InterBEE REVIEW2012 (JP)
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83NASA TV 金星の太陽面通過では4K撮影でリアルタイムライブ中継も「特別教育番組も制作」為ヶ谷:「あなたの部署はNASAメディアグループであるNASA TVとリンクしているわけですね。お互いにどのようにコミュニケーションをはかっていますか」グラブス:「NASA TVプロデューサー全員、毎週電話会議を行い、現在進行しているものについて伝えます。技術側の人間もそれにより、必要な技術やインフラを整えます。例えば、先ほどお話しした金星の太陽面通過の時には、何週間も前から、私のチームはネット環境を確実なものとし、衛星時間の設定などを行いました。すべての体制が整い、ライブショーとして、あらゆる場所へのスイッチングが行えたのです」 「コンテンツプロデューサーと技術の人間も、週に一度コミュニケーションをはかっています。よって、我々は何週間前、あるいは何ヶ月前には主なイベントについて把握しています」 「また、ロボットコンテストや、月面走行バギーコンテストなどなど、ドキュメントライブの特別教育番組もあります」為ヶ谷:「あなたは、NASAのビジュアルグループのマネージングを担っているのですか」グラブス:「はい。NASAデジタルテレビジョンワーキンググループの、各センターの技術関係の責任者を勤めています。ウェブビデオワーキンググループもあり、放送し終わった番組はストリーミングビデオとしてインターネットで公開しています」 「最近、静止画を扱うグループもできました。だから、今では静止画コンテンツ、ウェブコンテンツ、そしてビデオコンテンツとあります」 「私の仕事は、お互いを支え合うためのインフラ整備に責任を持つことで、それにより、一般、科学者、エンジニアとコンテンツのやりとりが行えます。これは非常に重要なことで、コンテンツがなければ配信もできません。コンテンツありきです」「より良い作品のための手法を提案。4K、HEVCなどに注目」為ヶ谷:「コンテンツに関わる人たちは、ハイクオリティーの画質を扱いたいと思っていますか。そのための新しい設備などリクエストしてきますか」グラブス:「ときどきあります。だいたい、技術関係の人間はコンテンツ関係のものより先を進んでいます。例えば今、我々は4KやHEVCなどに注目しています。コンテンツプロデューサーより、先を見据えています」 「先を知ることにより、よりよいインフラ整備、よりよいカメラなど、よい作品のための手法を提案しています。そしてコンテンツプロバイダーも追随してくるというわけです」 「NASAにおいて、我々は先を進んでいかなければなりません。公務の人間がきて“こういうことをやりたいんだが”と先陣を切って言ってくることはほとんどありません。常に“こういうやり方で、こんなことができるんじゃないの”とこちらから提案しています」「日本のメーカー、放送局との共同作業も頻繁に実施」為ヶ谷:「日本の産業と連携するような何か新しいシステムを開発しましたか」グラブス:「頻繁にあります。宇宙に飛んだ3DA1カメラなどは、パナソニックと、3Dによるもう少し面白いコンテンツを作れないだろうか、とディスカッションしたものでした。スペースステーションに3Dカメラを持っていったらどうだろう、という話で、公認カメラとして宇宙に飛び立ったのです。これが、日本の企業とのコラボです」 「このようなコラボは大変有益で、何年も続いています。パナソニックをはじめ、JAXAやNHK、Sonyなどなど、技術開発を行っている日本の企業と共同作業を行っています」 「ですから私にとって、将来が計れるInter BEEなどのイベントに参加できたことは、非常に得るものも大きいよい機会なのです」

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