【NEWS】NHK 8Kでドラマとショートムービー制作 AVC圧縮活用 P2に60分の8K映像記録

2013.11.6 UP

SHVドラマ『コーラス』

SHVドラマ『コーラス』

8Kショートムービー『美人の多い料理店』

8Kショートムービー『美人の多い料理店』

 NHKは10月29日、NHKみんなの広場 ふれあいホールで、8Kスーパーハイビジョン(以下、8K)で制作した初のドラマ『コーラス』と、8Kショートムービー『美人の多い料理店』の試写会を実施した。将来の本格的な8K放送実現を見据え、知見を得ることが目的。8Kリアプロジェクターで520インチのスクリーンに投写・上映している。

■8K撮影によるドラマ制作で試行錯誤 ワークフローの課題を抽出
 『コーラス』は、6部屋のアパートを舞台に、そこで暮らす人々と、ある男の人生に起きた出来事を重ねながら、ナレーションをバックに状況が進展していく。
 舞台のアパートのセットは、すべての部屋が見渡せる断面の構造になっていて、映像はクローズアップ、カット割りを一切使わない、舞台を見ているかのような作品になっている。2月に企画が動き出し、7月に撮影。編集に1カ月をかけて完成したという。
 同ドラマのチーフプロデューサーの篠原圭氏は、8Kでのドラマ制作について、カメラ位置を動かすのに非常に時間がかかることや、照明も従来の何倍も当てなければならいといった制作上の課題を挙げる。また、メイクや美術、俳優の演技など、プロセスすべてで「逃げられない」と話した。可能性を広げるために、今後も8Kに取り組んでいくと意欲を示していた。
 『美人の多い料理店』は、映画『デトロイト・メタル・シティ』などで知られる李闘士男監督が8K短編映画に挑戦した作品。俳優の中井貴一を主役に、究極の料理を口にするために美女を探さなければならなくなった料理評論家の悪戦苦闘を描いている。
 中井演じる売れっ子の料理評論家が、料理雑誌の編集者(ハリセンボンはるか)に誘われて行った評判のレストランは、料理はすべて料理長のお任せ。しかし2人に出てきたのは「めざし」だった。香椎由宇演じる美人コンシェルジェが料理評論家に耳打ちする。「料理長は女性を見て、それに応じた料理を出します」と。それから料理評論家は、次々に美人を誘って来店するが……。
 『コーラス』は劇作家の岩松了氏の台本、「美人の多い料理店」は原案・脚本監修が小山薫堂氏で、これが作品の色合いに大きく影響しているようだ。『コーラス』は超高精細の8Kを生かした実験的な色彩が強いが、『美人の多い料理店』はストーリー的にも商用コンテンツとして成立するものに見えた。

■8K用のズームレンズ2種類を使用 記録にはP2カードを採用
 今回の2作品の制作では、緑が2ch、赤・青が各1chのデュアルグリーン方式の単板カラー撮像素子を搭載した8Kカメラと、8K用に開発された2種類のズームレンズを使用している。
 8Kカメラからの映像の記録には、パナソニックの半導体メモリーのP2カード(64ギガバイト)17枚を使用した11Uほどの大きさの装置を使用。これはAVC圧縮によって60分の8K映像を記録できるものだ。
 編集システムとのやりとりの中での画質劣化の課題はあったが、従来からの非圧縮HDDでは20分ほどの記録時間であったため、そのメリットは大きかったようだ。
 また今回使用した制作システムは、全体がデュアルグリーン方式に対応した形になっている。編集においては、緑2、赤・青各1ch用の各ワークステーションにつながったHDDが同期して映像信号を記録し、編集するというものだ。技術担当者は、「(8Kの制作は)まだ力技の状況。進化の余地はかなり残されている」と述べた。

SHVドラマ『コーラス』

SHVドラマ『コーラス』

8Kショートムービー『美人の多い料理店』

8Kショートムービー『美人の多い料理店』

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