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2009.12.1

【ニュース】「デジタルマーケティングNEXT 2009」セミナーレポート(4)パネルディスカッション「デジタルサイネージのここが問題だ」

左から喜多村氏、佐々木氏、川村氏
喜多村氏
佐々木氏
川村氏

<<ローカルメディアとしてのデジタルサイネージに期待 地域のプレイヤーらの連携で新たなコンテンツ創出を>>

 デジタルサイネージ市場はまだ立ち上がったばかり。ビジネスとして定着するためには、乗り越えていかなければならない課題がある。それを明らかにし、今後の方向性を探ることが重要だ。その点について、デジタルサイネージコンソーシアム常務理事の江口 靖二氏がモデラーとなり、IMAGICAイメージワークスの喜多村 真氏、彩ネットアドの佐々木 大祐氏、寒山の川村 行治氏らが議論した。

【出席者】
 モデラー:デジタルサイネージコンソーシアム常務理事 江口 靖二氏
 パネラー:IMAGICAイメージワークス 喜多村 真氏
 パネラー:彩ネットアド企画営業部 佐々木 大祐氏
 パネラー:寒山 川村 行治氏


 江口氏:最初にパネラーの方が、どのような形でデジタルサイネージに関わっているかご紹介ください。

 喜多村氏:IMAGICAイメージワークスではインターネットやモバイルなどを利用した広告・マーケティングの企画、コンテンツの企画・制作などを行っています。その中で私が主に担当しているのは、デジタルサイネージ向けのコンテンツ制作。これまでにジェイアール東日本企画が提供するトレインチャンネル、BMWディーラー向けコンテンツのプロデュースなどを手がけました。

 佐々木氏:彩ネットアドは埼玉高速鉄道と彩ネットが映像広告事業を目的として設立した事業会社。埼玉高速鉄道の車両内に設置されている「SaiNet Vision」をはじめとし、主に電車内や街頭向けのデジタルサイネージの設置、システム構築などを展開しています。

 川村氏:寒山ではフィットネスクラブ向けのメディアビジネスを展開しています。フィットネスクラブは会員の年代層が幅広く、利用時間も平均で2時間ぐらいあるので、メディアの接触時間が長いのが特徴です。そうした特性を持った空間に対して、会員向けのインフォマーシャルなどの制作を手がけています。


<<デジタルサイネージの“痛い”失敗例とは>>

 江口氏:デジタルサイネージを運営する上でネットワーク技術は欠かせない要素だと思います。ネットワークの重要性についてはどのように考えていますか。

 佐々木氏:鉄道車両内のデジタルサイネージは電波で通信しています。電波は周辺環境などの影響を受けやすいので、通信の安定性を確保することがより大切になってきます。有線のネットワークではありませんが、コンテンツを安定的に供給するという意味では無線ネットワークの整備と管理は欠かせないものです。

 川村氏:運営モデルを考えた場合、コンテンツを配信する側にとってネットワークの整備は欠かせないでしょう。ネットワークがしっかりしていれば、フレキシブルなコンテンツ配信が可能になり、運営モデルの幅が広がります。

 江口氏:デジタルサイネージの市場はまだ立ち上がったばかり。成功モデルをつくり上げていく上で、失敗に目を向けることも大切だと思います。ご自身の経験、もしくは見聞きしたなかで“痛い”失敗例はありますか。

 佐々木氏:自分の経験ではありませんが、導線を無視したもの、つまり見られることを意識していないコンテンツは“痛い”ですね。ディスプレイを設置して広告を流せば、デジタルサイネージになるという安易な発想があるのではないかと思います。

 川村氏:更新されないで放っておかれているコンテンツも“痛い”ですね。街頭にあるものはディスプレイも大きいだけに余計に寂しい気がします。そういう「サイネージ墓場」みたいなものは結構あります。


<<ローエンド化と手軽さがキーポイントに>>

 江口氏:デジタルサイネージは導入して完了するものではなく、見てもらうためには手間もかかることを運営側が自覚する必要がありそうですね。では、そのためにどうすべきだと思いますか。

 喜多村氏:デジタルサイネージは空間デザインのアプリケーションの1つなのだと思います。「大型ディスプレイ=デジタルサイネージ」というとらえ方をされる方もいるようですが、これからはハード主体ではなく、サービスとしてのデジタルサイネージを考えることが大切だと思います。今、運営には一定の手間を見込んでおく必要があるというお話がありました。矛盾するようですが、その一方、手軽にコストをあまりかけずにやりたいというニーズも高いと思います。つまり、サービスとしてのデジタルサイネージをいかに手軽に低コストで実現するか、その工夫が求められているのだと思います。

 江口氏:なるほど。デジタルサイネージ機器のローエンド化はそうした方向性の表れかもしれませんね。

 喜多村氏:ハイエンドの知見やノウハウがどんどんローエンドに流れてきています。ローエンド市場は今後さらに拡充していくと思います。

 佐々木氏:確かに大切なのはハードではないと思います。極端な話、システムは何でもいい。その意味で「手軽さ」は重要なキーワードだと思います。


<<ローカルメディアに発展の活路>>

 江口氏:デジタルサイネージに出稿するクライアントにも同じことが言えるのではないでしょうか。手軽に利用できるようになれば、大手クライアントだけでなく、地域のローカルクライアントにも可能性が広がります。私は今後デジタルサイネージがマスメディア型とローカルメディア型に二極化していくのではないかと見ています。その中で、視聴する場所と時間を特定できるデジタルサイネージの特性を考えると、ローカルメディアとしての利用にこそ活路があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 川村氏:私も同感ですね。寒山が提供しているフィットネスクラブ向けコンテンツなどはまさにそうです。ただし、ローカルメディアはコンテンツを出す側と受ける側の距離が非常に近いので、メリットもある半面、見続けてもらうための工夫も必要になります。

 佐々木氏:例えば、コンテンツとしてニュースを流すにしても、テレビでも見られる全国区のニュースではなく、地域独自のニュースを流すというのも一つの手かもしれませんね。

 江口氏:では、デジタルサイネージがローカルメディアとして普及・発展していくにはどうすればいいと思いますか。

 川村氏:まずは地域のプレイヤーを募ること。タウン情報誌、折込チラシ、地元のFMラジオ局やテレビ局など地域密着型のメディアは数多くあります。こうしたプレイヤーがそれぞれの強みを活かし、互いに補い合ってコンテンツをつくっていくことが大切ではないでしょうか。

 佐々木氏:そのためには、それぞれの業界の垣根やルールを越えた「つながり」を築くことが重要ですね。地域の特性を理解し、なおかつ業界横断的なリテラシーを持ったプロデューサー的な存在が必要でしょう。地域のまとめ役としての役割にも期待したいですね。

 喜多村氏:デジタルサイネージはこれからの市場です。先ほど“痛い”失敗例の話がありましたが、痛みから学ぶこともあるはずです。試行錯誤しながらも、とにかく前に進んでいくことが大切だと思います。

(「デジタルマーケティングNEXT 2009」セミナーレポートはこれで終了になります)




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