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2009.12.15

【映像制作の現場から】ジャパニメーションの味わいを活かしたフルCG作品で日仏共同製作を実現! 映画「よなよなペンギン」(12月23日公開)制作エピソード

TIFFでの記者発表の模様
「よなよなペンギン」ポスター
マッドハウス丸太社長

<<マッドハウスがフランス、タイの制作会社と実制作>>

 12月23日(水)に公開予定の『よなよなペンギン』が、日仏共同製作を実現したタイトルとして注目されている。同作をプロデュースしたのは、日本のアニメーション制作において約40年もの実績を持つ株式会社マッドハウス。仏国のワイルド・バンチ社の協力を得て資金集めをし、さらにタイのプロダクションを含めた3カ国で実制作を行った。その制作について、マッドハウスの代表取締役社長である丸田順悟氏と、株式会社ダイナモピクチャーズの代表取締役社長である広川ひろし氏に話を聞いた。
(取材・文:蓬莱早苗)

※写真: (c) 2009 りんたろう・マッドハウス/「よなよなペンギン」フィルムパートナーズ・DFP


<<日本的なアニメーションの味わいを生かしたCG作品を作りたい>>

 『鉄腕アトム』の演出や『ジャングル大帝』のディレクターとして有名な、りんたろう監督。アニメーションの黎明期より現在まで、第一線を走り続けてきた氏の企画として、『よなよなペンギン』は今から約8年ほど前に生まれた。

 「りんたろう監督は、『メトロポリス』の制作を終えたとき、“自分の中で2Dアニメ作品はやり終えた”と言い、それまで積み上げてきたノウハウをフルCGアニメ作品にどう活かすかを考えました。そこから、“ジャパニメーション的フルCGアニメ”として、『よなよなペンギン』の企画がスタートしたのです」(丸田氏)。


 当時の日本で放送されていたアニメ番組といえば2D作品が主流で、CGといえばゲームのムービーに使用されている程度だったと丸田氏はいう。

 「ゲーム作品にしてもムービー部分に関しては、大部分の動きがモーションキャプチャで作られていました。そんな中で、りんたろう監督はあくまでも手付けの動きにこだわっていました。マッドハウスとともに日本側のチームとして制作に当たった、関連会社のダイナモピクチャーズも、モーションキャプチャ作品を中心に実績のある会社でした。そのため、手付けのCGアニメ制作の資金集めやスタッフ集めを会社で模索しながら進めました」。


<<初めての日仏共同制作、分業について>>

 手探り状態で始めた新しいプロジェクトのため、劇場向けCGアニメの制作実績を持つ人材が必要だったと話す丸田氏。条件に合う人材を探していたところへ、名乗りを上げたのが仏国のワイルド・バンチ社を通じて紹介のあったDenis Friedman Productionsであった。

 「ヨーロッパでりんたろう監督は、『宇宙海賊キャプテンハーロック』の監督として知られており、大変な人気があります。ワイルド・バンチ社は、フランスの配給会社として数々の作品を手掛けた会社で、りんたろう監督の作品に参加したいとのことでした。その会社から、劇場CGアニメのプロデュース実績を持つデニス・フリードマンという人物を紹介されたのです」。


 初めての日仏共同製作。どう分業するかは随分話し合ったのだという。

 「資金集めについてはマッドハウスが日本を含むアジアを、ワイルド・バンチ社がヨーロッパや中東を担当しリクープしたらお互いに還元するという契約をしました。日仏で半分ずつ集め、最終的におよそ15憶円が集まりました。制作プロダクションはフランスのdef2shoot社と、以前から交流のあったタイのIMAGIMAX社に決めました。こうして3カ国での制作体制ができあがったのです」。


 各国での作業はシーンごとに分けられ、全体のプロデュースはりんたろう監督とダイナモピクチャーズが日本で行った。広川氏は次のように語る。

 「りんたろう監督からは、“今までやってきたCGのやり方を引き出しにしまいなさい”と言われました。動きの滑らかさだけを追求するのではなく、硬さを残した動きをさせるなど、日本のアニメーションが積み上げてきた2D作品の味わいを活かしたいということでした。戸惑うメンバーもいましたが、若手スタッフの順応は早かったように思います。日・仏・タイ各国のチームがあって、全体では200人くらいが作業に携わりました。カット単位でのコンポジット(絵のまとめ作業)は各国で行い、最終的な調整作業は日本で行いました。フィルムレコーディングはフランスで行っています。膨大なデータの受け渡しは、ハードディスクで送る方法を取りました」(広川氏)。


 長年、アニメーションの制作に携わってきたりんたろう監督は、企画初期の段階から「世界中の子ども達に見てもらいたい」という考えを持ち、世界各国のテイストを同作に取り入れた。

 「約8年前から企画がスタートし、プリプロダクションに3年、実制作には5年かかりました。作業単位ですと、キャラクターや背景制作に1年、手付けモーションの制作に1年、特殊効果合成(エフェクト)などに1年かけています。制作中も世間の評判は良く、中国など約15カ国での上映が完成前から決まっていました。りんたろう監督の想いが通じて、子どもたちが毎年クリスマスに見てくれる作品になって欲しいと思います」(丸田氏)。


<<日仏共同製作で得たノウハウと、今後の展望>>

 丸田氏は、『よなよなペンギン』製作で得たものは大きいと話す。

 「3つの国で同時に制作を進めた経験は大変良いノウハウ蓄積になりました。保険制度ひとつ取っても、大きな違いがあるのです。今後は海外との仕事が増えるでしょうし、この経験が役に立つことは多いでしょう」。


 最後に、マッドハウスの今後の展望について聞いた。

 「実は今回、CGで制作した『よなよなペンギン』を、上映方法まで3D対応にして立体的に見せようかという案がありました。検証の結果、大変美しい見栄えになりましたが、制作時間やコストの問題がありましたし、もともと3D上映用の演出にしていなかったことを理由に断念したのです。次回作では3D上映に対応した作品を作ってみたいと思います」(丸田氏)。

 『よなよなペンギン』は、日本では12月23日より全国120館以上で公開予定。仏国での公開は来年2月初旬、その他、シンガポールやマレーシア、韓国、中国でも来春以降に公開が予定されている。


映画『よなよなペンギン』公式サイト
http://yonapen.jp/index.html

株式会社マッドハウス
http://www.madhouse.co.jp/ir/

株式会社ダイナモピクチャーズ
http://dynapix.jp/






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