Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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Special 2026.10.16 UP

【INTER BEE FORUM 特別講演】「日本のテレビ・動画配信は、この”地殻変動”をどうビジネスに変えるのか 〜AIネイティブ時代の広告取引:エージェンティック広告の真価と限界〜」事前レポート

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広告の取引を、AI同士が担う時代が来ようとしている。「エージェンティック広告」と呼ばれるこの動きは、すでに米国のデジタル広告業界を大きく変え始めており、テレビ局も対応に乗り出している。INTER BEE FORUM特別講演「日本のテレビ・動画配信は、この"地殻変動"をどうビジネスに変えるのか」では、この聞き慣れないテーマを正面から取り上げる。開催は11月20日15時から、幕張メッセ国際会議場2F 201会議室。モデレーターは日本電気(NEC)メディアソリューション統括部シニアプロフェッショナルの深田航志氏、メインスピーカーはストラクチャー&シグナルズ代表取締役の杉原剛氏が務める。パネリストとして、小林製薬マーケティング戦略部の大槻開氏、TVer広告プロダクト本部本部長の大野祐輔氏、日本テレビ営業局総合営業センター担当部長の松本学氏が登壇する。InterBEEのビデオポッドキャストで、筆者が深田氏と杉原氏に話を聞いたので、その内容を紹介する。
(メディアコンサルタント 境治)

AIが広告の営業担当とバイヤーになる

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深田氏は毎年、INTER BEEで広告をテーマにしたセッションを企画してきた。昨年はTVer、日本テレビ、ABEMAの3社が登壇し、広告のセルフサーブ機能や、話題になり始めていたNetflix、Amazonプライム・ビデオの広告について議論した。今年のテーマが決まったきっかけは、今年1月に杉原氏が講演で示した2026年の業界予想だった。そこでエージェンティック広告の話を聞き、「これは面白い」と感じた深田氏が杉原氏に相談を重ね、今回の企画につながったという。
では、エージェンティック広告とは何か。杉原氏は「一言で言うと、AIが広告の営業担当とバイヤーになって、商談をしてくれる仕組み」と説明する。意外なことに、デジタル広告の現場は手作業が多い。広告主と代理店はExcelでプランを練り、パブリッシャー(メディア)とはメールで条件を交渉する。キャンペーンを始めれば入札額を調整し、飽きられないようにクリエイティブを差し替える。終了後には数字を整え、考察を加えてPowerPointにまとめる。「かなり手作業文化」なのだ。

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エージェンティック広告では、これが一変する。広告主が「こんな人たちに、このくらいの予算で広告を当てたい」とAIに伝えれば、買い手側のAIエージェントが売り手側のAIエージェントと瞬時に交渉し、プランを示す。広告主が了承すればキャンペーンが自動で作られ、改善もAIが担う。終了すれば考察付きのレポートが届く。
米国ではすでにテレビ局も動いている。杉原氏によれば、最も進んでいるのはNBCユニバーサルで、リニアテレビとコネクテッドTVを組み合わせたメディアプランを「10秒ぐらいで出してくれる」という。フォックス、ディズニー、パラマウントなども取り組みを表明している。昨年10月に発表されたオープンプロトコル『AdCP(Ad Context Protocol)』をはじめ、規格は複数あり、各社はどれが主流になるかを見極めながら実証を重ねている段階だ。フランスのTF1のように、代理店が自然な言葉で番組提供枠を問い合わせるとAIがプランを示し、判断と発注は人間が行うという部分的な導入も進んでいる。「エンドツーエンドでエージェンティック化した放送局は、まだほとんどない」というのが杉原氏の見立てだ。

テレビCM取引は、どこまでAIに任せられるか

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日本ではどうか。深田氏は、パネリストの大野氏が今年3月にTVer Tech Blogでエージェンティック広告について書き、対応する考えを示していると紹介した。日本テレビの松本氏は、テレビCM取引のデジタル化を進めるアドリーチマックスの責任者である。一方で、ローカル局には投資面でのハードルがあるところもあるため、深田氏は「放送局側の営放システムなどとの連携がカギを握ってくる」と指摘する。
AI同士が取引するなら、広告会社は不要になるのか。杉原氏の答えは慎重だ。技術的には中間業者を抜いた1対1の取引が可能になる。しかし、AIエージェントを用意し、規格に沿って正しく動かすには技術力が要る。「日本ではまだ自前で対応できる企業は限られるので、広告代理店に助けてもらいながらの伴走型になることが多いのではないか」と見る。

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杉原氏は「広告主がどう考えているかが、このセッションのキーテーマになる」と語る。その役割を担うのが小林製薬の大槻氏だ。P&G出身で、かつて杉原氏の会社でインターンを経験した縁もある。杉原氏は「デジタルとテレビ側の両方の経験を持つ、数少ない日本のマーケターの1人」と評する。そのうえで、パネリストへの期待をこう語った。大槻氏には「AIに任せたい業務と、絶対に任せたくない領域」を、大野氏には配信が放送に先行する実験の場になれるかを聞きたい。松本氏には「タイムスポット取引のどこまでをAIに任せられるか」を率直に聞いてみたいという。
杉原氏がセッションで最も伝えたいのは、「AIに選ばれないといけない」ということだ。買い手は自分のやりたいことを、売り手は自社の媒体や広告メニュー、取引条件を、きちんと言語化してAIに伝えなければならない。それができなければ「土俵にも乗らない」。しかも、ありきたりの媒体説明だけではAIは判断できず、「その先にあるコンテキストをいかに正確に伝えられるか」が問われるという。深田氏もデータを扱う立場から、自局のデータなどのうち何が自分たちの番組の価値を示すのかを考えて出していく必要があると付け加えた。

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話を聞きながら筆者は、AI時代の広告取引が、メディアの本来の価値をあらためて問う機会になるのではないかと感じた。深田氏は、技術者だけでなく営業や経営に携わる人、広告主や広告会社の人にも聞いてほしいと話す。興味ある方は、INTER BEEの来場登録を済ませた上で、下記リンクから聴講予約をどうぞ。
またこの取材の様子はビデオポッドキャスト形式で映像でも視聴できる。

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