【Inter BEE 2012】DXアンテナ IPDC技術による「デジタル伝送システム」、業界初となる「ミリ波伝送システム」など次世代の情報伝送ソリューションを多数展示

2012.11.21 UP

MBS(毎日放送)が行っているIPDCによるエリア放送のデモ

MBS(毎日放送)が行っているIPDCによるエリア放送のデモ

DXアンテナのブース

DXアンテナのブース

 DXアンテナ(映像・放送関連機材部門、#5508)はIPDC(IP Data Casting)技術を用いた「デジタル伝送システム」、ワイヤレスでハイビジョン放送信号を伝送できる業界初となる「ミリ波伝送システム」、高画質な「フルハイビジョン見守りシステム」、停電時対応機能を搭載した「ギャップフィラーシステム」など次世代の情報伝送ソリューションを多数展示している。

■同軸ケーブルでIPデータの配信が可能に
 IPDC技術を用いた「デジタル伝送システム」は今回が初の一般公開となるシステム。
 IPDCとはIP技術をベースとして、通信・放送の伝送路の区別なくIPデータを配信する技術。様々なデジタルデータをRF変調器を介して同軸ケーブルへ送出したり、IPマルチキャスト配信などを行うことが可能だ。展示するデジタル伝送システムはこのIPDC技術を活用し、様々なデータ伝送サービスを実現したもの。
 ブースでは同軸によるIPデータの活用を提案している。古いビルや集合住宅でも、同軸ケーブルならテレビ受信用に整備されており、新たに回線敷設の工事は不要だ。IPネットワークが整備できない施設でも、大がかりな手間やコストをかけずに、情報配信ネットワークを構築できる点をアピールする。
 さらに放送サービスへの活用も提案する。ブースではこの技術を用いてMBS(毎日放送)が2011年10月より行っているエリア放送の模様をデモ展示している。街頭に設置したデジタルサイネージで、その地区に特化したエリア情報や広告を配信するもの。大がかりな放送設備を必要とせず、対象エリアに特化したコンテンツをリアルタイムに提供できることから、新しい放送サービスの可能性を模索している。

■ミリ波を使った業界初の無線デジタル放送伝送システム
 「ミリ波伝送システム」は60GHz帯の周波数を利用した、無線によるデジタル放送伝送システム。この周波数は2000年の電波法改正により「特定小電力無線局」(空中線電力10mW以下の免許不要帯域)として、高品質な映像の多チャンネル伝送のための利用が認められたことから、システム開発が可能になった。なお、この60GHzを含む30GHzから300GHzの電波は波長が10mmから1mmであることから「ミリ波」と呼ばれる。ミリ波を使った無線によるデジタル放送伝送システムは業界初の取り組みである。
 システムは最大2.5GHzの広帯域を利用する。この帯域にBS・110度CSデジタル放送、地上デジタル放送の多チャンネルハイビジョン信号を高品質のまま伝送できる。ビル陰の受信障害対策システムと、集合住宅向け共同受信システムの2つがある。
 ビル陰の受信障害対策システムはアンテナで受信した信号を送信機用増幅器で増幅し、ミリ波送信機で送信。その信号を受けたミリ波受信機から受信機用増幅器を介して各家庭に信号を配信する仕組みだ。ミリ波送信機とミリ波受信機間はワイヤレスで約60m伝送できる。
 一方の集合住宅向け共同受信システムは築年数が古く、機器やケーブルが衛星放送伝送に対応していない施設向けに提供する。屋上に設置したアンテナで受信した信号を階下に向けて無線送信し、ベランダなどに設置したアンテナで各家庭で受信する仕組み。伝送距離は約45m。いずれも建物内にケーブルを配線する必要がほとんどなく、手間とコストをかけず短期間で導入できるという。

■既設アンテナ共聴システムを利用して離れた場所の映像を各戸に配信
 「フルハイビジョン見守りシステム」は集合住宅の既設アンテナ共聴システムを利用し、離れた場所の様子を地デジ対応テレビで“見守り”できるシステム。集合住宅の各戸で映像を見ることができる。
 具体的にはフルハイビジョンに対応したHD-SDIカメラを同軸ケーブルで接続し、SDI中継器、カメラドライブユニット(HDMI出力)、OFDM変調器を介して、既設アンテナ伝送路につなぐ。フルハイビジョンの映像を同軸ケーブルで長距離伝送できるのが特徴だ。SDI中継器を介することで、最大300m伝送できるという。既設アンテナ伝送路を使うため、施工の手間を省力化できるのもメリットだ。
 教育・公共施設、集合住宅内の施設や駐車場、店舗や事業所などでの監視ニーズを想定している。離れた場所の様子を常時見守ることができるため、安全・防犯対策に有効だという。

■停電時でも内蔵バッテリーで指定の1波を8時間送信
 今回出展している「ギャップフィラーシステム」の特徴は、災害などによる停電時対応機能を搭載している点。バッテリーを内蔵し、指定の1波(フルセグ・ワンセグ)を約8時間送信し続けることができる。送信する1波はユニットの差し替えで選択できる。
 「災害時には迅速な情報提供のために放送を継続することが重要」(説明員)。そのため、ギャップフィラーに内蔵バッテリーを持たせ、電力供給が途絶えても、放送波を送信し続けられるようにしたという。受信点、送信点間は光伝送により長距離伝送が可能だ。なお、地上デジタル放送用ヘッドアンプと送信機はNHKアイテックとNHKエンジニアリングサービスとのシステム検証を含めた共同開発によるもの。

MBS(毎日放送)が行っているIPDCによるエリア放送のデモ

MBS(毎日放送)が行っているIPDCによるエリア放送のデモ

DXアンテナのブース

DXアンテナのブース

#interbee2019

  • Twetter
  • Facebook
  • Instagram
  • Youtube