【コラム】ILM ロンドン・ソーホーにスタジオ 『スター・ウォーズ エピソード7』のVFXを制作

2014.3.10 UP

 昨年5月21日付の本欄(http://www.inter-bee.com/ja/magazine/creation/detail.php?magazine_id=1249)で、「ILMがイギリスにスタジオ新設を検討」というニュースをご紹介した。それがこの程、とうとう現実のものとなったようだ。
(鍋 潤太郎)

■「エピソード7」の制作を担当
 既報のように、2012年10月にディズニーがルーカス・フィルムを買収した結果(http://www.inter-bee.com/ja/magazine/creation/detail.php?magazine_id=1004)、ILMはディズニー傘下に収まる形となった。その際、2015年の公開を目標に映画「スター・ウォーズ エピソード7」を制作することが同時発表され、ロンドンでのスタジオ新設の可能性を検討中で、イギリスの税優遇制度を利用することで同作品のポスト・プロダクションに掛かるコストを抑える狙いがあることなどが報じられた。

■ロンドン ソーホーにスタジオ新設
 もっとも昨年5月の段階では、ILMによるイギリスでのスタジオ新設計画はまだ「検討段階」で、まだ特に具体的なプランや新設時期は決定していなかった。また、仮にもし実現しても、ヘッドクォーター及びビジネスのコアは現在のプレシディオ(サンフランシスコ)から移す予定はなく、VFX制作現場の規模も現状を維持するというプランを打ち出していた。
 この程ハリウッドの各メディアが相次いて報じたところによれば、ILMはロンドンのソーホー郊外のスタジオ・スペースの賃貸契約にサインし、3月から4月頃の引っ越しを目指し、ロンドン・スタジオ新設が正式決定したという。新しいロンドン・スタジオは、サンフランシスコの本社と同じように、VFXの各部門や制作パイプラインが整ったプロダクション体制を目指す予定。

■2015年12月公開へ総動員態勢
 「スター・ウォーズ エピソード7」は、現在キャスティング等の最終段階だといい、今春をメドにプロダクションをスタートさせる計画という。そのVFX制作は、ロンドン・スタジオのほか、サンフランシスコのプレシティオにあるILM本社、シンガポール・スタジオ、そしてバンクーバー・スタジオで同社のパイプラインによってアセットを共有しつつ分散して進められる。また、「パートナー」である北京のBaseFXにも外注されるという。
 「スター・ウォーズ エピソード7」の公開予定日は2015年12月18日に設定されており、約1年半程のプロダクション期間が予定されている。

■マーベルの次期作品も担当
 ILMと同様ディズニー傘下であるマーベル・エンターテイメントの次期作品「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン / Avengers: Age of Ultron」のVFX制作も、ILMのロンドン・スタジオで行われる予定だという。
 ロンドン・スタジオではその下準備として、ロンドンの主要VFXスタジオからスーパーバイザー・クラスの人材を引き抜き、プロダクションの基礎固めを行っており、最終的には200人規模のプロダクション体制まで拡大する事を目指している。
 VFX制作をロンドンで進める背景には、イギリスが推し進めるハリウッド・プロジェクトへの税優遇政策がある。しかも、税制優遇の適用を受けるための条件が、この4月からさらに緩和されるため、それに便乗しての新設となるようだ。

#interbee2019

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