【ニュース】エド・キャットマル博士、第8回VESアワードにて特別賞の授与が決定

2009.7.28 UP

ピクサー社長のキャットマル氏の長年の功績が評価

 ロサンゼルスに本部を置くビジュアル・エフェクツ・ソサエティ(VES/全米視覚効果協会)は7月、2010年2月28日にロサンゼルスで開催予定の第8回VESアワード授賞式において、エド・キャットマル博士(=写真)の長年の実績及び功績を称え、特別賞であるジョルジュ・メリエス賞(Georges Melies Award)を贈る事を発表した。キャットマル氏は現在、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーションの社長を兼任している。
 ジョルジュ・メリエス賞は、「科学、芸術の両面において、VFX業界に著しく貢献してきたパイオニア」に対して贈られる賞。映画黎明期にSFX技術を開発したパイオニアでもあり、映画『月世界旅行』で有名なフランスの映画製作者ジョルジュ・メリエス氏(1861-1936)から由来している。
 同賞はこれまで、故ロバート・エイブル、フィル・ティペット氏、そしてジョン・ラセター氏などのパイオニアに大して贈られてきた、栄誉ある特別賞だ。
 エド・キャットマル博士はCG研究のパイオニアとして、"ユタ・ティーポット"で知られるユタ大学や、ニューヨーク工科大学での研究を経て、ルーカス・フィルムへ移籍。同社コンピューター部門の副部長として活躍した後、ピクサーの設立とレンダーマン開発に携わり、一貫してCGテクノロジーの発展と共に歩んできた人物である。
 VES代表であるエリック・ロス氏は、今回の賞の授与の意義について「エド・キャットマル博士は業界の発展に大きく貢献してきました。博士は、まさにパイオニアの"巨人"の1人として、私達の業界を常に新しい方向へと導いて来ました」と述べた。
 VESチェアであり、VFXスーパーバイザのジェフ・オークン氏は「エド・キャットマル博士は、殆ど彼の手1つでソフト&ハードの両面から、創造を成し遂げて来たのです。それはVFX分野だけでは終わらず、ゲーム業界やコンピューター・アニメーション業界にも計り知れない恩恵を残しました。彼の偉大なる功績には、感謝の念を堪えません」と感慨深げにコメントをしている。
 キャットマル博士は、今回の授与決定について、次のようなコメントを発表した。
 「私はこれまで、アートとテクノロジーの融合が『映画制作における表現の限界を押し広げる為の、大きな鍵になる』、と常に信じて来ました。この度、VESからジョルジュ・メリエス賞の栄誉に授かる事を、この上なく光栄に思っています」
 キャットマル博士は、過去にも数々の賞を受賞。1993年にACM SIGGRAPHより「CG界のノーベル賞」と謳われるスティーブン・A・クーンズ賞を受賞したのを始め、これまでにアカデミー科学技術賞を含む5つのアカデミー賞を受賞。2009年2月には映画業界で優れた技術的功績を残した人物に贈られる、ゴードン・E・ソーヤー賞を米国映画芸術科学アカデミーから受賞した。
 第8回VESアワード授賞式は来年2月28日、ハイアット・リージェンシー・センチュリー・プラザ・ホテルにて開催される予定。20以上の専門カテゴリに分かれた、各最優秀VFX作品の授賞式、そして特別賞などの授賞式が行われる。
 VESアワードには日本からも応募が可能な事は、意外と知られていない。ちなみに今年は映画「山のあなた」のミニチュアワークで、マーブリング・ファインアーツ社がVES史上初めて日本からミネートされた快挙を成し遂げたのは記憶に新しい。
 日本からも、奮っての応募を期待したい。 (鍋潤太郎)

※VESとは:
 VESは「Visual Effects Society」(全米視覚効果協会)の略。全米監督協会、脚本家協会、俳優協会等と並ぶ、ハリウッドの数ある映画ギルドの1つである。ハリウッドを中心とする映画&テレビ等の映像業界における視覚効果産業に従事するプロフェッショナル達で構成される、「VFXのプロの、プロによる、プロの為の協会」である。
 協会の設立は97年。現在の会員数は米国の会員を中心に約2,000人。メンバーは年々増え続けており、世界最大規模のエフェクト業界のギルドである。
 会員になるには、最低5年間の現場経験を有する事が条件とされている。現役会員2名の推薦が必要とされ、最終的には年2回だけ行われる理事会の承認が必要となる。

VESのサイト:http://www.visualeffectssociety.com/
VESアワードのサイト: http://www.vesawards.com/

#interbee2019

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