【NEWS】Fox Sports ソニー4K CineAltaカメラ「F65」をNFL中継に採用 4K映像から必要部分を「切り取る」スーパーズームシステムを構築

2012.11.29 UP

MetLife StadiumでのF65による中継
NASCARの迫力あるズーム映像

NASCARの迫力あるズーム映像

■次世代放送を見据えたスポーツ中継番組の技術・演出が登場
 世界最大のプロスポーツリーグともいわれるアメリカンフットボールのプロリーグ NFL(National Football League)は昨年、ESPNをはじめ、CBS、FOX、NBCとNFLの放映権に関して8年から9年の複数年契約を交わした。各局は、最長2022年までという長期契約に伴い、次世代の放送環境を見据えながら、新技術および新機材への投資を検討している。そうした中で、Fox Sportsは、NFLでF65を用いたズーム映像の中継技術「スーパーズームシステム」を構築。”HDの4倍の解像度”で収録した映像をソフトでズーム処理をして迫力のある映像を提供中だ。今年2月の自動車レースNASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing)と、アメリカンフットボールのプロリーグNFLで用いられている。

■4Kカメラを駆使して高速度撮影、スーパーズームなど、さまざまな表現
 NASCARでは、Vision Resarch社製のPhantomカメラを実装したInertia Unlimited社製X-Moハイスピードカメラシステムを使用。X-Moで収録した2K解像度の映像素材を、PsiTech社製のソフトでズームし、720p解像度で抽出〜送出している。火花を散らしてコーナーを切る車内のレーサーのヘルメット姿まで、鮮明にテレビで観られたという。
 NFL試合の放送では、F65で撮影した映像素材をコントロールユニットから光ファイバーで中継車のプロダクションサイドに転送後、「Vortexハイスピードカメラ・キャプチャシステム」でズームインしてインスタント・リプレイした。同システムは、上記のNASCARで用いたソフトをベースに改良を加えて製品化したもの。F65は、スタンドアロンカメラとしてRAWデータで内部記録ができるよう設計されているが、Fox Sportsの運用向けに、ソニーが開発した専用CDU(Controller Display Unit)ユニットが提供されている。 
 ちなみに、Fox Sportsが使用しているF65は、ロータリーシャッターのないタイプだ。日本国内では映画・CM撮影を想定しているせいか、ロータリーシャッター、NDフィルター内蔵モデルF65RSが販売されているが、米国ではロータリーシャッターは映画撮影のためのオプションという位置づけになっている。ロータリーシャッターがないと高速度撮影が可能になり、スポーツ中継などでは、こちらのほうが適していると思われる。
 F65からの転送データは、60pで5Gbpsにも及ぶ。テレキャスト(720p)の9倍も高い解像度であるため、 ズームインのようなカメラワーク以外に、 映像の一部を切り出して使用する方法でも十分な解像度で送出できる。中継車内のサーバーオペレーターは、プロダクションサイドでシーンの位置を移動させながらリプレイするといった演出が可能だ。また、スローモーション速度も操作している。スーパーズームのソースは、実は今季の2週目にジャイアンツ・スタジアムで行われたタンパベイ・バッカニアーズ対ニューヨークジャイアンツの試合中に起こった、チャレンジ(試合中、判定に不服がある場合、ビデオ再生を行いそれによって再度判定を求める特別ルール)でのインスタント・リプレイで、F65からの映像素材のズームが 重要な役目を果たした。 スタジアムに設置された他のカメラからのソースでは、肉眼で決定的な判断がつけられなかったという。

■ソニー F65のHFRファームウエアを開発中
 Fox Sportsは今後、NFLの各試合中継において、スーパーズームカメラをベストアングルな場所に設置して使っていくが、そのカメラポジションは今でも模索中という。
 ソニーでは、4Kで120pfs(120コマ/秒)に対応するF65のファームウェアの開発も進めている。120pfsのハイフレームレートが引き出す、よりスムーズな4Kスローモーションは、Fox Sportsがお茶の間に提供するNFL中継放送を一層引き立てるものとなると期待される。
(ザッカメッカ 山下香欧)

NASCARの迫力あるズーム映像

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