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展示会レポート

Inter BEE 2009

  • 開催地:日本(幕張メッセ)
  • 2009年11月18日(水)~20日(金)

2009.12.3

私が見たInter BEE 2009技術動向(その1、全体状況、カメラ関係)

IPTV Summitオープンセミナー情景
一体型になったハイエンドのHDCAM-SRカムコーダ(ソニー
新製品のAVC/H.264採用の小型カメラNXCAM ソニー
高い機動性のハンディモデル(パナソニック)
超小型デジタル送信装置を搭載したGFCAM(池上)
 米国のNAB、欧州のIBC、中国のBIRTVと並ぶ世界的映像、放送関連の4大コンベンションのひとつであるInter BEE 2009が11月18日から20日まで、幕張メッセで開かれた。世界的に進むデジタル化、米国では当初予定より若干遅れた今年6月に終え、わが国では2011年7月の完全移行まで約600日、カウントダウンも始まっている。国民は変化を選択し歴史的な政権交代がなされて2ヵ月半、世の中はドラスティックに変わりつつある。政治や経済の世界だけでなく、映像、放送の世界でも変革のうねりが起きつつあることを感じさせるような大会だった。今回のInter BEEは、いまだ回復の兆しが見えない経済状況下での開催となり、出展社数は過去最多の800社を越えたが、全体の会場規模は縮小し来場者数も例年よりやや下回ったと報じられている。例年よりゆったりした感のある会場を回って見て、放送と通信の融合が一段と進み、取材から制作、送出までテープレス化、ファイルベース化によりワークフローが大きく変わり、デジタルシネマの進展にあわせるように一層の高画質化が進み、かって一時的なエンターテインメントの世界のものだった3Dの流れが大きくなりつつことなどの印象を強く感じた。

 機器展示会場は、従来、映像・放送機器、プロオーディオ、ライティングと部門ごとに分かれていたのが、今回は仕分けが一体化されていた。場内に「IPTV・Mobile TV・クロスメディアゾーン」、「3D Image Pavilion」や「Digital Signage Pavilion」が併設され、企業の枠を超えた同種のジャンルの展示が一堂に並び公開され、隣接の国際会議場で催されたイベントもあったが、今回は本会場の一郭で「IPTV Summitオープンセミナー」が開かれるなど、例年より見学や聴講がしやすくなった。膨大な出展物の中から注目する技術動向について、筆者なりの視点で紹介してみたい。

 まずは例年Inter BEEの花ともいえるテレビカメラの動向について見てみたい。ここ数年、記録メディアの多様化に伴いテープレス化が進んでいるが、今回は進展する制作系のファイル化と親和性の高いテープレスカムコーダが本格的に定着してきた。キー局、ローカル局の機器更新が進む中、また厳しい経済状況下、コストパフォーマンスが良くコンパクトなモデルも数多く出展されていた。その一方で、HD化が普通になり、その上デジタルシネマの進展に合わせるように超高精細度化や高機能化モデルも目に付いた。
 ソニーはテープメディアを使うハイエンドのHDCAM-SRカムコーダとして、今回、従来からの画質を維持しつつ記録部を一体化し機動性を高めたモデルを公開した。2/3"プログレッシブ3CCDと14ビットA/Dを搭載し、440~880Mbpsの高い転送レートで、24p、30p、50p,i、60 p,iの各フォーマットに対応する。RGB4:4;4記録とS-Logで広いダイナミックレンジで暗部からハイライトまで高画質で撮影記録できる。1~60コマのスロー/クイックモーションも可能で、従来の分離型より高品質の番組制作、CMや映画制作などで一層幅広く利用できるようになった。記録メディアにプロフェッショナル光ディスク(BD準拠)を使うXDCAM HD422も並んでいたが、今回、開発されて間もない11"有機ELをビューファインダに搭載していた。また、記録メディアにSxSメモリーカードを使うテープレスカムコーダXDCAM EXについては、2/3"フルHD 3CMOSを搭載したショルダー型と1/2"3CMOSによるハンディモデルを並べていた。SxSカードは高速転送、衝撃や苛酷な環境にも強く、様々な映像制作分野でかなり利用されている。従来、XDCAMシリーズはコーデックにMPEG-2 long GOPを採用していたが、今回は業務用の新シリーズとして、圧縮率の高いAVC/H.264を使ったNXCAMシリーズを参考出品してきた。撮像素子に1/3" 3CMOSを使い、記録媒体にはフラッシュメモリーとメモリースティックを併用し、HDとSDに対応するコンパクトカメラで、様々な利用が期待される。

 パナソニックは2003年以来、記録メディアに半導体メモリーP2カードを使うテープレスカメラを展開しているが、ハイエンドモデルから小型の業務用モデルまでその豊富なラインアップをブース正面に並べていた。その横には16、32、64GBのP2カードメモリーと開発中の新型P2ドライブも並べた。ハイエンドモデルの"P2 Varicam"は2/3"フルHDの220万画素(1920×1080)3CCDを搭載し、RGB4:4:4/10ビットLOGデータをHD-SDI 出力し非圧縮のシネマワークに使える。またAVC-Intra 100/50に標準対応し、24P、30P、60/50iとワールドワイドのフォーマットに対応し、フレームレートは1~30fps可変速で映画から高品質テレビ番組に使える。高画質と低価格化を両立したミドル機は、1/3"220万画素(1920×1080)イメージセンサーを搭載し、AVC-Intra 100/50を標準装備し、HD/SD、のマルチフォーマットに対応する。映画用に24P、可変フレームレート、シネライクガンマにも対応する。また低価格のハンディモデルは1/3" CCDを搭載し、P2カードスロットを2基装備し、HD/SDマルチフォーマットに対応、本体1.9kgと 軽量で、可変速モードも有し、報道取材などで高い機動性を発揮する。

 池上通信機は10年位前、記録メディアにHDDを使ったカムコーダを出したテープレスカメラの老舗である。今回もHDD搭載の"Editcam"と共に、東芝と共同開発したフラッシュメモリーを使うテープレスカメラGFCAMの最新モデルを出展した。撮像素子は2/3"230万画素(1080i)AIT3CCDを使い(100万画素モデル(720P)の選択も可能)、同社ハイエンドカメラと同じデジタルプロセスLSIを搭載し、小型ながらも高画質、高感度だ。記録メディアのGFPAKは16、32、64GBの3種類用意され、映像符号化はMPEG2 422P@HLを採用し、64GBで50Mbpsの場合の記録時間は120分となる。本体重量は4.5kgで機動性、運用性が高くENG用に適している。今回、バックアップ用記録メディアとして汎用性のあるコンパクトフラッシュカードを使用できるアダプターやブルーツースを利用しワイアレスリモコン運用可能なGF ASSIST、さらにJPEG2000を使い低遅延でカメラに装填可能な超小型デジタルFPU装置も出展した。
 日立国際電気は、同社特有のドッカブル構造(カメラヘッドと記録部・インタフェース部を柔軟に組み合わせることが可能)の特徴を活かしたスタジオ用カメラと、2/3"100万画素CCDを搭載し、従来モデルの高性能を継承しつつ低価格化した機動性の高い新製品の取材用カメラを出展した。

映像技術ジャーナリスト 石田武久


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