【NEWS】J SPORTSが8Kで迫力のエアロバティック飛行を空撮 民間放送事業者として初の試み 8KポストプロダクションはNHKメディアテクノロジーが担当

2015.3.16 UP

編集のワークフロー図

編集のワークフロー図

空撮用に使用したセスナ機

空撮用に使用したセスナ機

池上通信機製の8K 4板方式カメラ「SHV-8000」

池上通信機製の8K 4板方式カメラ「SHV-8000」

収録メディアとして使用したP2レコーダ「AJ-ZS0300」

収録メディアとして使用したP2レコーダ「AJ-ZS0300」

 スポーツテレビ局のジェイ・スポーツ(J SPORTS)は、一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV−F)の取り組みの一環として、8Kコンテンツ「SKY」(7分)を制作した。「レッドブル・エアレース」のエアロバティック飛行に挑戦する日本人パイロット室谷義秀氏をクローズアップした作品。同社は高精細コンテンツ制作に関して、2年前から取り組んでいる。2013年12月に、関東大学ラグビー対抗戦グループの早稲田対明治の試合で初の4K収録を実施しており、2014年秋にはサイクルロードレースを4Kカメラで撮影、映像制作を行っている。4K中継の技術ノウハウも蓄積している。
(ザッカ・メッカ 山下香欧)

■8Kで「エアロバティック飛行」を空撮
 ジェイ・スポーツの8Kコンテンツ制作の取り組みは、NexTV-Fが3月5日に開いた「第二回 4K・8Kコンテンツ製作者・技術者ミーティング」で報告された。これは、NesTV-Fが、「4K・8K コンテンツ制作者及び技術者が制作における課題や可能性を共有し、制作クオリティの向上と継続的なコンテンツの発信を目指したミーティング」と位置づけて開催するもので、4K・8Kの番組制作を担当した政策技術者やディレクターがそれぞれの経験を通じて得たノウハウを紹介するもの。会場には多くの業界関係者が集まった。8Kコンテンツは5作品が紹介され、そのうち、民間放送事業者としてジェイ・スポーツが初の8K番組制作を実施したことを披露した。説明には、ジュピターテレコム メディア事業部門 JSPORTS 関浩氏が登壇した。
 「SKY」は、「空のF1」とも呼ばれる「レッドブル・エアレース」のエアロバティック飛行に挑戦する日本人パイロット室谷義秀氏をクローズアップした作品。高速移動する被写体をセスナ機から空撮している。アクションカメラからのPOV(Point of View)映像を組み合わせたマルチ映像など、制作の過程で斬新な手法が取り入れられている。

■4K映像を4枚つなげたマルチ画面も
 撮影は昨年12月に福島市スカイパークで行われた。地上に広がる大自然のシーンの撮影にはキヤノン製8K標準レンズ「10x18BN KASD」を搭載した池上通信機製の8K 4板方式カメラ「SHV-8000」を使用。有効画素数 36.3メガピクセルのニコン製デジタル一眼レフカメラ 「D800」も活用した。
 空撮用には、フジノン社製のズームレンズ「HK5.3x75-M」をマウントしたソニー製8K単板式カメラ「CineAlta F65」を使用した。これらのカメラはNexTV-Fが有償で貸出を行っている。
 また、広角でダイナミックなシーンを取り入れるため、アクションカム「GoProHERO4」を機体に取り付けて撮影をしている。GoProで撮った4K映像を8K画面に4つ並べ、4面マルチ画面として様々なPOVシーンを1画面で表現した。4K映像をそのまま田の字につなぎ合わせることは技術的に難しい。そのため、編集ソフト「FinalCut Pro」で600枚のTIFFの連番ファイルを書き出し、8K制作設備にある編集機で8K映像として生成したという。撮影した素材の8KポストプロダクションはNHKメディアテクノロジーが担当した。
 SHV-8000のカメラフォーカスやコントロールは、リモート車に搭乗したVEが担当した。カメラ信号を取り込むビデオサーバおよびパナソニック製のAJ-Z0300収録機や映像チェックのモニタなどを積んだ大規模なカメラシステムを構築した。これにより、専用の発電車も別途用意が必要になったという。

■16枚のP2カードに同時記録
 映像出力にはHD-SDIが32本、BNCが32本必要になる。池上通信機「SHV-8000」の収録メディアにはP2レコーダ「AJ-ZS0300」を使用。AJ-ZS0300は、P2スロット17基を搭載。17基のうち1基は編集用プロキシデータと管理データ保存に用い、映像記録用として、16基を同時処理する。記録フォーマットはAVC-Intra100(10bit)。カメラ画像処理装置「VP-8404」で4Kにダウンコンバートし、4Kモニタ「PVM-X300」に表示させながらカメラチェックをした。
 取り込んだ素材のバックアップにはLTO-5を使用。オフライン編集は「プラナス」でプロキシデータを使って行った。オンラインはリニア編集で、オフライン編集データのEDLを元に必要な素材をP2カードからリアルタイムで取り込みながら編集、テロップ生成・挿入を実施。カラーグレーディングは、別のラインでやりくりを行った。
 同作品を4Kにダウンコンバートしたバージョンが、試験放送チャンネル“Channel 4K”で4月に放送される予定。
(画像提供:ジェイ・スポーツ)

編集のワークフロー図

編集のワークフロー図

空撮用に使用したセスナ機

空撮用に使用したセスナ機

池上通信機製の8K 4板方式カメラ「SHV-8000」

池上通信機製の8K 4板方式カメラ「SHV-8000」

収録メディアとして使用したP2レコーダ「AJ-ZS0300」

収録メディアとして使用したP2レコーダ「AJ-ZS0300」

#interbee2019

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