【プロダクション】IMAGICA モーションキャプチャーとAR/VR専用スタジオを融合した専用スタジオ「MIRA-ST」 リアルタイム処理で多彩な演出 イベントなど出張サービスも可能に

2013.1.31 UP

MIRA-ST
「StarHub TVB Awards Presentation 2012」の一場面。何もない空間から宇宙船が出現する。

「StarHub TVB Awards Presentation 2012」の一場面。何もない空間から宇宙船が出現する。

 IMAGICAは、品川プロダクションセンターでモーションキャプチャーとAR/VR専用スタジオ「MIRA-ST」を運用している。
 同スタジオは従来、サブ設備と合わせたテレビ撮影用として運用してきたが、モーションキャプチャーとバーチャル、さらに両者を合わせたARスタジオとして、デジタル制作に特化し再スタートした。顧客にはゲームやパチンコといったフルCG映像制作のほか、研究開発などのニーズを対象とする。
 スタジオにはVicon製カメラ「T160」22台を設置し、基本キャプチャーエリアは12×8×4.5メートルを用意。交通の便の良い品川に、従来では実現できなかった大きさを構えることにより、大型作品にも対応する。
 同社は1995年にVRサービスを開始。2010年ごろ、スタジオ内でバーチャルセットとモーションキャプチャー双方のデータを自由に取り出せる仕組みを構築し、モーションキャプチャーとバーチャル技術を融合したARの運用を始めた。
 サービスはライブグラフィックス部が専任で担当する。モーションキャプチャー作業について担当プロデューサーの小林徹也氏は、「クライアントのニーズを汲みながら作業フローを決める。単に技術を提供するだけでなく作品やプロジェクトのなかに入り、クリエイターとしての思いを持ちながら、打ち合わせから納品までやっていく。作品へのかかわり方が一つの特徴だろう」と強みを説明する。

■TV番組制作などで実績 リアルタイム処理で多彩な演出
 AR/VRサービスは番組制作で活用するほか、2012年8月にシンガポールで収録したテレビ特番「スターハブTVBアワーズ プレゼンテーション2012」にVR技術を提供した。マリーナベイサンズ コンベンションセンターで収録した、香港の放送局 電視廣播有限公司 (Television Broadcasts Limited)にょる特別番組。
 収録観客席を撮影しているライブ中継映像に、宇宙船や花火、複数の大スクリーンなどのCGをリアルタイムで合成した映像を上映し、華やかなステージ演出に一役買った。同番組の映像がYouTube(http://www.youtube.com/user/IMAGICACORP?feature=watch)にアップされている。
 一般的に、番組におけるオンエアーグラフィックスの活用は、スポーツ中継など定型のものに限られるが、「MIRA-ST」ではリアルタイム処理を利用して多様な演出ができる。演者の動きに合わせてCGを連動させキャラクターの演技を検討したり、バーチャルカメラでアングルを調整しながらアニマティクスを作れる。また演者とCGの掛け合いも可能となる。スタジオからのインターネット配信や、放送品質でのライブ運用実績もある。

■屋外での撮影も可能なモーションキャプチャー
 さらに、モーションキャプチャーは通常、専用スタジオを構えて運用するが、同社はスタッフが機材を取り外して持ち運び、コンサート会場や屋外競技場など外部の環境でも撮影できる。「スタジオはいわば基地的な場所」(テクニカルスーパーバイザーの和田重久氏)であり、出張サービスを活用することで、多様化するイベント演出にもさまざまな形で対応できる。
 テクニカルマネージメント担当の北村隆治氏は、「個別技術の提供のほか、今後新しい技術が出てくれば、それを足した形で提供できる。ある種、パフォーマンス・キャプチャーやプリビズスタジオも視野に、進化を遂げ続けるスペースとして位置付けている」と話している。
(映像新聞 吉野和美)

copyrights reserved @ StarHub TVB Awards 2012

「StarHub TVB Awards Presentation 2012」の一場面。何もない空間から宇宙船が出現する。

「StarHub TVB Awards Presentation 2012」の一場面。何もない空間から宇宙船が出現する。

#interbee2019

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