【ニュース】第3回映像ビジネスサロン〜3Dデジタルの現状と川崎における展開

2009.8.4 UP

会場となったミューザ川崎ホール
日本ビクターの46V型フルハイビジョン3D液晶モニ

日本ビクターの46V型フルハイビジョン3D液晶モニ

米ニューサイト・ジャパン社のディスプレー

米ニューサイト・ジャパン社のディスプレー

パネルディスカッション(左から、渡部氏、泉氏、磯部氏)

パネルディスカッション(左から、渡部氏、泉氏、磯部氏)

官民共同による映像文化の振興・発展を掲げる川崎

 JR川崎駅西口、大規模開発されたミューザ川崎のホールにて7月6日「映像の町・かわさき」推進フォーラム”主催による 『第3回映像ビジネスサロン~3Dデジタルの現状と川崎における展開』が開かれた。先進のシネコン、専門学校、ミュージアムなどが集約する川崎市は、官民共同による映像文化の振興・発展を掲げ、地域と連携した「まちづくり」を積極的に推進している。HDによる放送・映画製作と並び、近年急速に実用化が進められているのが3D映像だ。

<メガネなしの3Dも>
 会場にはメーカーによる展示・デモンストレーションが行われていた。日本ビクター(JVC)の46V型フルハイビジョン3D液晶モニターは専用の円偏光メガネを掛けて鑑賞する仕組み。映画やコンサートなど、ある程度斜めから眺めても自然な立体画像が楽しめるので家庭での普及が期待できる。米ニューサイト・ジャパン社のディスプレイは、偏光フィルターをモニター前面に貼ることで、メガネなしで3Dが体感でき、広告用途としてのプレゼンテーションが可能だ。

<3Dは新しい産業育成のチャンス>
 パネルディスカッションでは進行の渡部健司氏(デジタルキャンプ!デジタルコンテンツプロデューサー)、泉邦昭氏(3Dコンソーシアム事務局長)、磯部なつみ氏(日本BS放送株式会社 3D立体放送ディレクター)の3氏による「3D立体映像の現状と展開」についての説明、抱負と期待が話し合われた。満席の会場からは関心の高さが伺われた。
 3D映像の技術自体は既に40年以上に渡る開発の歴史がある。しかし製作から配給までのフローが定まらず、それがようやくデジタル領域でのブレークスルーによって一気に身近な存在になった。本年末から来年にかけジェームス・キャメロン監督最新作を筆頭に、多彩なソフトが主としてハリウッドから日本市場に流入してくる。「映像のまち・かわさき」ではこうした動きにいち早く連動し、シネコンには全国初の最新鋭デジタル映写機を導入し上映環境を整備しつつある。「日本オリジナルの3Dコンテンツも今後、製作・発信していきたい」と泉氏は語る。如何にして予算を確保しそして還元していくかがポイントだという。デジタルBS11での3D放送枠で他局に先駆け番組制作を進める磯部いずみ氏からは「ただ(映像が)飛び出して驚かせるというものではなく、臨場感はもちろん見る人の感情に訴えかけられるような使い方」の提言がなされた。問題はコストである。IMAXや3Dが映画鑑賞の選択肢のひとつとして当たり前に認知されている米国と、産業・市場構造も一般ユーザーの関心も異なる日本とでは単純に比較できない。参加者からはプロデュース力の差について疑問を投げかけられる場面もあった。推進フォーラムとしては“不況のただ中にある今こそ新しい産業育成のチャンス”だとしてアピールを行った。

<柔らかい3Dの議論も必要>
 「メーカー、配給会社、映像制作プロダクション、放送メディア、劇場興行者、そして自治体や政府機関がスクラムを組んで、地域住民や映像を志す若い世代を取り込んだプロジェクトを立ち上げていきたい」(前述、泉氏)。渡部健司氏からは、「これでもかという嚇かせる3Dはもう古くなりつつあり、これからは“柔らかい3D”や“温かい3D”といった時代に入ってきている。いきなり飛び出していなくても映像を節度よく表現してみんなの印象をよくすることが3Dに新たな可能性をもたらすことになる。そのあたりが日本の場合あまり議論されていません」とのコメントがあった。
 完全デジタル移行を目前にした日本では確かにタイムリーな試みであろう。映像文化の新しい波が、ここ川崎から全国、そして世界にどのように広がっていくか。今後の動向に注目したい。

「映像の町・かわさき」推進フォーラム事務局
〒210-0007川崎市川崎区駅前本町11-2(川崎商工会議所内)

日本ビクターの46V型フルハイビジョン3D液晶モニ

日本ビクターの46V型フルハイビジョン3D液晶モニ

米ニューサイト・ジャパン社のディスプレー

米ニューサイト・ジャパン社のディスプレー

パネルディスカッション(左から、渡部氏、泉氏、磯部氏)

パネルディスカッション(左から、渡部氏、泉氏、磯部氏)

#interbee2019

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