【プロダクション】キューテック フィルムスキャナー「ARRIスキャン」を導入 4Kにも対応しアーカイブ、DIを強化

2012.2.9 UP

昨年導入されたARRIスキャン
古迫氏

古迫氏

坂本氏

坂本氏

■2式目のフィルム設備導入、ねらいはアーカイブの拡充とDIの強化

 キュー・テック(東京都港区)は、ARRI製フィルムスキャナー「ARRIスキャン」を導入し、昨年11月16日から稼働を開始した。デジタルリマスタリングからのアーカイブビジネスの拡充と、DI(デジタルインターミディエート)ワークフローの強化を目的とする。
 フィルム設備を導入するのは、従来の「スピリットデータシネ」によるテレシネに続き2式目となる。

 テレシネ設備は1980年代のレーザーディスク時代、海外からのマスターを扱う際に稼働。その後、放送用アニメ作品での作業を主力としてきたが、「デジタル化が進むなか、フィルムの持つ情報を最大限に引き出せるものとして、2K以上の解像度での作業に対する関心が顧客のなかで増加した」(古迫智典取締役)。
 同時に、フィルムアーカイブ事業でまとまった受注を獲得したことから、ビジネスとしての可能性を重視。フィルム設備の新規導入を決断した。


■画質と信頼性、サポート体制を重視

 機材選定にあたっては、画質と信頼性、国内でのサポート体制を重視した。オプションの16ミリゲートにも対応。テレシネとは、求める解像度やアプリケーション、予算などで使い分ける。
 スキャナーは現在、アーカイブの作業を一日あたり2本のペースで実施。テレシネグループの今塚誠マネージャーは「2Kスキャン速度は5フレーム/秒だが、フィルムのリワインダーやビューワー、ネットワーク環境など、周辺機器やワークフローに手を加えていけば、より作業効率を向上できる」という。
 設備では同時に、クリーンルームと出入口のエアシャワー、スキャンデータを保存するSANサーバー(30テラバイト)を設置。画像修復ツールには、ピクセルファーム社の「PFクリーン」と、シネマクラフト製「リニート」を使用する。


■4Kにも対応。多角的な提案を積極化 企業・海外など新領域を開拓も

 営業企画グループの坂本篤マネージャーは「4Kなどの高解像度作業を提案できるのが強みだが、今後はアーカイブに関する多角的な提案とサービス、サポートを拡充するのが課題」と話す。
 今後の展望について古迫氏は「アーカイブ以外にも、CMや映画など撮影ネガを使った作業にも取り組んでみたい」と話す。
 またアーカイブでは、「エンターテイメント業界でパイを奪い合うよりも、企業や海外を含め、目を向ける先は多くある」と語っている。
(映像新聞 吉野和美)

古迫氏

古迫氏

坂本氏

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