【NAB Show 2017】多彩に拡がる映像ビジネスの変化を映し出したNAB Show 2017

2017.4.30 UP

マイクロソフトのブース

マイクロソフトのブース

初出展したvimeo

初出展したvimeo

キヤノンのブースにあったドーム型のシアター施設内

キヤノンのブースにあったドーム型のシアター施設内

 今年のNABの出展傾向を見てみると、このところの映像業界における様々な変化が見て取れる。
 まずソニー、パナソニックという日本の2大メーカーは、両社とも目立った新製品の発表や新技術の発表は少ないながらも、業務の新会社移行による新体制での事業計画やこれからの映像需要に応える内容となった。両社はこれまでの映像放送機器専門分門からより広い分野に目を向け、4月から大幅な組織変更により会社方針も大きな転換時期を迎えたこともあり、NAB Showへのアプローチもこれまでとはイメージが一新された印象だ。
 ソニーは、今年4月から業務用映像機器部門を新会社、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社へ移管した。基本の業態内容は変わらないようだが、同社として初のNAB参加。会場ブース正面のメインステージには、昨年のinfocomで発表された、次世代LEDパネル技術である「クリスタルパネル」を設置。高輝度かつ高解像度映像で技術の存在感を示した。他の展示では独自のクラウドシステム、ソニーが先導してきたIPの各ソリューション、そしてHDRの汎用的展開など、技術の最新トレンドを組み込んだ全体的なソリューションを前面に押し出した展示内容だ。
 パナソニックも従来の放送・映像事業部門とセキュリティ、スタジアム設備、大型映像設備などの部門が合体、パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 メディアエンターテインメント事業部としての新体制で初のNAB出展となっている。こちらも新製品PRというよりも、これまでの放送・映像制作機材の展示だけでなく、プロジェクションなどの大型映像、アミューズメント施設向けのソリューション、スタジアムエンター テインメントシステムなど、さまざまなコンテンツ制作をサポートする幅広い映像ソリューション提案企業としてのアピールが主な内容になっていた。
 この2社の傾向を見ても、映像関連業界がいかに多様性の時代に入ったかがわかる。
 数年前に始まったNetflix、amazon.comなどのOTTやWeb&Mobile ビデオへの需要拡大に始まり、いまや放送、映画以外の様々な映像分野において、その市場拡大に伴う取り組みが優先課題となり、急速に広がっている。
 さらにその他各社の新製品傾向を見ても、こうした多様性に富む現在の映像業界に対して技術の劣化、鈍化が加速している中で、新技術の優位性が短期間で失われやすい中で、技術スペックを売り物にした製品のマネタイズの難しさが如実に現実となっている。時代はまさに製品自体が、こうした新たな時代の映像の多様性に即時対応することが迫られている。
 そして、それに取って代わるモノとは何か? いまある技術で必要な収益を補うようなビジネススキームをどう見いだせるか?
 長年、映像・音響の新製品発表の場であったNAB Show自体の意義が、いままた再定義されつつあるようだ。
(石川幸宏 映像ジャーナリスト/▶︎HOTSHOT編集長)

(写真説明:タイトル上から順番に)
1.ソニーのクリスタルパネルは次世代のLED技術を詰め込んだ高輝度高解像度、視野角180度の先端パネル技術。
2.今回のNABではMicrosoft社がAvidと提携するなど、IT企業のこれまでにも増した進出が際立った。
3.今回単独出展を果たしたVimeo。クラウド上での編集や360度VRへの対応など、積極的な展開を見せる。
4,キヤノンブースにひときわ目立つドーム型のシアター施設内は、全天球型360度映像の専門シアター。観客は寝そべるような形で観賞できる。

編集:Inter BEE 2017 ニュースセンター

マイクロソフトのブース

マイクロソフトのブース

初出展したvimeo

初出展したvimeo

キヤノンのブースにあったドーム型のシアター施設内

キヤノンのブースにあったドーム型のシアター施設内

#interbee2019

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