InterBEE REVIEW2016
27/71

 今回、新たに加わったポイントソースについて半澤氏は「イベントとして幅が出ました」と評価する。「音響業務をしている方の中には、ポイントソースを必要としている方もまだたくさんいらっしゃるんです」 ポイントソースのような中・小型スピーカーは、大型スピーカーに比べて年間の稼働率が高いという。ライブステージの現場でも大型とともにポイントソースが併用され、また劇場や公共スペースなど音楽系ではない小さなイベント会場では、ポイントソースが主に用いられる。使用頻度としては今もなお需要は多いという。 「ポイントソース型は、コンパクトで使いやすい。ここ最近、性能もさらに向上しており、どの製品も一定レベルの音が出る時代です。そうした意味でポイントソースの導入は、プロの目にも引き続きかない、さらにコンシューマーレベルまで関心層を広げることになったかと思います」(半澤氏)29 また、今回新たに実施したX- Headphone、X-Microphoneについて半澤氏は「プロが最新の製品を試せる場としても貴重だが、アマチュアや音楽や映像制作を学んでいる若い人にも体験してもらうことが重要」と話す。「良い音、良い作品との出会いがあることで、より多くの人がプロの道を志してもらうことにつながれば」と期待をにじませる。音楽を愛するアマチュアからプロまで 今後のINTER BEE EXPERIENCEについて、半澤氏は次のように話す。 「このイベントは、普段は一度に体験できない最新機材を試聴できる場として大きな価値を生み出してきましたが、これに加え、これからは提案型の企画も考えてもらいたいですね。5年先の音づくりはこんな風なものになっているんじゃないかというものがあってもいいのではないでしょうか。今までにない発想を試して体験する場としても機能すると、もっと面白いかなと思いました」 少し先の未来を提案していく。そうして、参加し体験した側の中にも何か閃くことがあれば、いかにもInter BEEらしいと語る半澤氏。「音は見えないだけに、聴く側のイメージを無限に育てることができるのが魅力」という。そうして育まれたものは、心を豊かにしてくれる。半澤氏の見ている未来が具現化する日も近いのかもしれない。「未来の音づくりを先取りする提案」に期待 イベントの回数を重ねて知名度が上がってきたことで、来場者の顔ぶれにも変化が出てきたという。女性が増え、年齢層も30~40代の現場で働く中心的な年齢層に加えて、50~60代の関係者も多く訪れていたという。 「おそらく、自分たちの仕事場でどのように使うかを頭の中でシミュレーションされているのでしょうね。みなさん、現場では音を出す側なので、意外と観客の立場で客観的に聞く時間があまりないのです」(半澤氏) 今年はこれまでで一番、イベントの流れが分かりやすかったという。「イベントの精度が上がっているように感じました。3日間通して、全体の流れもスムーズだし、コンセプトもはっきり見えました。来場者が、このイベントを初めて体験しても、何をやろうとしているのかがはっきり伝わってくる形に仕上がっていましたね」(半澤氏)稼働率が高く、利用者層の広いポイントソース女性層や幅広い年齢層の来場が増加

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る