【NEWS】スイス マッピング・フェスティバル報告など、プロジェクションマッピング協会 石多氏が最新事情を紹介 

2013.6.18 UP

実演しながらPMを説明した
右がPMAJ代表理事の石多氏。左が石川氏

右がPMAJ代表理事の石多氏。左が石川氏

 CPP(Creative Power Play)主催によるセミナー「プロジェクションマッピング最新事情2013」が、5月30日に東京都渋谷区のスタジオエビスで開かれた。プロジェクションマッピング協会(PMAJ)代表理事の石多未知行氏が登壇し、スイス・ジュネーブで開催されたPMの祭典「マッピング・フェスティバル2013」の報告、PMAJがリリースしているPM用ソフト「Resolume」によるデモ、そしてPMAJが制作にかかわり今年4月から展開している高知駅前の「龍馬伝 幕末志士社中」における常設プロジェクションマッピングショーの内容が紹介された。(映像新聞 記者 川田宏之)

■計6大のプロジェクターでジュネーブ歴史美術館への大規模なPMを実施
 石多氏は、PMの祭典「マッピング・フェスティバル2013」(スイス・ジュネーブ、5月2-12日)に参加。現地での映像や写真を交えながら今年の模様を詳しく紹介した。
 「マッピング・フェスティバル2013」(http://www.mappingfestival.com/2013/)は、毎年5月、10日間にわたり開催される。ビデオマッピングやオーディオビジュアル(AV)、クラブのビデオジョッキー(VJ)のカルチャーの祭典。今年で9年目を数える。VJソフト「Module8」や「Mad Mapper」の開発チームが、そのソフトや映像表現のフィールドを設ける機会を開設したことが開催のきっかけだったという。
 会場エリアは4カ所あり、常設インスタレーションを見ることができるオープンスペースギャラリーや、ギャラリースペースのほか、多目的に使われる広い空間でワークショップやセミナーが開かれる。夜はクラブとなり、AVパフォーマンスやVJショーなどでの交流があったという。
 ジュネーブの歴史美術館では、屋外建築物への大規模なPMが実施された。ここでは、2万ルーメンクラスの高輝度プロジェクターが用いられた。2万ルーメンのプロジェクターを2台スタックした投映装置を3カ所に設置。計6台のプロジェクターをスウェーデンのDataton社のマルチディスプレーソフト「WATCHOUT」(http://www.dataton.com/watchout)で制御したという。投映の対象となる美術館のファサードの情報は3Dスキャンを使ってモデリングされた。

■コミュニケーションを重視したアーチストのイベント
 「マッピング・フェスティバル2013」は、10年近い歴史があるが、決して大規模の祭典ではないという。「それでも多くのアーチストがアプローチするのは、そのコンパクトさならではの一体感ある空気だ」と石多氏は語る。主催者は他の大きなフェスティバルとは違う方向を目指している。大規模にすると多くの人が集まり過ぎるので、コミュニケーションが希薄にならないように大規模化は望んでいないのだ。
 欧州のみならず、インドネシアなど海外からのPM作品の出展もあった。マッピングというよりメディアアートと呼ぶべき作品も展示された。天井から幾筋ものLEDの球体がつり下げられ、制御されたその小さな球体がインタラクションにより繊細で美しい光を空間に描き出す作品は印象に残ったという。
 石多氏は「約6000個のLEDの光が空間をダイナミックに動く様は、海中でイワシの群れを見るかのごとき視覚体験を与える」と感想を語っていた。
 日本のシーン、特に広告業界でのマッピングで見られる様なサービス精神は、あまり見られないという。石多氏は「それよりもアーチストはいかに自分の個性や世界観を見せるかに注力しているように感じた。欧州でのアーチストのスタンス、フェスティバルのスタンスというものがはっきりと見られた」と述べた。

■セミナー会場でPMソフト「Resolume」をデモ
 PMAJが国内販売をしているオランダResolume社のPMソフト「Resolume」(http://www.projection-mapping.jp/resolume/)。セミナー会場では、この「Resolume」の日本語版を使いマッピングをデモした。PMAJにより日本語対応しており、日本語インタフェースを選択できるほか、日本語のファイル名を読み込め、タブやレイヤー、クリップの名前にも日本語が使えるようになっている。また、マッピングの機能も強化された。
 続いて、今年4月から展開しているJR高知駅前の観光施設「龍馬伝 幕末志士社中」における常設プロジェクションマッピングショーの内容も紹介した。これは、PMAJが制作に関わっているプロジェクト。石多氏は「PMというと、建物に映像を投映するイメージが強いが、これは和室の室内でのPM。NHK大河ドラマの龍馬伝で使用された龍馬の生家を移築した施設を利用し、新たな龍馬の物語をPM作品として表現している」と説明した。

■盛況のCPPイベント 次回は6月22日に開催 ゲストはハリウッドの映画編集者横山智佐子氏
 PMAJ代表理事の石多未知行氏が、話題のPMについて解説した今回は、石川氏の進行で約4時間近くの長時間にわたりディスカッションを交わされた。50人程度の小規模の会場だったが、定員を大きく越える80人近くの参加者があり熱気に包まれた。
 CPPは映像制作、映像クリエイティブの活性化を目指すリアルイベントの企画主催を軸に、イベント情報の発信やラーニングコンテンツ配信などを手掛ける。主催イベントはすべてプレーヤー(来場者)参加形式で、キープレーヤー(ゲストスピーカー)が提言した話題について話し合う。構想アイデアを交わすために、映像制作者、クリエイター、業界関係者の垣根を超えた社交場として発足、映像ジャーナリストの石川幸宏氏が主宰している。
 次回は、6月22日(土)、 ハリウッドで活躍する映画編集者、横山智佐子氏を迎えて開催する。横山氏は、米ロサンゼルスの映画学校ISMP(International School of Motion Picture)の校長を務めており、これまでフィルムエディターとして多くのメジャー作品、アカデミー賞受賞作品に参加。ISMPは、日本語で受講できる映画学校だ。
 セミナーでは、ハリウッド映画の裏側ではどんなことが行われているのかといった内容について、映画『グラディエーター』(2000年・リドリー・スコット監督)、映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年・ガス・ヴァン・サント監督)など、横山氏が実際にエディターとして参加した作品を例に挙げて紹介する。
また、ISMPの学校説明会や、ISMPの東京でのサテライト授業として、ハリウッド式の映画編集テクニックの基礎講座を特別に開催する。
 参加申し込みは事前にサイト(http://peatix.com/event/14941/view)で受け付ける。

右がPMAJ代表理事の石多氏。左が石川氏

右がPMAJ代表理事の石多氏。左が石川氏

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