【NEWS】「次世代テレビにふさわしい呼称はUHD、解像度と同時にDレンジと色域の拡大を」 ARRISのSean McCarthy博士語る NABセッション報告

2014.5.1 UP

■「“4K”では間違えた印象を与える」
 NAB会期中の4月9日に開催されたセッション「Creating Value in MultiScreen and Ultra HDTV」(「マルチスクリーンとUHDにおける価値の創造」)において、米ARRIS Groupのショーン・マッカーシー博士(=写真)は「4KとUHDは違う」と主張した。4Kとの表現は解像度方向のみを印象づけるとしてUHDの呼称こそ次世代テレビにふさわしいとした。ITUが2013年に行ったテストでは「解像度の向上のみではHDTVに比べて、認識上の明らかな優位を得るには十分ではないこともある」との結果が出ていることが最初に紹介された。
(映像新聞 論説委員/日本大学 生産工学部 講師 杉沼浩司)

■「解像度と同時にDレンジと色域の拡大を」
 では、どの要素に注力するのか、マッカーシー博士は解像度から説明を行った。次世代のテレビは、画面を見込む角が最低でも60度が望ましいと、NHK放送技術研究所の基礎研究を元にした研究者の共通認識が明らかにされた。しかし、4Kで見込み角60度とすると、HDTVと同様の解像感しか得られない(HDTVは30度で設計されている)。解像感を高めるには見込み角60度で8K表示のパネルを見る事になる。
 次世代テレビに求められる「WOWファクター(感動!の要素)」は、ダイナミックレンジや色域が同時に拡大することにある、とマッカーシー博士は指摘した。ダイナミックレンジは、日常的なシーンでも16ストップに達することがあり、これを表示できないと違和感が生じることを実例で示した。白とび、黒つぶれを起こさなければ、明所、暗所の細かなものも見えるため、リアリティが向上するということになる。

■「Rec.709では全く足りない」BT.2020への移行を提唱
 色域も、ITU-T Rec.709が規定するHDTVの色域では全く足りないことが、多くの自然物を例に示された。マイケル・ポインターが1980年に発表した現実世界の物品の色域は、Rec.709よりも遥かに広く、HDTVでは十分に表現できていないことを示している。マッカーシー博士は、ITU-T BT.2020が規定する色域への移行がいかに意義深いかをポインターの測定例を用いて示した。なお、BT.2020は、ポインターが測定した色のほとんどが、その色域内に入る。
 最後に、眼球の移動量から適切なフレームレートを試算した結果も明らかにされた。HDでは60fps、4K解像度では120fpsとなる。これは、眼球の移動量からの計算であり、視神経による伝播周波数は考慮されていない。視神経からの計算では、120fpsから300fpsが適当とされている。今回の計算は、中心視野部分での対象の移動が、滑らかな眼球移動を起こすために必要なフレームレートとして計算されている。
 ITU-T BT.2020では、120fpsが規定されいるが、これは眼球移動量的に意味がある数字と言える。4Kで120fpsというのは、眼球移動量、視神経伝播の双方から適切な速度と言える。なお、映像新聞が入手した情報では、先週のITU-TおよびEBUの会合で、欧州勢は100fpsを強く主張したとのことで、BT.2020に100fpsが書き加えられる可能性が高まっている。
 UHDTVとは、解像度のみでなく、ダイナミックレンジ、色域、フレームレートなどの面からも改良が必要で、これが成されたものは「4K」ではない、というマッカーシー博士の主張はうなずけるものであった。

【After NAB Showが開催 事前参加申し込みの受け付け開始】
 世界最大の放送業界のイベント「NAB Show」の出展企業が集い、NAB Showにおける出展内容についてセミナーと製品展示を行う「After NAB Show」が開催される。5月22日(木)と23日(金)の2日間、東京・秋葉原のUDXにて、また、5月27日(火)にグランフロント大阪を会場に開催する。NAB Showの主催団体、NAB(National Association of Broadcasters)の公認イベントとして、NAB Showで出展した最新情報を一堂に集まり、日本国内のユーザーに紹介する唯一の機会。主催は、NAB日本代表事務所(映像新聞社)、一般社団法人 日本エレクトロニクスショー協会。
 今回、東京開催には40社(昨年23社)、大阪開催には27社の企業が参加する。
 また、2人の講演者によるNAB報告をそれぞれ開催する。
■NAB報告 概要
5月22日(木)9:00-10:00
 「 NAB Show 2014 〜見えて来た最新動向と注目の新製品〜」
 講演者:石川幸宏(映像ジャーナリスト@DVJ BUZZ TV)
 講演内容:映画だけでなく、放送分野、業務分野への本格的な4Kテクノロジーの進展が多く見られた今年のNABShow。今年は特に、実用的な4K映像制作へ向けて、より現実的なソリューションを促す注目製品も目白押し。近年まれに見る大きな盛り上がりとなったNAB会場の熱気を、写真と映像を交えたレポートでお伝えします。
 話題性に富んだ注目製品の情報はもちろん、その影に隠れて出てきた、少し先の未来を占うニューテクノロジーや、業界再編とも言える映像関連機器を取り巻くメーカーなど関連各社の動向など、大小様々な情報を現地インタビューなども交えてご紹介します。

4月23日(金)・東京、27日(火)・大阪
「NAB Show 2014 〜米国で動き出した4K放送」
 講演者:杉沼浩司(映像新聞 論説委員/日本大学 生産工学部 講師)
 講演内容:NABの期間中に開催された話題のセッションや、Technology Summit on Digital Cinemaにおける話題から、米国の4K映像制作、4K放送の最新状況を報告します。
 ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンやディズニー/ABCなど、テレビ番組制作部門の4K番組制作の動向などに加え、Netflixによる4K番組配信や、ブラジルにおけるワールドカップの4K放送、米国の次世代放送規格 ATSC 3.0による地上波4K放送の位置づけなどもご紹介します。

<<事前登録受け付け中>>
下記のサイトで、入場登録とセッション聴講予約を受け付け中
http://www.after-nab.jp/

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