InterBEE REVIEW2016
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17 中村氏は、2020年に向けた日本のポップカルチャーを含む映像メディアの方向性についての現状と展望について講演した。「2020年に国内ではスマートメディアの環境整備が完了している」との考えから、「スマホとサイネージ、4K/8Kのパブリックビューイングなどが、どこでも当たり前に使われている」状況にしていくことが重要と話す。 中村氏は、「ソーシャルメディアは2010年頃からビジネスとトラフィックの面で急成長してきた。他方、映像メディアは、今年テレビ向け、スマホ向けの映像ネット配信サービスが本格化した」と話す。「最近は、放送局がそれぞれ独自の戦略を立ち上げている点が特徴。映像の配信ビジネスは順調に拡大しており、有料の動画配信サービスの利用者数は昨年末で1000万人。これが18年には1500万人まで拡大するといわれている」。 また、新しい映像サービスともいえるデジタルサイネージも今後、さらに拡大する方向にあるという。2016年5月には「映像配信高度化機構」を設立し、2020年に向けて基盤整備を進めており、「政府全体としても内閣府知財本部が中心になり、メディア展開の戦略を打ち出しており、ネットを使った映像の二次利用の促進と海外展開に期待がかかる」(中村氏)という。技術的要素自体はやがて新しい技術に置き換わる。技術進化のスピードがますます速くなる中で、そのサイクルはより短くなる。8Kがすごい、高精細だという話は一瞬でおしまいです」(若林氏)。 そうした中で、優れた技術を生かす「キラーコンテンツ」があってこそ、ビジネス、文化として発達すると議論が進んだ。エレキギターの普及にジミー・ヘンドリックスの存在が不可欠だったことや、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオがあったから、MTVが流行したことなどが例としてあげられた。また、キラーコンテンツの重要性が強調されるとともに、既存の型に押し込めるのでは、コンテンツの発展は難しいとの指摘も出た。 藤井氏が提案するのは、肩書きとして “アーティスト”を加えることで、自らの意識も既存の枠から解放され、自由な発想・モノ作りができると語る。「普通の会社員でもアーティストと肩書きを入れることで、世の中の認識も変わる。世間からのフィードバックを得ることもやる気のある人には助けになる」(藤井氏)。キラーコンテンツが優れた技術を生かす パネルディスカッションでは「テクノロジが切り拓くメディア&エンタテインメントの未来」をテーマに、それぞれの立場からエンタメ産業の将来を見据えた意見が交わされた。 パネルでは、脇本氏が江戸時代のからくり人形を例に挙げ、コンテンツの要素としての先進的なテクノロジの必要性を指摘しながらも、それだけでは成立することが難しいと指摘。「映画にしても、当初はテクノロジによって驚かせる部分が機能する。しかし時間の経過とともに、成長を続けるソーシャルメディアテクノロジとコンテンツは両輪株式会社ハコスコ 代表取締役藤井 直敬 氏公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)文化事業部 事業部長文化庁メディア芸術祭事務局 ディレクター脇本 厚司 氏写真左からWIRED日本版 編集長若林 恵 氏SENSORS.jp 編集長株式会社HEART CATCH 代表取締役モデレータ:西村 真里子 氏

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