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展示会レポート

Inter BEE 2009

  • 開催地:日本(幕張メッセ)
  • 2009年11月18日(水)~20日(金)

2009.12.22

私が見たInter BEE 2009技術動向(その3、特殊カメラ、ディスプレイ関連)

ハイスピードカメラ(nac)
高速度カメラ(P+S Technik)
フルHD液晶マスターモニター(池上)
高画質のマスターモニターが並ぶ(ソニー)
「デジタルキャッチキューブ」ディスプレイ(VPJ)
 前号まで、今大会の全体状況、カメラ関係、デジタルシネマや3D関係の動向について見てきた。本号では、映像利用の広がりを反映するような特殊環境下で使う高感度カメラ、肉眼や通常のカメラでは捉えられない一瞬の現象を撮影できる超高速度カメラなどについて、さらにますます進展するHD化、デジタル化にとっていっそう重要性が増している映像モニター、ディスプレイに関する技術動向を紹介してみたい。

 NECは標準的カメラの出展はなかったが、夜間の自然生態撮影や24時間定点観測などにも使える高感度カメラを出していた。220万画素CCDを採用し、小型・軽量のフルHDの高感度カメラで、近赤外撮影モードを標準装備し、自動感度調整、自動追従ホワイトバランス機能も有しており、長時間の中継撮影などでもフルオートで対応できる。過酷な状況下での科学番組や報道番組などの撮影に有効なカメラだ。

 放送番組以外にも映画や産業用などにニーズが高い高速度カメラについては、多くの企業から多種多彩なモデルの出展が見られた。特殊カメラで実績の高いナックイメージテクノロジーは、ハイスピードカメラとして"Hi Motion"と"MEMRECAM"を並べていた。前者はNHKと共同開発したものでスポーツ中継などで既に使われているそうだ。220万画素CMOS3板式、フルHD対応で最大600コマ/秒の高速撮影が可能で、プログレッシブ走査のため映画やテレビドラマ、CGとの合成でも高品質のスロー映像が得られる。今回、カメラヘッドと専用の電源ボックスを光ケーブルで接続し、スタンドアローンで撮影できるようにし機動力を大幅アップしたそうだ。後者の"MEMRECAM"は、元々は産業検査用に開発されたもので、高感度(ISO2400)イメージセンサーを搭載し、100~10000コマ/秒の高速撮影が可能である。1000コマ/秒の場合、内部および外部メモリーを使い約13秒間の高速撮影が可能だ。専用コントローラと映像クリップ管理ソフトにより、簡易な操作で高速撮影とスロー映像の再生が迅速に行え、産業用だけでなく特殊な放送番組での利用も期待される。

 P+S Technik(独)は、西華産業のブースにて高速度カメラ"Weisscam HS-2"を公開した。単板CMOSを使い画素数2016×2016で1080P(720P)に対応し、撮影速度は1~2000FPS(1~4000FPS)で、2TBのメモリーを持ち撮影後に即刻再生可能なのでスポーツ中継放送にも使える。

 産業・学術分野で実績高くNABやInter BEEの常連になっているVISION RESEARCH(米)はノビテックブースにて、今年もハイスピードカメラ"Phantom" シリーズを展示した。超高解像度CMOSを搭載し、昨年より機能アップし、フルHDで1000Fps(33倍速、Phantom HD GOLD)と2700コマ/秒(90倍速、Phantom V64)の高速撮影が可能なモデルを出した。またフォトロンは新製品の画素数2048×2048で2000fpsの高画質、高速度カメラ"FASTCAM BC2 HD"を出展していた。
 
 制作、送出段階における映像品質の調整、管理に使う映像モニターは、デジタル時代において一層重要になっている。従来、マスターモニターやプログラムモニターに使われてきたCRTのポストモデルとしては、今回の各社の出展状況を見るとどうやら液晶型が主流になってきたようだ。

