【NEWS】ブラジルからの8K映像のリアルタイム”ロバスト”伝送を実演 NTT R&Dフォーラム2014

2014.2.21 UP

左から、非圧縮IP伝送装置、高速Open Flowソフトスイッチ、高信頼IP伝送終端(MMT/LDGM-FEC)

左から、非圧縮IP伝送装置、高速Open Flowソフトスイッチ、高信頼IP伝送終端(MMT/LDGM-FEC)

HEVC_4K映像のHWリアルタイムエンコーダー

HEVC_4K映像のHWリアルタイムエンコーダー

MMT/LDGM-FECロバストIPストリーミング装置

MMT/LDGM-FECロバストIPストリーミング装置

ヘッドマウントディスプレイと見ている方向の映像

ヘッドマウントディスプレイと見ている方向の映像

  日本電信電話株式会社(NTT)は、2月13日から14日、NTT武蔵野研究開発センターにおいて、「NTT R&Dフォーラム2014」を開催した。「NTT R&Dフォーラム2014」の展示会場において、ブラジルから8K映像をリアルタイムに日本へロバスト伝送する技術、H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding、ITU-T H.265、ISO/IEC 23008-2 HEVC)方式に対応した4K映像のソフトウェアエンコーダーやリアルタイムハードウェアエンコーダー、ISO/IECにおいて標準化が行われている次世代トランスポート規格MMT(MPEG Multimedia Transport)、2月4日に発表になったドアンゴとNTTの共同研究成果を展示実演した。
(IT・放送技術コンサルタント 隅倉正隆)

※上写真はラジルから配信された8K映像

■ ブラジルから8K映像をリアルタイムにロバスト伝送
 今年の展示で目を引いたのは、ブラジルから日本へのリアルタイムでの「国際IP網を利用したスーパーハイビジョン8Kロバスト伝送」のデモだ。ブラジルに設置されたサーバにある8k映像をH.264の約300Mbpsでリアルタイムに圧縮し、国際IP網である学術ネットワークを利用してリアルタイムに伝送した。なお、伝送中に発生するパケットロスを解消するために、ISO/IECで策定中のMMTへ提案している誤り訂正技術であるLDGM-FECを使用している。なお、LDGM-FECはソフトウェアで低負荷にて動作しているといい。
 また、ブラジルからは2つの回線を利用しており、「SDNの技術を使い、ネットワークの振り分けをソフトウェア(高速Open Flowソフトウェアスイッチ)にて行っている」という。
 会場で受信した8K映像をデコードした非圧縮映像をSuper Hi-Vision 24Gbps 非圧縮IP伝送装置を使用して、プレゼンルームにIP伝送し、8Kプロジェクターで上映していた。

■ HEVCソフトウェアエンコーダを展示
 NTTの研究所が以前から開発を進めているHEVCソフトウェアエンコーダを展示・実演を行った。デモは、4K映像をH.264/MPEG-4 AVCで24Mbpsに圧縮した映像とHEVC/H.265で同様に24Mbpsに圧縮した映像画質の比較紹介を行った。ソフトウェア・エンコーダによるエンコード時間については、「フルHD映像で実時間の2〜3倍、4K映像で実時間の4倍まで短縮することを目標にしている(説明員)」と説明した。

■ HEVCリアルタイムハードウェアエンコーダを展示
 昨年に引き続きHEVCハードウェアエンコーダを出展した。NTTが開発したHEVCリアルタイムハードウェアエン コーダは、フルHD(1080p)をリアルタイムに符号化/復号できるコーデックを4つ並列処理させることで、リアルタイムでの符号化/復号を実現している。現状は、バッファリング制御機能や高画質化制御機能は含まれていないという。「現在はハードウェア検証用にFPGAで実現しているが、2015年にはエンコードLSIとして1チップ化していくことになるが、8K映像への対応も研究対象として検討していく予定(説明員)」と説明した。

■ 低負荷で動作するMMT/LDGM-FECソフトウェアを出展
 さらに、8kロバスト伝送でも使用した誤り訂正技術であるMMT/LDGM-FECを展示・デモした。ブースでは、HEVCハードウェアエンコーダでリアルタイムにエンコードした映像に誤り訂正技術であるMMT/LDGM-FECを付加してIP伝送し、3%のパケットロスを起こした状態であっても、4Kデコーダでリアルタイムにデコードして4Kモニターに綺麗な映像を表示するデモを行っていた。
 NTTが開発したMMTの誤り訂正技術であるMMT/LDGM-FECは、7%までのパケットロスを回復することができ、低負荷で動作することができるという特徴がある。「ソフトで低負荷で動作できるため、スマートフォンやタブレット端末など、CPU性能が低いモバイル端末でも動作させることができる(説明員)」と説明した。

■ ライブ映像の中に入り込めるインタラクティブ視聴技術をデモ
 この他、NTTとドワンゴがコラボレーションしたライブ映像の中に入り込めるインタラクティブ視聴技術を披露した。ニコニコ動画のライブ会場に設置した全周囲カメラからで撮影した舞台から客席までの映像から、視聴者がヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じて好きな位置の部分を選んで視聴することができるもの。市販品のHMDにジャイロ機能が入っており、配信サーバは視聴者が見ている方向を判断し、その方向の部分の高画質な映像を配信する技術をNTTが開発したという。なお、現時点では「リアルタイムストリーミングすることはできない」と説明した。

左から、非圧縮IP伝送装置、高速Open Flowソフトスイッチ、高信頼IP伝送終端(MMT/LDGM-FEC)

左から、非圧縮IP伝送装置、高速Open Flowソフトスイッチ、高信頼IP伝送終端(MMT/LDGM-FEC)

HEVC_4K映像のHWリアルタイムエンコーダー

HEVC_4K映像のHWリアルタイムエンコーダー

MMT/LDGM-FECロバストIPストリーミング装置

MMT/LDGM-FECロバストIPストリーミング装置

ヘッドマウントディスプレイと見ている方向の映像

ヘッドマウントディスプレイと見ている方向の映像

#interbee2019

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