【InterBEE2010】ヤマキ電気やフォービットがITU-T BS.1770とEBU-R128/TECH3341対応のラウドネスメータ製品を展示

2010.11.21 UP

ヤマキ電気ブースの様子
ヤマキ電気のラウドネスメータ製品

ヤマキ電気のラウドネスメータ製品

フォービットブースの様子

フォービットブースの様子

フォービットのラウドネスメータ製品「ML-860」

フォービットのラウドネスメータ製品「ML-860」

 日本ラウドネス協議会参加メンバーであるヤマキ電気とフォービットが、InterBEE2010において、現在注目されているラウドネスメータ製品を出展した。

 デジタル放送の普及にともない、チャンネル間、番組間、番組とコマーシャル間でオーディオ音量が大きくなる音量差が大きな問題となってきた。主に使われているオーディオメータはVU計やピークメータで、「電圧」をそのまま測定した電圧計であり、人間が感じる実際の「音の大きさ」や「聞こえ方」とは必ずしも一致していない。そこで、人の感じる音の大きさを示す新しい指標として、「ラウドネス値」が登場した。なお、ITU-Rでは、ラウドネスレベルの単位としてLKFS(Loudness, K weighted, relative to nominal full scale)を使う。

 このデジタル放送で許容されるラウドネス値に関する国際標準規格として、ITU-R BS.1770/1770-1/1771およびEBU-R128/TECH3341があり、ARIBにおいても、来年の春頃にITU-Rに準拠した国際基準に沿った標準規格が策定される予定だ。


■ ヤマキ電気は、ITU-R Bs.1770に準拠したラウドネスメータ3製品を展示

 「YLM-D102」は、ITU-R BS.1770に準拠したラウドネスメータで、AES入出力を持つ。ラウドネスレベルは、ch1がショートタームラウドネス、ch2がモーメンタリーラウドネスをバーグラフメータ、ロングタームを数字で表示する。また、バーグラフメータは前面スイッチでショートターム表示、モーメンタリー表示のみにすることも可能だ。価格は、195,800円(税抜き)。

 「YLM-M208」は、「YLM-D102」と同様にITU-R BS.1770に準拠したラウドネスメータで、AES入出力とHD/SD-SDI入力を持つ。ラウドネスレベルはモーメンタリーレベルを7ch・8chバーグラフに表示する。また、ラウドネスレベル以外に通常のUVメータとしても利用できるため、ヤマキ電気計測事業部技術部の河合大輔氏は「マスター監視メータとして利用できる」と説明した。価格は、49万円(税抜き)。

 「LLM-mini㈼」は、ITU-R BS.1770に準拠し、インテグレイトラウドネスに特化したラウドネスメータ。背面D-subコネクタを接続することで、インテグレイトラウドネスの「スタート」「ストップ」操作、ラウドネス値の取得が可能。価格は、88,000円(税抜き)。

 河合大輔氏は、「ロングタームは、「START」「PAUSE」のボタン操作で、その時間分を測定できる」と説明した。また、河合大輔氏はラウドネスメータの利点として、「現状のデジタル放送では音声基準レベルとして1KHz/+4dB信号に対し-20dBFS、-18dBFSと規格はあるが、実際の音が大きく聞こえる、小さくて聞こえない等は規格化されていない。しかし、ITU-RのBS.1770やEBU-R128/TECH3341は、ターゲット値を定めている。」という。


■フォービット NHKからの依頼で開発したラウドネスメータ「LM-860」を展示

 LM-860は、ITU-R Bs.1770とEBU-R128/TECH3341に準拠したラウドネスメータで、ITUとEBUのラウドネス値を切り替えてリアルタイムに表示が可能。また、VUドライブ機能によるVU計駆動が可能で、既存のVU計と組み合わせて利用することができる。また、外部GPI入力/TLC時間情報によるロングターム計測のSTART/STOP機能も提供する。ラウドネス計測値の表示は、SDI/DIGITAL/ANALOGから任意の入力信号を選択して、ラウドネス計測値を表示するほか、ピーク値も表示する。本装置は2010年11月下旬発売する予定で、標準価格は¥682,500(本体価格¥650,000)。

 LM-860のインタフェースは、HD/SD-SDI入力を1系統、HD/SD-SDIスルー出力を2系統、デジタル入出力(アンバランス)を8系統、アナログ入出力(XLRのバランスステレオ L/R)各1系統搭載する。また、入力信号のエラー監視やタイムスタンプ付きエラーログ記録、測定したラウドネスログのRS-422インタフェースによるデータ出力機能もある。

 本製品は、「NHKからラウドネスメータの検証機制作の依頼があり本製品を開発した。検証用ということもあり、パラメータを変更できるようになっている」とフォービット常務取締役技術部長の山内浩之氏は説明した。また、「ITU-Rもモーメンタリー値(リアルタイムに近い感覚の積分レベル平均値)の基準時間が決まるのが年末であり、またEBUも無音の範囲やオーバーラップの規定が変更される予定であるが、パラメータの変更が容易になるように設計しているので、決まればバージョンアップで対応できる」と説明した。

 この他、同社ではARIB規格が策定する予定の来年春に、SDIインタフェースはオプション、6チャンネルのデジタル入力の「LM-06」を発売する予定とのこと。

 この他、アストロデザインがラウドネスメータ対応オーディオモニタ「AM-3800-A」やヒビノインターサウンドがDK-Technologies社のRLB-LUメーター、テクノハウスがDTS Neural Technologies社の「 Loudness Meter iLM8」を出展していた。

ヤマキ電気のラウドネスメータ製品

ヤマキ電気のラウドネスメータ製品

フォービットブースの様子

フォービットブースの様子

フォービットのラウドネスメータ製品「ML-860」

フォービットのラウドネスメータ製品「ML-860」

#interbee2019

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