Inter BEE 2021

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Special 2025.10.31 UP

【INTER BEE MEDIA Biz】企画セッション「放送の“非放送化”~ IP放送とメディアビジネス構造変革」事前レポート

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INTER BEE MEDIA Bizでは、「放送の“非放送化”~ IP放送とメディアビジネス構造変革」と題したセッションを企画した。「放送の”非放送化”」とは、放送のIP化のことであり、今後の放送ビジネスにとって避けられないテーマだ。市場の縮小傾向が始まっている中で、新たな伝送路でビジネスがどう構築できるか、そのための課題は何かを、いま掘り下げておく必要がある。登壇するのは、株式会社コミュニティネットワークセンター(CNCI)から一般社団法人日本ケーブルラボに出向している澤崎栄治氏、一般社団法人 衛星放送協会の齊藤敏一氏、モデレーターはセッションを企画したTBSテレビ高澤宏昌氏が務める。業界の最前線で取り組む2人の登壇者に何を話してもらうのか。その事前打合せの様子をレポートする。

IPユニキャストによる放送コンテンツの配信実験著作権処理の実務的課題

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澤崎氏は出向元である、株式会社コミュニティネットワークセンターでIPユニキャストを活用した放送コンテンツの伝送実験に取り組んでいる。実験の背景には多チャンネル放送の新たなコンテンツ伝送方法を開拓せねばとの使命感がある。
「我々ケーブルテレビ事業者の多くは調達・編成・伝送・課金までを一貫して行っているプレイヤーなので、この環境変化に対応した新しい発想による伝送手法を開発し、実験してみました」と澤崎氏は説明する。同氏は実証実験の成果と課題、さらにはデータ取得によるAIレコメンドの取り組みなど、これまでにない視聴体験の可能性についても触れる予定だ。

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齊藤氏からは衛星放送協会事務局の立場で、IPユニキャスト配信における著作権処理の基礎知識と課題について解説してもらえる。
「放送と通信は相手が公衆か個人かで分けられています。またマルチキャストとユニキャストは一対多と一対一で分けられます。」私たちがわかっているようできちんと理解できていない基本的なところも知ることができそうだ。さらに、法制度上は放送コンテンツのIPリニア配信での権利処理は”推定許諾”により簡易化されたものの、実務では権利処理の効率化が進んでいないという問題を指摘する。こうした課題は、今後放送の新しい在り方を論じる上でぜひ知っておきたい点だろう。

”非放送化”から見えるメディアビジネスの未来像

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打合せでは、放送のIP化に関する実務と課題が様々な方向から語られ、深い議論が交わされた。特に「ユニキャスト配信を放送として認めるべきかどうか」という論点は今後最も議論されるべきだろう。多様な視聴スタイルを提供することはメディア関係者のミッションかもしれない。
「放送とIPという複雑なテーマですが、なるべく分かりやすく伝えることを意識しています。特に非放送化やIPユニキャストといった用語も含めて、一般の聴講者に理解いただける内容にしたいと考えています」とモデレーターの高澤氏は述べる。
放送の未来を考える上で重要な論点を網羅したセッションとなりそうだ。放送事業やメディアビジネスに関わる方はもちろん、コンテンツ制作や権利処理に携わる方も必見の内容だ。Inter BEEの来場登録の上、下記リンクで聴講予約して参加いただきたい。

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