【NEWS】ARRI 新ALEXA 2機種をNAB Show 2015で出展 小型改良サブカメラタイプのALEXA Miniとテレビ/映画制作に対応したALEXA SXT

2015.4.3 UP

ALEXA Miniの外観はキュービック設計。サイズは85x125x140 mm重量は2.3kg

ALEXA Miniの外観はキュービック設計。サイズは85x125x140 mm重量は2.3kg

米Gates Underwater Productsが開発中のALEXA Mini専用ハウジング

米Gates Underwater Productsが開発中のALEXA Mini専用ハウジング

ALEXA SXT

ALEXA SXT

Codexなど記録メディアのモジュール

Codexなど記録メディアのモジュール

 独ARRIは、4月11日から16日まで米ラスベガスで開催されるNAB Show 2015で、二機種の新しいALEXAデジタルシネマカメラを出展する。2月に英ロンドンで開催した「British Video Expo (BVE)」でプロトタイプを一般初公開した「ALEXA Mini」と、ALEXA XTの後継機となる「ALEXA SXT」だ。(上写真は既存機種ALEXA XT(右)とALEXA Mini(左)との比較。重量は約半分になる)

■4K ARRI RAWにも対応の軽量小型オールインワンカメラALEXA Mini
 ALEXA Miniは、ALEXAの高性能かつ多彩な機能を軽量小型ボディに凝縮したのが最大の特徴。正式な出荷は5月の予定。本体価格はユーロEUR32,500(435万円)。オプションやビューファインダー、バッテリーは別売となる。ARRIの発表によると、プリオーダーは3月から。(日本国内での正式な価格や出荷時期については公開されていない。)
 ALEXAを継承し、同様のセンサー(35mm ARRI ALEV III CMOS)を採用。4:3/16:9センサーエリア切替式で、最大200fpsのハイスピード映像(2K)、E.I.160からE.I.3200の範囲で14ストップ以上という広いダイナミックレンジを実現する。
 4K UHD(3840x2160)@60fpsからARRIRAW 2.8K(2880x1620)@30fpsの収録が可能。記録コーデックは、ProRes 4444XQ、4444、422 (HQ)、422、422(LT)、ARRI RAWに対応する。 

■現場からのサブカメラへの要望を実現
 開発の背景には、ALEXAを使う現場からの声がある。ジンバルやマルチコプターを使う空撮などを含め、特種用途の各撮影シーンでのサブカメラをARRIで統一したくてもALEXAやARIMAでは自身のサイズが大きいことがネックとなっていた。別カメラメーカーによるカメラを使用すればカラーマッチングの作業が負担となる。ALEXA Miniの登場により、ARRIのワークフローとカラーマネージメントをそのまま利用することができ、ポストプロダクション作業における効率化も期待できる。 
 ALEXA Miniのボディはカーボン素材で、PLマウントはチタン製。PLマウント部分はセンサーマウントと一体となった構造で、大型で重量のあるズームレンズを装着した場合でもフランジバックを精確 に保つことができるとしている。レンズマウントはインターチェンジブルな交換式で標準のPL マウントのほか EFや B4 マウントも可能だ。本製品は従来のALEXAモデルにはない、マウンティング用のねじ穴をチタン部分に実装し、MOVI M15のようなカメラジンバルにマウントできるようになっている。ジンバルやドローンでの撮影のほか、優れた低照度性能を活用すべく水中撮影用途としてもサードパーティから水中ハウジングが開発されている。
 ALEXA Miniはまた、電動 ND フィルタを内蔵しているため、露出の遠隔調整がしやすい。このほか、ワイヤレスレンズコントロールシステムの機能を利用して遠隔でレンズを操作できる。ジンバルやマルチコプターでの撮影用途に適している。

■最大200fps収録可能 多彩なリモート操作機能も搭載
 4:3/16:9切替式のセンサーは0.75fpsから最大200fps(2K)までの収録が可能。 4:3アスペクトはアナモフィックレンズでの撮影に適しており、アナモフィック・デスクィーズ機能も内蔵している。LCDとビューファインダーから制御するほか、カメラボディのソフトボタンでの操作、もしくは内蔵しているWiFi経由でNDフィルタなどの設定をモバイルデバイスよりリモートで行えるようになっている。また、従来のARRIカメラと同様に内蔵のワイヤレスコントローラーよりハンドルユニット(ARRI WCU-4)との通信により、レンズのフォーカス、アイリス、ズームの3軸をハンドルユニットから同時に制御できる。ARRIレンズデータシステム(LDS)にも対応。これによりフレーム精度のメタデータ(フォーカス、アイリス、ズームの指標値)を記録できる。またWCU-4の液晶パネル上でレンズの指標値を確認できるほか、算出された被写界深度を見ながらフォーカシングが行える。


