【NEWS】東京エレクトロンデバイス NHKと共同開発の8Kスーパーハイビジョン用小型レコーダの受注を開始 屋外・スタジオでの8K収録が容易に

2014.10.23 UP

技研公開2014で展示された8KSHV小型記録装置

技研公開2014で展示された8KSHV小型記録装置

(左から)開発を担当した西脇氏、松本氏、高島氏

(左から)開発を担当した西脇氏、松本氏、高島氏

 東京エレクトロンデバイス(本社:横浜市神奈川区)は、NHKと共同で「メモリー着脱型8Kスーパーハイビジョン小型記録装置」を開発し、「8Kレコーダ」(型名:TB-8K-REC)として受注を開始した。小型のメモリカートリッジに記録するレコーダであり、スーパーハイビジョン収録の幅を大いに拡げると期待されている。技研公開時は概要のみが明かされていたが、このたび関係者へのインタビューが実現し、詳細が明らかになった。
(映像新聞論説委員/日本大学 生産工学部講師 杉沼浩司)

■カセットに記録、2TBに約45分記録可能
 今年5月に行われたNHK放送技術研究所(NHK技研公開2014)の一般公開に、小型カートリッジ(着脱型メモリーパック)にスーパーハイビジョン信号を記録する小型のレコーダ装置が登場した。これまで、スーパーハイビジョンの録画は、研究開発用の信号記録再生装置を転用して行われていた。これらの機器は優れた性能を持つが、制作現場の要求を容れて作られた機器ではないため、使用に難しさがあったことは否めない。
 5月に公開されたレコーダ装置は、容量2TBのメモリーパックに約45分の映像を記録できるとされていた。この記録時間は、HDCAM SRの50分(Sカセット、24pモード)とほぼ同等であり、関係者にとっては慣れた記録時間を達成している。装置は、記録再生が可能で、現場での映像再生、確認にも使用できる
 東京エレクトロンデバイスは、この装置をNHKと共同開発した。このほど、装置はカタログに掲載され受注が始まった。開発を担当したECプロダクト統括本部PLD事業部PLDソリューション部 西脇章彦部長、同設計開発センター第一開発部プロセッサソリューショングループ 松本徳文エンジニア、インレビアムカンパニー第一開発部 高島英男部長の3名にうかがった。

■圧縮方式にJPEGの拡張規格を採用
−−−レコーダの仕様は?
松本「4Uサイズの筐体でデュアルグリーン方式のSHV信号を記録できる。3G-SDI端子を20本備えており、うち16chを使用する。信号は3840×2160画素で深さ10ビット、毎秒60フレームのものが4枚(RG1G2B:デュアルグリーン方式)入力される。レコーダは、モニター用のカラーLCDやジョグダイヤルを備え、現場での再生や画像確認に対応している。出力は、SMPTE425M(3G-SDI)に対応する」
−−−カセットはどうか
松本「大きさは、205×118×36mm(注:Uマチックのカセットよりやや大きい)で、PCI Express2.0方式(8レーン)のインタフェースカードと組み合わせて構成されている。PCでよく使われるインタフェースゆえ、PCとインタフェースカードを直接接続することも可能だ」
−−−信号はどのようなものか
松本「デュアルグリーン方式のSHV信号をJPEGの拡張規格に従い圧縮している。1フレームあたり10MB程度となる。NHK技研公開2014の際に展示されたように、2つのグリーン信号を7680×4320画素に変換してから圧縮している。これで画質が高まった。このアルゴリズムは、NHKが開発した」
−信号処理はハードウェアで実行するのか
松本「当社が扱う米ザイリンクス社のFPGAを用いている。JPEG処理のIPコアにより回路を形成した。これを複数並列に動作させている。FPGAは、大規模指向である”バーテックス7”シリーズの485Tと690Tを用いている。レコーダ内には、当社が開発したボードが7枚あり、これらのFPGAが搭載されている」
西脇「当社は、ザイリンクス製品の販売を担当するだけでなく、FPGA製品開発を支援するアライアンスパートナーとなっている。2010年には世界に12社しか選ばれていないアライアンスパートナー・プレミアムメンバーに国内で初めて選定された。開発のみでなく、製品化、量産化まで対応する機能を持っている。今回、共同開発相手に選んで頂けたのは技術力評価を得たと考えているし、共同開発したレコーダを販売できるのは、開発の先に行うべき設計、品管機能も持ったワンストップ・ソリューションを提供しているからだ」

■フル規格、8K12ビット120フレームも検討
−−−今回のレコーダはCCUにつないで使うのか
松本「基本的にはCCU出力を記録するが、顧客の用途に合わせてカスタマイズも可能だ。PCI Expressを採用しているので、PCにデータを直接取り込むこともできる」
−−−今の信号はデュアルグリーンだが、フル規格への対応は?
松本「フルスペックのスーパーハイビジョンでは、8Kx4K画素でRGB、そして深度は12ビットとなり毎秒120フレームだ。現在、映像だけで約20Gbpsだが、この7倍以上となる。今後、フルスペックを対象とすることを考えたい」
−−−カセットに記録するとなると、カセットだけを製造するメーカーが出現することが考えられる。この部分の規格化、標準化などはどうするのか。
高島「符号化の中心部分はJPEGの拡張規格を採用している。その周辺フォーマットという意味では、標準化も検討の対象となろう」

■自社の生産管理のもとで製造 フォーマットなど用途に合わせ柔軟に対応
−−−今回、このレコーダの販売を始める
西脇「受注生産の受付を始める。当社は、開発センター内に生産管理部を持っており、協力工場における製造の品質管理まで目を配ることができる。製造先に丸投げを行うことはないので、品質には自信を持っている」
高島「レコーダは受注生産であるから、メモリーパックに記録する際のフォーマットなどは相談に乗ることができる。お客様の用途に合わせて、細かな調整が可能だ」
−−−価格はどの程度か
高島「オーダーメイドの部分もあるので定価が存在しない。まずNHK技研公開時の構成を元にお客様とご相談させて頂くことになる」

■■
 これまで、8Kスーパーハイビジョンは手軽に使えるレコーダが存在しないことが指摘されてきた。今回のメモリー着脱型レコーダの登場で、屋外に限らず、スタジオでの収録も従来よりも容易に行えるようになると期待できる。
 今後は、フルスペック対応が求められよう。144Gbpsインタフェースは、光伝送が現実的だ。画素数も4K×2Kを用いてきたデュアルグリーンに方式比べて3倍、フレームレートは2倍と大幅に増加するため、種々の難しさがある。並列度を高めるなどの手段で信号処理を行うとみられる。
 8Kスーパーハイビジョン用レコーダのように、生産台数が少ないものは、システムLSIを起こしていては経済的に見合わない。また、ソフトウェア処理では性能の目標到達は難しい。小型筐体に収めるとなると、FPGAでの開発が現実的だ。FPGAを用いた研究開発、そして製品は今後ますます増えてゆくと考えて間違いなさそうだ。

技研公開2014で展示された8KSHV小型記録装置

技研公開2014で展示された8KSHV小型記録装置

(左から)開発を担当した西脇氏、松本氏、高島氏

(左から)開発を担当した西脇氏、松本氏、高島氏

#interbee2019

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