【Inter BEE 2015】INTER BEE CONNECTED:セッション報告(3)「キー局の動画配信(オンデマンド)」知見を積み重ねて各局それぞれ独自の戦略を磨く

2015.11.26 UP

電通総研・奥氏が、各世代の経年変化でテレビ離れがさらに進むと予測されると解説

電通総研・奥氏が、各世代の経年変化でテレビ離れがさらに進むと予測されると解説

テレビ朝日・大場氏による動画配信の戦略

テレビ朝日・大場氏による動画配信の戦略

フジテレビ・下川氏が示したU-VOD戦略の解説

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電通総研・奥氏が示したグラフから、見逃し視聴は自宅で多く見られていることがわかる

電通総研・奥氏が示したグラフから、見逃し視聴は自宅で多く見られていることがわかる

 INTER BEE CONNECTED内での企画セッション、18日最後は「キー局の動画配信」と題して、在京キー局各局の動画配信担当者が一堂に会してのパネルディスカッションだった。昨年も「キー局のネット配信」という同様のセッションがあり立ち見も出る大勢の来場者となったが、今年のこのセッションも満席となり、別に設けられたサテライト会場の席も埋まった。TVerをテーマにしたInterBEE 全体の基調講演も熱気を帯びていたが、それに続いてテレビ局による動画配信への関心の高さが感じられた。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■データから見る「テレビ番組のネット配信ニーズ」の大きさ
 このセッションのモデレーターは、INTER BEE CONNECTEDの発案者でもある江口靖二氏が担当した。まずは昨年の動画配信のセッションでも登壇した電通総研・奥律哉氏が、議論の前提として「テレビ放送とネット動画への接触」の最新データを一通り説明した。
 若者のテレビ離れが進むと、各世代がその傾向のまま年齢を重ね、全体としてテレビへの接触が減少することが懸念される。その一方で、ネットで動画を視聴する際は動画共有サイトでテレビ番組を視聴する割合がかなりあることも解説された。つまり、テレビ番組のネット配信には大きなニーズがあるのだと言える。

■多面的な展開を進める日テレの動画配信
 続いて各局担当者が、自社の動画配信の考え方をプレゼンした。日本テレビ・太田正仁氏は、見逃し視聴を推進する一方、huluではアーカイブを配信するシンプルな考え方を短く説明。テレビ朝日・大場洋士氏はテレ朝動画やTVerで見逃し配信を進める一方、サイバーエージェント社とのAbemaTVやKDDIビデオパスへの番組供給、そして動画に限らない独自のコアポータル構想としてfavclipを展開するなど多面的な戦略を説明した。

■多彩なキー局各社の動画配信
 TBSテレビの高澤宏昌氏は、TBS FREEで無料見逃しを、TBSオンデマンドで有料配信を展開するなど四象限のマトリックスで戦略を明示した。テレビ東京コミュニケーションズ・蜷川新治郎氏はビジネス系からお色気までの独特な番組群を、テレビ東京らしさを生かして配信していきたいと説明。最後にフジテレビジョン・下川猛氏はFODブランドのもと、TVOD、SVOD、ADVODを多角的に展開するU-VOD戦略の考え方を披露した。

■各局が動画配信に取り組む「ねらい」
 後半のディスカッションではまず江口氏から、動画配信に取り組む理由が問いかけられた。太田氏は、見逃し配信については若者層へのリーチのためであり、地上波の補完と位置付けているが、有料配信の方では景気に左右されがちな放送とは別の収益源としてとらえていると述べた。高澤氏は大筋同じ意見としながらも、ドラマのアーカイブが豊富なTBSとしては過去の名作の配信でDVDでも見せられなかった番組を配信し、3次4次利用にもなっていることを付け加えた。

■「見逃し視聴」自宅が多くモバイルは少ない傾向
 また奥氏から、見逃し視聴を利用するのは自宅のリビングや自分の部屋がほとんどで、外出中の利用は少ないというデータが示され、テレビ受像機で視聴させた方が良いのではとの問いかけがなされた。太田氏はhuluの視聴データを見ると、デバイスはスマホの方が多いが、視聴時間ではテレビの方が多いことを述べた。蜷川氏は、まだスマホが増える中でコンテンツをとにかく出している段階で、どうやって知ってもらうかで苦労している段階だと発言した。

■オンデマンドとライブの中間的なアプローチも
 江口氏から今度は、ライブ感も重要ではないか、SNSはライブそのものでありその流れからすると番組もライブが好まれるのではないかと質問した。下川氏は、フジテレビで「めちゃユル」をライブ配信しているが、配信後にオンデマンドで視聴する人もかなりいることから、必ずしもライブが有利ではなく中間的なやり方が適切かもしれないと答えた。

■Amazonへの対応を模索中
 また、9月にSVODサービスをはじめたAmazonについて聞くと、蜷川氏と高澤氏はコンテンツを多く出しているものの様子見中だと説明した。太田氏は、よくよく様子を見て、コンテンツ側にお金が戻らないサービスには出さない考え方であると述べた。

 見逃し配信も二年目に入り、ポータルとしてのTVerもスタートした今、各局ともそれぞれ知見を積み重ねて独自に戦略を磨いていることがよくわかるセッションだった。今後さらに工夫を積み重ね、収益的にも大きな身を結ぶことを期待したい。

電通総研・奥氏が、各世代の経年変化でテレビ離れがさらに進むと予測されると解説

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テレビ朝日・大場氏による動画配信の戦略

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フジテレビ・下川氏が示したU-VOD戦略の解説

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#interbee2019

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