【NEWS】産総研　高精細な赤外線カラー暗視撮影技術を開発 30fpsでフルハイビジョン撮影可能に　実用化へ向け民間企業への技術移転を検討

　独立行政法人 産業技術総合研究所（産総研）は12月3日、 3CCD方式によるフルハイビジョン規格の赤外線カラー暗視撮影技術を開発したと発表した。同研究所が独自開発した暗闇でもカラー動画撮影ができる技術をもとに、3個のCCD撮像素子を用いた赤外線撮影法と画像処理法を採用。暗闇でも鮮明な高フレームレートのカラー画像を撮影できる。
　産総研では昨年2月に、従来モノクロでしか表示できなかった赤外線画像を可視光下で見た色に近いカラー画像として撮影できることを実証。今回は、この技術をさらに高度化して、高精細なデジタル放送にも使える、高解像度の赤外線カラー動画が撮影できる装置を開発した。
　具体的には、 被写体に照射した赤外線反射を、高感度赤外線撮影技術により検出し、物体の可視光領域における反射特性と赤外線領域における反射特性の相関関係に基づいて、表色処理を行っている。これにより、可視光下での被写体の色と同一かそれに近い色によるカラー動画を実現した。
　新開発のカメラは、可視光照明下では通常のハイビジョンカラーカメラとしても動作する。
　高精細・高速に画像処理を行うために3CCD 方式の撮影方法を開発し、これまでの赤外線カラー暗視画像の撮影速度10フレーム／秒から30フレーム／秒と、標準的なテレビカメラと同じ撮影速度に高速化した。撮像素子も、VGAクラス（画素数640×480）からフルハイビジョンクラス（画素数1920×1080）にしている。
　産総研では、今回開発した技術を民間企業へ技術移転し、撮影装置を高性能化・高耐久性化させたのち実用化する予定。小型化をさらに進め、放送用カメラ以外への応用も展開していく。興味をもった企業を求め、共同でさまざまな応用展開を図りたいという。
　開発を行ったのは、産総研のナノシステム研究部門（研究部門長 山口 智彦）ナノ光電子応用研究グループ （研究グループ長 時崎 高志）永宗 靖 主任研究員、同部門 太田 敏隆 主任研究員の二氏。
　12月5～7日、千葉県千葉市の幕張メッセで開催されるSEMICON Japan 2012で展示とデモンストレーションが行われる。

※画像提供：（独）産業技術総合研究所