■記録メディアはCFast 2.0やCodexに対応
 AMIRAと同様にRec709(もしくはカスタムルック、LogCガンマ)のカラー出力で、CFast 2.0メモリーカード、またはCodex社製レコーダーで記録する。 Codex社からリリースされる最新のレコーダーは 8チャンネルのHD-SDI入力を有し、最大4台のALEXA Miniから合計360fpsのARRIRAW(非圧縮RAWデータ)を収録でき、360°撮影等のマルチカメラ運用に活用できる。 
 バッテリーは別にマウントする必要がある。 バッテリー消費は50Wから70Wとされ、持続時間も含めて記録するコーデックなどによって異なる。 BVEで披露されたプロトタイプはPAGlink社製のVマウント式バッテリーをベルクロで装着していたが、ARRIでは製品化に向けて専用のケージでの堅固な装着を検討しているという。 

■テレビとフィルムプロダクション両仕様のALEXA SXT
 ALEXA SXT は ALEXAの継承をしつつ、新しいプロセッサパワーの機能を生かしたもの。デジタルシネマALEXA65とENGスタイルARIMA両方の良い点を持ち合わせる。
 従来の3.4K ALEV III センサーを搭載していながら、内部の新しい基板アーキテクチャとFPGAによりUHDProRes(3840x2160)、および4K ProRes (4096 x 2637)で記録できるようになった。従来のオープンゲート(OpenGate)による4:3と16:9のセンサーモードでARRIRAWもしくはRroResコーデックで記録できる。 

■3D LUT対応 プレビューにRec2020使用も可能
 新しいカメラボディでは、さらなるイメージクオリティの向上が施された。オプションのノイズリダクション機能で、従来よりも低照度の環境での撮影が展開でき、ポスト作業の負担も軽減される。ARRI AMIRAカメラが持つカラーマネージメントエンジンを採用し、ALEXAセンサーによるフィルム制作環境の広色域をサポート。ALF-2(ARRIのルックファイル2)、ASC CDL(カラーディシジョンリスト)に加え3D LUTに対応。ALF-2はARRI MiniとARIMAと同じものになるので、撮影シーンによってARRIマルチカメラを使ったとしても後での編集は楽だ。さらにオプション機能として、オンセットのプレビューにRec2020ガンマ値を使うことでデイリーから最終のグレーディング作業がスムーズに行えるという。
 また、3系統のHD-SDIが装備されていることで、現場でのモニタリングで1系統をカメラにオンボードしたディスプレイモニター用にし、ほか2系統をディレクター用にLog Cで出力、チェック用にRec709で出力するといった使い方ができる。

■容量2TBのCodex SXRドライブに対応
 記録媒体には、20GB/sという驚異的な速度を実現するCodexの容量2TBの最新SXRドライブが加わる。カメラ本体に新しいCodexのメディアベイを搭載し、SXRドライブを挿入できるようになっている。メディアはそのほかXRキャプチャドライブやSxSとCFast2.0カードも使える。
 本カメラはまた、ALEXA XTのリプレイスを意識した位置づけとなっており、ALEXA XTと同様、ALEXA SXT EV、SXT PlusにSXT Studioモデルがラインアップされる。ALEXA XTシリーズのユーザーには、ALEXA SXTの機能が持てるモジュールを有償で提供する予定だ(モジュラー式のALEXA XT Mモデルを除く)。ただしALEXA SXTが今後加えていく新機能へ対応できるかは保証できないとしている。本カメラシリーズの正式な出荷は年内半ばとしか示されておらず、NAB2015で詳細および実機が公開される。

ALEXA Miniの外観はキュービック設計。サイズは85x125x140 mm重量は2.3kg

ALEXA Miniの外観はキュービック設計。サイズは85x125x140 mm重量は2.3kg

米Gates Underwater Productsが開発中のALEXA Mini専用ハウジング

米Gates Underwater Productsが開発中のALEXA Mini専用ハウジング

ALEXA SXT

ALEXA SXT

Codexなど記録メディアのモジュール

Codexなど記録メディアのモジュール

#interbee2019

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