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2018.1.29 UP

【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(11)「ローカルコンテンツ革命!」ローカル局の未来の鍵はコンテンツにあり?!

VRの番組を試験的に作る例は他でもあるが。山形放送では顧客企業からの依頼を受けて取組んだ
VRの番組を試験的に作る例は他でもあるが。山形放送では顧客企業からの依頼を受けて取組んだ
放送した番組をテキスト化する「Radi Chubu(ラジチューブ)」の事例を紹介
放送した番組をテキスト化する「Radi Chubu(ラジチューブ)」の事例を紹介
齋藤氏は放送局は。エリアに根を張ることでコンテンツという果実をつけることができる大きな樹になれることを示した
齋藤氏は放送局は。エリアに根を張ることでコンテンツという果実をつけることができる大きな樹になれることを示した

 2020年を境に大きな変化が起きそうなテレビ界。中でもローカル局はまさにどう生き残るかという課題に直面しそうだ。昨年開催したINTER BEE CONNECTED 11月17日3つ目のセッションは、「ローカルコンテンツ革命!〜over2020を見据えたローカル局の戦略」と題して。今後のローカル局の鍵をコンテンツと見据えて展開された。
 モデレーターである毎日放送の齊藤浩史氏の呼びかけで集まった登壇者は。山形放送の青木秀之氏。CBCラジオの安藤美国氏。RKB毎日放送の梅嵜貴史氏の3名。それぞれまったくちがった方向でのコンテンツ戦略を展開しており。その斬新さに驚かされた。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)


■制作受託としてのVR映像に取組む山形放送
 山形放送青木氏は。新規事業の取組みを「アカウントができる部署であれ」と社内で託されたことを苦笑いしながら語った。さっそく番組のHuluでの配信やスポーツイベントのライブ配信を実現したが。中でも強調したのがVR映像制作だ。VRの番組を試験的に作る例は他でもあるが。山形放送では顧客企業からの依頼を受けて取組んだのが注目点だ。

 地元のウエディング事業社。大学や商業施設などから制作受注し、納品するまで請け負った。エリアの制作会社とのタイアップで、山形県として標準的な価格設定ができたという。テレビ放送で培ってきた地元企業との信頼関係を元に、制作を事業化することが今後のローカル局にとって重要な基幹事業になる可能性を示した。


■テレビ・ラジオの番組をテキスト化して配信するCBC
 CBCラジオの安藤氏は、放送した番組をテキスト化する「Radi Chubu(ラジチューブ)」の事例を紹介した。ラテ兼営局であるCBCはテレビとラジオをテキスト記事化する試みに取組んできた。記事をYahoo!やSmartNewsなど提携メディアに配信し。マネタイズを実現しているという。

 特にラジオは聴取者が高齢化している中、あえて自社制作を増やし地元アイドルが多い状況を活かして若者向けの地元エンタメの地産地消を狙っている。radikoにタイムフリー機能が備わり、リンク経由で過去の番組も聴いてもらえることを活用し。テキスト記事を読んだ人が番組を聴いてもくれる流れができている。
 その結果。放送では55歳以上が中心なのを。RadiChubeでは若い層にシフトすることができたそうだ。CBCはテレビとラジオをテキスト記事でリンクさせ全体で接触してもらう成功事例をめざしている。


■ベンチャーと組みタテ型動画のマルチ活用に挑むRKB
 RKB毎日放送の梅嵜氏は。まずこれまでの事例として「よんday」を紹介。データ放送のL字部分を利用してリーチ力の高い電子チラシのような販促ツールを開発。地元企業の中で信頼を獲得でき。成功を収めた話を披露した。

 さらに最新の取組みとしてVR映像・4K映像の制作も紹介し。さらにユニークな例として「短尺タテ型動画」の制作も紹介。FIRE BUG社と提携し同社の動画サービス「30」内のタテ型動画を紹介する「スキマTIMES」を放送している。タテ型動画の活用を自社番組の番宣やスピンオフ企画で生かして行く予定だという。


■地域に張った根を土台にコンテンツのエコシステムをめざせ
 後半のディスカッションでは。まずモデレーターの齊藤氏が一種の樹形図を見せた。放送局は。エリアに根を張ることでコンテンツという果実をつけることができる大きな樹になれることを示している。そうすると、あとはどういうエコシステムを構築できるかで、そこが重要課題ではないかと問いかけた。

 これに対しパネリストからは「地元のアイドルに地産地消的人気が出ることで全国や世界に発信できる可能性も出てくる」(安藤氏)ことや、「放送局としておつきあいのある地元企業との関係があるからVRの相談も生まれる」(青木氏)など、地元に根を張るからこそ新しい可能性が出てくるのだという答えだった。

 最後に齊藤氏から、2020年を意識して何が大事かを聞いたところ。三者三様に出てきたのがいかにイノベーティブな姿勢を持つか。ということだった。次々に新しいサービスが登場する中。現状に凝り固まらず、社内イノベーターとなる若い芽を育てていきたい。それぞれ責任ある立場で新しい取組みに挑んでいる三人だからこそ。次世代の引き継ぎ手に出てきてほしいとの思いが伝わった。

 3つのローカル局の新鮮な試みは刺激的だったが。それが今後若手達によってさらにどう進化するのか。楽しみに見守りたい。

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