【ニュース】世界最大のCGの催しSIGGRAPHがロサンゼルスで開催

2012.8.23 UP

SIGGRAPH 2012の展示会場
基調講演に登壇したジェーン・マクゴニアル博士(画像提供:ACM SIGGRAPH)

基調講演に登壇したジェーン・マクゴニアル博士(画像提供:ACM SIGGRAPH)

マサチューセッツ工科大学のテンソルディスプレイ

マサチューセッツ工科大学のテンソルディスプレイ

■画像からの情報読み取り、画像処理関連研究が進歩

 CG分野で世界最大の学会および展示会である「SIGGRAPH2012」(主催=ACM SIGGRAPH)が8月5-9日の5日間、米国カリフォルニア州のロサンゼルス・コンベンションセンター(LACC)で開催された。今年は展示会場面積が前年より10%以上拡大し、CG産業に活気が感じられた。学術論文では、「画像からの情報読み取り」に大きな進展が見られ、画像処理関連研究の急速な進歩を示していた。ディスプレーも従来以上に計算処理が重要視されており、再び処理能力で画質の違いを生む状況となっている。(杉沼浩司)


■「サイエンスとアートが混ざり合う大会」

 実行委員長であるレベッカ・ストレズレッグ教授(ペンシルベニア州立大学アルトナ校)は、記者会見で「サイエンスとアートが混ざり合う大会」であり、「両者の融合が良好な反応を起こすだろう」と抱負を述べた。
 同氏によれば、今年は449本の論文が投稿され、うち94本が採録。TOG(トランザクション・オン・グラフィックス)からの論文と合わせて132本が発表された。CG産業以外からも幅広い出展がある展示会は、161社が参加。展示会床面積は昨年より10%以上の4万4750平方フィート(約4157平方メートル)になったという。


■低価格3Dプリンターが多数出展

 展示会場は、オートデスク、ライトウェーブ、NVIDIAといった企業から今年初参加の企業まで、多彩な出展で埋まった。特に低価格の3Dプリンターが目立ち、ラピッドプロトタイピングの裾野の広がりが見られた。
 新たな試みとして、今年はモバイル(スマートフォン、タブレット)でのグラフィックス作成を論じる「SIGGRAPH Mobile」を初開催した。
 6日には基調講演が開かれ、ゲームデザイナーで『リアリティー・イズ・ブロークン』の著者でもあるジェーン・マクゴニアル博士(スーパーベター・ラボ)がゲームの身体的効用などを解説した。当日使われたフレーズ「7分半長生きする」は、その後SIGGRAPH会場で共通して語られる言葉の一つとなった。


■「適応型」表現に関する優れた論文が登場

 コンピューターアニメーションフェスティバルには、601作品の応募があり91作品を上映。エレクトロニック・シアターでは、うち31作品を公開した。今年のシアター作品は、使用技術ではなくストーリーで競う感が強かった。同時に、作風は明るくなり、傾向の変化が見られる。また、エレクトロニック・シアター終了後には、ディズニーによる作品も上映した。
 論文発表では、モデリングおよびアニメーション分野で、状況に応じて全体が変化する「適応型」に関する研究が多く見られた。例えば布の表現では、これまでは布の動きやしわに自然さを求めていた。今年は一歩進めて「一つのモデルが自動的にどの体型にもフィットする」といった、適応的なモデルの研究がされている。このような動きは、布に限らず、モデル間の位置関係により自動的に姿勢、形状などが調整されるものにも見られた。人体型のモデルで、肩車を可能にした例も現れた。
 裸眼立体視関係ではマサチューセッツ工科大学が、パララックスバリアの原理を使用しつつも、適応的にバリアの構成を変えることで画期的な高画質を実現した「テンソル・ディスプレー」を発表した。
 画像処理技術も大きく進歩し、カット編集時のつながりの不自然さを自動的に排除する研究や、取得画像中のわずかな変化を拡大表示する研究(例=顔の映像から心拍を読み取る)などが示された。

基調講演に登壇したジェーン・マクゴニアル博士(画像提供:ACM SIGGRAPH)

基調講演に登壇したジェーン・マクゴニアル博士(画像提供:ACM SIGGRAPH)

マサチューセッツ工科大学のテンソルディスプレイ

マサチューセッツ工科大学のテンソルディスプレイ

#interbee2019

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