InterBEE REVIEW2016
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音声修復(レストアリング)の技術と応用11月18日(金)13:00-16:00 音響シンポジウムオーディオ・レストレーション・ワークフロー ジョナサン・ワイナー氏(Mワークス・マスタリング・スタジオチーフエンジニア)が登壇。基本的なオーディオ・レストレーションの概念についての説明とiZotope RXソフトウェアのスペクトログラムによるビジュアル表現を用いた修復、修正手法を紹介。Steady State Noise(ヒスノイズ、ハムノイズなど)やTransient Noise除去のデモンストレーション、歪んだ素材のHead Room修正による音源修復などの実演を行った。音楽制作における音源修復ソフトとマスタリング 田林 正弘氏(日本コロムビア株式会社スタジオ技術部チーフマスタリングエンジニア)が登壇。マスタリング時の音源修復としては、演奏ノイズ、リップノイズ、ハムノイズ、ヒスノイズなどの除去がある。旧音源(アーカイブ素材)を商品として復刻する場合は、ノイズ処理が重要かつ必須であり、ノイズの種類により音源修復ソフトを使い分けて処理している。会場では、SP盤音源のノイズ処理のデモンストレーションを行った。リアルタイムでの原音復元技術がもたらすもの 須藤 高宏氏(マイクロサウンド代表)が登壇。室内の空調音、屋外でのセミや雨音を抑え、イベント等でのBGMを抑える効果があるCEDAR Audio社のdns2を紹介。テスト音源として、実際にマイクロフォンを会場に持ち込み、会場の空調音の除去が簡単な操作で実現可能なことを実証し、さらにピンマイクを用いてハウリング防止にも応用可能であることを実演した。このdns2の一番の魅力は、ほぼリアルタイム処理であり、リアルタイムで処理が必要な現場でも十分使用可能。デミキシング、人工知能とオーディオ・レストレーションの未来について ジェイソン・デーヴィス氏(イレヴンディメンションズメディアLLC社長/CEO)が登壇。Zynaptiq社では、信号源分離や機械学習、パターン認識と再合成に基づく技術を活用したソリューションを開発しており、その将来的な可能性について紹介した。  UNVEIL(リアルタイムリバーブ調整・シグナルフォーカシング)、 UNCHIRP(非可逆音声コーディング等により音質劣化した音源の再活用)、 UNMIX::DRUMS(ミックス音源内のドラムの音を強調または消す)などのそれぞれの解説と実力を聞かせてみせた。83

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