 放送局やプロダクションハウスで映像モニターの納入実績が高い池上通信機は、今回もフルHDでは17"から32"まで、マルチフォーマットで8.4"から17"までの液晶型モニターを出展した。広い視野角を確保し、高輝度で高コントラスト、動画応答性が良く色再現性にも優れたフルHD/10ビット液晶パネルを採用し、薄型化、軽量化、低消費電力化したニューモデルを並べていた。

 池上と並び映像モニターの納入実績が高いソニーも各種液晶型モデルを展示した。ハイエンドのBVMは10ビットパネルを搭載、高純度LEDによるプレシジョンバックライト(RGB LED直下型)で優れた白の均一性、安定性を確保したマスターモニターで、画面サイズは17"、23"である。CCFL(冷陰極蛍光管)バックライトの高性能モニターPVMシリーズは、放送規格の色再現性を確保しつつコスト低下を図ったモデルで画面サイズが32"まであり、放送業務用にも十分使える。LUMAシリーズは低価格ながらサイズが8"~42"までとラインナップが豊富な業務用高画質モニターである。

 高画質モニターやディスプレイを手がけているアストロデザインは、 デジタル時代に相応しい映像モニターとして、中継車やスタジオ副調室のVE卓や番組送出卓に据付け、映像だけでなく信号波形や音声信号や字幕も同時に画面内に表示可能な8.4"~17"位の液晶モニターを展示していた。

 例年、特有の映像システムを出展しているエルグベンチャーズは、世界最小サイズの6.5"フルHD液晶モニターを出展した。RGB LEDバックライトで360Hz駆動、広視野角でDCドライブと言った特徴を有し、カメラビューファインダー用だけでなく医療・産業分野での利用も期待できる。また従来から液晶ディスプレイで実績のあるエプソンは、今回、8K~4K超高精細映像を表示できる透過型液晶プロジェクターの公開に合わせ、同じ液晶デバイスを使いテレビカメラのビューファインダーに使える小型、高精細度の液晶ディスプレイ"ULTIMICRON"も公開した。
 
 ここまでの映像モニターとはまったく違うが、今回の大会ではIPTV・MobileTV・クロスメディアゾーンの一郭にデジタルサイネージのパビリオンも開設され、中々見られないような興味あるディスプレイが出展されていた。

 ビジュアル・プロセッシング・ジャパンは、50"サイズのタッチパネル式液晶テレビ(サムソン製)を使ったデジタルキャッチキューブの実演をしていた。CIC(カナダ)のコンテンツツール"enVISION"(カナダ)を使ったシステムで、最初プレゼンテーションの画面を見た時、ただの子供の顔写真かと思ったら、オペレーターが画面に触れると映像がどんどん拡大表示され、画素のように見えた点々がそれぞれ一つ一つの画像だったのには驚いた。施設案内や観光案内などで、ひとつの映像画面から触るにつれより詳しい情報を表示していくことができる。またデジタルメディア向けコンテンツ制作ツールを提供しているvizrt(ビズ・アール・ティ:アルゼンチン)のブースでは、100"位の大きなタッチパネルディスプレイを使った面白い実演をしていた。プレゼンターが画面の映像に触れるとインタラクティブに反応するディスプレイだ。これらの映像表示システムは人目を引きデジタルサイネージにはぴったりのディスプレイだ。

 もうひとつ興味を引いたディスプレイはテクノハウスが出展した「シースルーディスプレイ"Lifefast"」だ。透明な円筒の中で高輝度LEDを貼り付けたバーが高速回転し、LEDの点滅する映像が残像効果により360度全方位に空中に浮いたようなカラー動画像が表示される。ドイツのプロジェクトメーカーのKinotonが開発したもので、欧州では既に空港やデパート、ショールームなどで使われているそうだが、今後、日本でもデジタルサイネージ用に使われていきそうだ。

映像技術ジャーナリスト 石田武久



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