【ハリウッド報告】全米で「トイストーリー」、「トイストーリー2」の3D立体版が2週間限定で"ダブル・フィーチャー"公開

2009.10.9 UP

L.A.市内の大看板
エルキャピタンシアター

エルキャピタンシアター

ポップコーンのおまけつき

ポップコーンのおまけつき

上映前に行われるオルガン演奏

上映前に行われるオルガン演奏

<<人気CGアニメシリーズの立体版をダブルフィーチャーで>>

 ピクサーの3DCGアニメーション映画「トイストーリー」(95年)、「トイストーリー2」(99年)の3D立体版が、10月2日から特別上映という形で公開されている。2週間限定という特別企画だ。全米1,745館で、立体映画としてのみ上映している。
  "ダブル・フィーチャー"と銘打ち、1枚のチケットで2本を続けて鑑賞できる。”「トイストーリー」ファン”にとっては、まさに"垂涎モノ"のリバイバル公開である。


<<ハリウッドのエル・キャピタン・シアターでは特別な演出>>

 今回上映されている1,745館の中でも、ハリウッドにあるエル・キャピタン・シアター[El Capitan Theater] は、おそらく全米で最も気合の入ったスタイルで上映されている。

 世界的に有名なチャイニーズ・シアターの斜め前にあるエル・キャピタンは、ディズニー直営映画館として、ディズニー作品を専門に上映するハリウッドでも珍しい映画館だ。

 通常はディズニーの最新劇場公開作のほか、過去の名作のリバイバル上映を頻繁に行う事でも知られている。最近では「白雪姫」(1937年)のデジタル・リマスター版が公開されており、この秋にはハロウィン・シーズンに併せて「ナイトメア・ボフォア・クリスマス」の3D立体版なども上映される予定だ。

 エル・キャピタンでは、上映前にディズニー作品の名曲の数々がオルガンの生演奏によって披露される。今回も、「トイ・ストーリー」の曲を含め、多くの曲が演奏された。
 その後、「トイ・ストーリー」のキャラクターが出演するミュージカル・ショウが上演され、ハリウッドにいながらディズニーランドさながらの豪華なショウが楽しめる。
 指定席で$24.00のVIPチケットを購入すると、ポップコーンとドリンクが”おかわり自由”で付いてくる。

 筆者が「トイ・ストーリー」のダブルフィーチャーの鑑賞に、そのエル・キャピタンを訪れたとき、場内は完全に満席で、多くの家族連れで賑わっていた。

 映画2本分の上映となるため、3時間近くかかる。1作目と2作目の間には10分間の休憩が挟まれ、休憩中にはスクリーンに「トイストーリー」関連のクイズが出題されるなど、待ち時間中も観客を徹底的に楽しませる心にくい演出が行われていた。
 エル・キャピタンでは、RealD方式による立体上映が行われていた。


<<ピクサーが3D版を再レンダリング オリジナルを忠実に再現>>

 今回の「トイストーリー1&2」の3D立体版は、2Dからの変換処理による擬似的な立体視化ではなく、レンダーマン上で右目&左目のカメラを設定し全コマを再レンダリングしなおすという、正確な「3D化」が行われている。また、話題作のリバイバル上映によくあるような、追加ショットや部分的な変更などは一切加えておらず、オリジナル作品公開時の映像をそのまま立体化している。
 
 立体化の過程で、最新シェーダーやレンダリング・テクニックを駆使して、絵のクオリティを向上させることに取り組んでいるという。

 立体視の設計は、いたずらに画面から飛び出すスタイルではなく、スクリーン面からの奥行きを強調しており、映画館で2本連続で鑑賞しても目が疲れなかった。

 バズ・ライトイヤーの頭部の透明なヘルメット部分がクローズアップ・になるショットでは、画面の広い範囲に屈折や反射が及ぶと、立体視がややしずらい箇所が1~2ショット見受けられたが、それ以外はほとんど立体視や視差の問題は気にならなかった。



<<テクノロジーの進化が生んだ立体版>>

 「トイストーリー2」は、かれこれ10年前の作品、「トイストーリー」に至っては14年前の作品である。

 1作目当時のレンダリング時間は1フレームあたり2~15時間を費やしたそうだが、現在の大規模プロダクションには不可欠の「レンダー・ファーム」が世界に先掛けて導入されたのも「トイストーリー」だった。
 サン・マイクロシステム製の100台以上のレンダー・クラスターがフル稼働したことも、当時は大きな話題の1つとして注目されたものだ。

 9月4日付のウォールストリート・ジャーナル紙でも、「『トイストーリー』制作当時は1フレームの計算に1時間以上かかった計算も、今では瞬時に終わる時代となった」というジョン・ラセター氏の談話を紹介していたが、今回の立体化作業には果たしてどの位の時間を費やしたのだろうか。

 この立体化は、専門チームを立ち上げ、最新設備の元に進められたが、それでも過去のデータを掘り起こし、最新のレンダーマンで計算できる状態まで持っていくのに約4カ月、右目左目の立体視画像のレンダリングに(各作品で)6ケ月づつを費やしたそうで、テクノロジーが進化したと言えども、かなり大変な作業だった事がうかがえる。

 ちなみに、今回の3D立体版のエンド・クレジットは、その立体化専門チームのクレジットが追加されているが、それ以外は昔のままで、サン・マイクロシステムズに加え、シリコン・グラフィックスなどの社名も当時のまま登場しており、懐かしさを感じさせられた。


<<「トイストーリー3」のプロモーションも兼ねた、今回の3D立体リバイバル>>

 今回の特別上映は、来年の6月18日に全米公開を控えている「トイストーリー3」のプロモーションも兼ねているという。

 「トイストーリー3」の予告編は今回、本編の上映前に立体で登場し観客を喜ばせたが、3作目はIMAXシアターでの立体上映を考慮し4K解像度でレンダリングされる予定だという。公開が今から大変楽しみである。

 このように、話題性充分の「トイストーリー」&「トイストーリー2」の3D版。日本では、まだ少し先ではあるが、来年5月からの公開が予定されているという。

エルキャピタンシアター

エルキャピタンシアター

ポップコーンのおまけつき

ポップコーンのおまけつき

上映前に行われるオルガン演奏

上映前に行われるオルガン演奏

#interbee2019

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