【NEWS】価格1000ドルの4Kプレイヤー登場、Google、LGからはデジタルサイネージ向けOS、STBが出展 米国Digital Signage EXPO 2014レポート

2014.2.27 UP

(左)パナソニックのトランスコーダーボード、(右)WiGigを使って動画コンテンツをKIOSKから高速ダウンロードのデモ

(左)パナソニックのトランスコーダーボード、(右)WiGigを使って動画コンテンツをKIOSKから高速ダウンロードのデモ

上段左から、LGブース、サムソンとPLANARの85インチ4K製品。下段右からNEC、シャープ、PDCブース

上段左から、LGブース、サムソンとPLANARの85インチ4K製品。下段右からNEC、シャープ、PDCブース

中央はクリスティブース、右はクリスティ84インチ4K、左はD3ブース(手前は4K製品)

中央はクリスティブース、右はクリスティ84インチ4K、左はD3ブース(手前は4K製品)

左からASUS製Chromebox、CMS画面、webOS for Signageの特徴紹介

左からASUS製Chromebox、CMS画面、webOS for Signageの特徴紹介

 デジタルサイネージの世界最大の展示会「Digital Signage EXPO 2014(DSE)」が今年も米国ラスベガスで2月11日から13日まで開催された。筆者は5年連続の参加となるが、今年はデジタルサイネージにとっての変革の年になる印象を持ったのでレポートしたい(上写真=左がBrightsignの4Kプレイヤー。右がAXIOTEKの4Kプレイヤー)。
(デジタルメディアコンサルタント/合同会社江口靖二事務所 江口 靖二)

 DSEは基本的にはハードウエア展示会の要素が強く、コンテンツ配信システムから再生プレイヤー、表示ディスプレイ、取り付け金具やケーブルなどをひと通りカバーしている。ハードウエア以外のコンテンツや、マーケティング関連企業の出展やカンファレンスは、年々減少傾向にある。

■4Kデジタルサイネージの課題〜プレイヤーとディスプレイ
 CES2014がすっかり4K一色であったのと比較すると、DSEはそこまで明確に4K化がアピールされていたわけではない。4Kサイネージ実現のための課題は、放送と同様に、制作、伝送、表示の各レイヤーで徐々に解決しつつある。ほとんどのデジタルサイネージでは、ファイルをあらかじめダウンロードしてから表示させるので、4K化によるファイルサイズの増加は伝送上さほど問題ではない。課題は4Kを再生させるためのプレイヤーと業務用の4Kディスプレイである。
 デジタルサイネージで4Kを再生させるための方法は、パソコンに高解像度のグラフィックボードを挿すか、一部にある4Kに対応できるスペックのプレイヤーを使うことになる。前者はコストや設置場所の問題などがあり、後者はまだ選択肢が多くはなく、これまではREDの4Kプレイヤーである「REDRAY」が多く使われることが多い。また業務用仕様に対応した4Kディスプレイは非常に選択肢が少ない。最近では4K民生テレビに搭載されているアップスケーリングエンジンの精度が年々上がっているが、業務用ディスプレイにはこうした機能は搭載されておらず、今後各社がどう対応するのか注目される。

■BrightsignとAXIOMTEKから4Kプレイヤー
 4Kプレイヤー関連では、今回のDSEでは、新たにBrightsignとAXIOMTEKから4Kプレイヤーが展示された。Brightsignの4Kプレイヤーは価格が1000ドルで、4K60Pに対応。同社のCMSで制御が可能。今回のDSEで最も注目を集めていたハードウエアで、今年の第三四半期に出荷される予定。ただし、デモに使用しているディスプレイのサイズが32インチと小さく、決して高画質のものではないことや、コンテンツもサイネージとしては適切ではないので画質評価ができかねるのが残念である。4Kサイネージはやはり60インチ以上で本領を発揮するものであるので、このデモでは判断できない。
 台湾のAXIOMTEKの4Kプレイヤーは4K30Pまでに対応。価格は1000ドルを切るとのこと。こちらは60インチディスプレイで表示させており、画質はまずまずだ。
 
■パナソニックからは再生用トランスコーダー
 こうした4Kプレイヤー向けに、パナソニックはトランスコーダーLSI「ProXstream PH1-Pro4」とボードを出展。同LSIは日本未発売のソニーの4Kプレイヤー「FMP-X1」にも搭載されているということで実績もある。デモでは試作ボードに実装させて4K30Pを表示させていた。このLSI自体は以前からあるものだが、今回はデジタルサイネージ市場での4Kニーズの高まりを受けての出展のようだ。

■新たな高速WiFi規格製品でサービスを提案
 またパナソニックは、新世代の高速WiFi規格であるWiGig(802.11ad)を利用した高速ファイル伝送のデモを行った。WiGigは60Ghz帯を利用して最大6Gでの伝送が可能とされるが、伝送距離が現時点では10mと制約がある。現地ではKIOSK端末で映画などのコンテンツを購入し、手元のスマートフォンにWiGig経由でダウンロードする想定のデモを行った。
写真5766 パナソニックのトランスコーダーLSI  PH1-Pro4搭載のサンプルボード
写真5762 WiGigを使って動画コンテンツをKIOSKから高速ダウンロード。KIOSKから端末の上に付いているのがUSB接続の通信ユニット。スマートフォン側は本体裏側にある

