など様々な規制も多く、プロジェクション・マッピング・ショーを行うには多くの問題があります」
 「こうした問題を乗り越え、映像クリエイターにこの新たな表現方法を開放し、また多くの方に理解して頂く目的もあり、今回「プロジェクション・マッピング協会」を立ち上げました。今回の逗子市のように、地方自治体と教育機関、関連施設のご協力によって『プロジェクション・マッピング』イベントが実現したことは、新たなメディアアートの認知と、新しい映像アートを通じた地方からの発信という意味でも大きいと思います」
 「今後プロジェクション・マッピング協会では、制作相談や支援、ショー開催などの運営だけではなく、制作に関するテクニックをはじめ、プロジェクション・マッピングを開催するにあたっての施設利用事情、法的な問題、電気技術的な知識など様々なノウハウの蓄積と、セミナーなどを通じてのこれらの情報公開に務めて行きたい」と語る。

 今後は地方自治体のコラボレーションイベントなどで、町おこし事業や活性化イベントなどでの利用など、様々な可能性が考えられる。映像制作と新たな市場として、また映像クリエイターの活躍出来る次のフィールドとして、プロジェクション・マッピング拡大の動向に注目だ。

プロジェクション・マッピング協会
http://www.projection-mapping.jp/

E-Mail: info@projection-mapping.jp
TEL:046-897-6179(逗子事務局)

壁面サイズは45m×12mと巨大だ

壁面サイズは45m×12mと巨大だ

PMAJ代表のmichi(石多 未知行)氏

PMAJ代表のmichi(石多 未知行)氏

Mac Book Proなど比較的シンプルな機材で実現できる

Mac Book Proなど比較的シンプルな機材で実現できる

#interbee2019

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