【SIGGRAPH 2011】SIGGRAPHにおける注目論文(6)映像制作にも浸透するGPUレイトレーシングツールOptiX〜12月 香港開催のSIGGRAPH ASIAへ向け〜

2011.10.29 UP

OptiXを用いたレンダリングの比較

■GPUを活用したプロダクションワークの効率化
 GPUを活用したプロダクションワークの効率化というテーマはこのところ毎年のようにSIGGRAPHでプレゼンされてきたが、今年は非常になじみ深い市販ツールにもその影響が出始めていた点が印象的だった。

 昨年のSIGGRAPHにおいて論文発表を伴ってデビューしたNVIDIA社のGPUレイトレーシング・ライブラリOptiXにもこの傾向が見られた。GPUレンダリングというと“高速だが精度は低い”という印象を与えがちだったが、NVIDIA社はそういった印象を一掃すべくARC(Advanced Rendering Center)を立ち上げた。ARCとは、NVIDIAが社内に開設した"新部門”だ。この新部門は、これまでのGPUが扱ってこなかったような
高度なレンダリグ技術にGPUを浸透させてゆく試みを託されている。メンタルレイのGPU版やOPtiXの開発なども、この部門がおこなってゆくことになった。

 NVIDIAが開発した技術を導入することによって、これまでハイエンドCGが実現してきたものに匹敵するクオリティの映像制作をさまざまな産業分野に広く浸透させてゆきたいという願いがあるようで、OptiXはその旗頭ともなっている。
 映画制作でおなじみのメンタルレイもメンタルイメージ社からNVIDIA ARCの手に渡り、現在GPUによる高速化の一環としてOptiXの導入が進められている。

■AdobeもOptiXを導入か
 AdobeもAfter EffectsでOptiXを導入するリサーチ・プロジェクトを進めている。SIGGRAPH2011のNVIDIAブースでおこなわれていたAfter Effectsのデモには、OptiXでレンダリングした映像も含まれていた。
 このプロジェクトはOptiXのモーション・グラフィックスにおける潜在性の発掘という側面も持っており、Adobe・NVIDIAの両社にとって意義あるプロジェクトとなっているようだ。After Effectsの競合にあたるNukeでも、目下最も重点がおかれているのはGPUの導入だという。ハリウッド映画に欠かせない存在となったNukeだが、映画制作のおいては、最終映像の作成に先立って際限のない試行錯誤がつきものだ。
 このように、一見するとゲーム向けツールのように見えるOptiXだが、NVIDIAはこれをメンタルレイやAfterEffectsといった映画制作の実用ツールでの活用もにらんでいる。

 近年ではこうした制作段階で試行錯誤をする時点での映像と最終映像との間に、解像度・画質的には隔たりのないことが求められるようになってきており、GPUを導入した高速化はまさにこれを目的にしている。
 すべてをGPUでというわけではなく、CPU/GPUのハイブリッドな構造が考えられているそうで、見通しとしてはまずは映画制作向けの開発に積極的なNVIDIAが候補にあがっているが、長期的な展望としてはAMDなど他のベンダーとのコラボレーションも視野に入れられているようだ。

【画像説明】
 論文発表を伴った昨年のSIGGRAPHデビューから一年、今年は実用化を意識したアピールが多かったOptiX。目下OptiXを導入してメンタルレイやAfter Effectsを高速化するプロジェクトが展開されている。画像はメンタルレイによるレンダリング結果(左)と、レイトレーシングの工程にOptiXを導入して高速化を図ったレンダリング結果(右)で、OptiXを導入することによってほぼ同じクオリティの画像が18倍の速度で算出できることを示している。OptiXは今年下半期にリリースされるバージョン2.5ではそれほど大きな動きはないようだが、来年上半期にリリース予定のバージョン3.0では新たなアーキテクチャーに対応すべく大幅な改良が見込まれている。
(c)2011 NVIDIA

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