■PLANARが32点タッチパネル
 ディスプレイ関連では、LGはCESで出品したものと同じく98インチ、105インチ21:9の湾曲とフラットパネルの4Kディスプレイを展示した。これら製品は98インチを除いてカテゴリー的には業務用ではない。湾曲ディスプレイはあくまでもフラッグシップ民生機であって、デジタルサイネージを想定しているものではないとのことだ。
 サムスンは85インチの4Kディスプレイを展示。LGと比較するとデジタルサイネージの4Kシフトがテレビほど鮮明ではない印象だ。
 PLANARは84インチの4Kを通常のサイネージ利用に加えて、32点タッチのタッチパネル、テーブルのような平置きにした同じく32点タッチパネルを展示。この4Kタッチパネルの反応速度が極めて速いのが特徴である。またマルチディスプレイソリューションである「MOSAIC」も展示した。

■シャープ デルタ航空などの各種事例を紹介
 NECは高輝度のプロジェクターが展示の中心であるが、HDディスプレイ4面で構成された4K表示を展示した。CSEで4Kサイネージを大々的に展示していたパナソニックは、DSEでは4Kに関する展示はなかった。昨年からDSEに出展しているPDCは、同社のサイネージシステムである「AFFICHER」を展示。HDディスプレイ6面による6Kマルチスクリーンシステムをアピールした。同社は北米にも営業拠点を設置して、米国内の営業展開を開始している。シャープブースはショーケースの構成になっていて、デルタ航空の事例と、さまざまな店舗での具体的な使用例で構成されていた。
 SCALAもショーケース展示。数年前はエントランス付近にあったブースが年々奥の方に移動している。
 CHRISTIEも84インチの4Kディスプレイを展示。また同社の四角いディスプレイである「MicroTiles」を利用したマルチディスプレイも展示された。
 D3というブランドで展開しているのがEdge I&D社。今回DSEで初めて知ったが、タッチスクリーンや大型タブレットなど、ハードウエアとコンテンツを両方トータルデザインするのがコンセプトのようだ。4Kサイネージも展示があった。

■広がるデジタルサイネージの4K化
 これらから言えることは、デジタルサイネージの4K化は、北米においてはテレビほどではないが広まりつつあり、この4Kといってもい、1枚のディスプレイに4Kを表示する場合と、複数のディスプレイで4K以上の表示を行うケースの両方があるということだ。後者の形はサイネージならではの使い方であり、より大画面化が求められるような場面が増えていくであろう。これには狭額のベゼルの浸透が影響している。

■Google、LG、デジタルサイネージ向けのOS、STBを提供
 ここまではハードウエアをレポートしたが、今年のDSEの最大注目ポイントは、GoogleのChromeboxとLGのwebOSをデジタルサイネージに利用するという話である。
 ChromeboxはChrome OSで動作するSTBである。会場ではASUS製のChromeboxでデモを行った。CMSはHTML5のWEBベースである。ASUSのChromeboxは179ドルで、CMSは年間で1ボックス165ドルである。これによってWEBバナー広告や、WEB上でのディスプレイ広告などとの連携が容易になる。
 またLGは、CESで発表したwebOSを搭載したテレビで動作する「webOS for Signage」を展示した。webOS搭載テレビ上でサイネージアプリを動かすことで、外部のメディアプレヤー機器が不要になる。HTML5とCSS、JavascriptでHTML5ベースのアプリを作成すると、デジタルサイネージ、Android、iOSなどの機器に対してもコンテンツ配信が可能になる。SDKも公開されるので、様々なアプリを作成してサイネージだけではないマルチスクリーン対応の映像によるミュニケーションが可能になる。

■マルチスクリーンへの対応進むデジタルサイネージ
 ChromeboxもwebOSも、これからますますデジタルサイネージが汎用的なものになり、マルチスクリーンに対応できるようになる方向性を示したものだ。デジタルサイネージを単体だけで利用する時代は、まもなく終わりになるかもしれない。これまでのような業務用の映像配信システムから、デジタルマーケティングコミュニケーションの一部となる方向性に向かうのであろう。デジタルサイネージは大きな転換期を迎えることになるに違いない。

(左)パナソニックのトランスコーダーボード、(右)WiGigを使って動画コンテンツをKIOSKから高速ダウンロードのデモ

(左)パナソニックのトランスコーダーボード、(右)WiGigを使って動画コンテンツをKIOSKから高速ダウンロードのデモ

上段左から、LGブース、サムソンとPLANARの85インチ4K製品。下段右からNEC、シャープ、PDCブース

上段左から、LGブース、サムソンとPLANARの85インチ4K製品。下段右からNEC、シャープ、PDCブース

中央はクリスティブース、右はクリスティ84インチ4K、左はD3ブース(手前は4K製品)

中央はクリスティブース、右はクリスティ84インチ4K、左はD3ブース(手前は4K製品)

左からASUS製Chromebox、CMS画面、webOS for Signageの特徴紹介

左からASUS製Chromebox、CMS画面、webOS for Signageの特徴紹介

#interbee2019

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