InterBEE REVIEW2016
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97アジア・ディレクターズ・スーパーセッション 『シン・ゴジラ』『進撃の巨人』など、多くのヒット作・話題作を手がける映画監督、樋口 真嗣氏。作る映画を次々とヒットさせている、コメディアン出身という異色の経歴を持つシンガポールの映画監督、ジャック・ネオ氏。アジアのトップランナーとして映画をけん引する二人の監督が、これからのクリエイター、映画の世界に期待すること、現状抱えている課題などを語り合った。オリジナル作品をどう作るか アジアの11の国・地域から、優れたコンテンツクリエイターを発掘すべく行われているTBS主催の映像フェスティバル『DigiCon6』。その審査のために来日したジャック・ネオ氏。 氏は、シンガポールで16年ほど映画制作を行っており、興行成績を毎回更新しているという驚異の監督だ。現在までに約30作ほどの映画をリリースしており、主に描いているのは人々の生活で、中でも大事にしているのは「コメディ」の要素だという。 精力的に活動を続けるジャック氏に対し、樋口氏は「日本では、投資した資金への回収が明らかに見込まれるものでないとお金が出ない。例えば、リメイク、原作もの、ドラマ発など。オリジナル脚本にお金を出す人はいないが、ジャックさんはどうしているのか?」と質問。ジャック氏は、「シンガポールも同じで、新しい作品を1から作るのはリスクが高い。ただ、自分はリスクをとってオリジナルを作る」と返答。そうして作られた『Ah Boys to Men』を例に挙げ、大好評を受けて続編が次々に作られることになったというエピソードを披露した。国に囚われない映像のありかた DigiCon6のグランプリノミネート作を見て後、両氏は今後のクリエイターたちの姿に言及。 「アジアの作品はローカルカルチャーに囚われ過ぎていて、輸出が難しいものが多いと感じる。国に関係なく誰でもわかるものが求められる」とジャック氏。 樋口氏は「壁を感じる」という。「自分で作らないといけないという状況から、みながみなジェネラリストになっている。すごいなと思う半面、そこが壁になっているのではないか。どうしても総合的にできる人を採用しがちだけど、そうでない人を組み合わせるといいものができるのではないかと思う」という。 それを受けてジャック氏は現在構想中の「Help Your Self Project」を披露。100分の映画を、アジア5か国で分割して各20分ずつ制作できないかというものだ。この制作法であれば、1/5のコストで、各国で100分で流せる映画が出来上がる。 「ホラーがいいのではないかと思う。ゴジラもいいかもね」と言うジャック氏に、「いろんな国に行くけど、結局ボコボコにされる、という共通の最後みたいのもいいかもね」と樋口氏は笑顔で応えた。11月18日(金) 16:00-16:45

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