【SIGGRAPH 2011】SIGGRAPHにおける注目論文(3)炎が燃え盛る”音”を生成〜12月 香港開催のSIGGRAPH ASIAへ向け〜

2011.10.29 UP

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■発火時の音を生成するシミュレーション
 流体シミュレーションのセッションの最後を飾ったのは、炎のCGシミュレーションをもとにして物理的に正確な “発火音”を生成する手法だ。
 発火を伴う炎のシミュレーションはCG流体シミュレーションの中でもひときわ難易度が高いうえ異なったタイプのアルゴリズムが複数存在するのだが、ここではそれらすべてのアルゴリズムに対応できるようにCGシミュレーションの結果から発火音の源となる境界面(気体燃料とこれが酸素結合して発生する高温ガスとの境界)の動きをうまく抽出している。

 音の生成においては、まずは上記の境界面の形状とその各部分の速度を用いて物理的に正確なサウンドレンダリングの手法で大雑把(低周波数)な音を生成し、次に実際に計測された音をトレーニング・データーとして、ちょうどCGレンダリングにおけるテクスチャ処理と同様のアプローチで、周波数のより高い音のディテールを加えてゆく。

 グラフィックスの分野の考え方を物理的に正確な音の生成にうまく取り入れている点が大きな特徴といえる。手法を発表したのはコーネル大学のサウンドレンダリング・チームだ。一昨年の“水”、昨年の“破壊”、今年の “炎”に続いて、現在はキャラクターが纏っている“衣”がつくりだす音の生成に挑戦しており
すでにかなり満足できる結果が得られているそうだ。

【画像説明】(上=画像(a)、下=画像(b))
 “発火音”とは、気体燃料が酸素と結合して高温のガスに変化する際に起きる急激な密度の変化がつくりだすノイズに相当し、この密度の変化は気体燃料と高温のガスの境界面(flame front)における気体燃料の速度に比例するということがわかっている。
 したがって、ここでは炎のCGシミュレーションの結果をもとにして境界面の動きを抽出し(図a)、この境界面に垂直な方向に向かう流体の速度を用いて発火音を算出する。(図b)上段はドラゴンが口から火を噴くアニメーションを炎のCGシミュレーションを用いて作成したもの、下段は上記の手順でその音を生成した結果を示している。

(c)2011 ACM, Inc.
論文“Animating Fire with Sound”
(Jeffrey Chadwick and Doug L. James, Cornell University)より

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#interbee2019

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