Special

2018.1.25 UP

【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(10)「準キー局よもやま話 ~東京とローカルの狭間で~」関西キー局それぞれの取組みと悩みを赤裸々にぶつけあう

讀賣テレビ・メディア企画部の山下氏は大阪城公園の指定管理者など、放送とはまったく異なる事業に手を広げている
讀賣テレビ・メディア企画部の山下氏は大阪城公園の指定管理者など、放送とはまったく異なる事業に手を広げている
カンテレ・コンテンツ事業部部長の竹内氏も海外番販や動画配信に積極的に取り組んでいる
カンテレ・コンテンツ事業部部長の竹内氏も海外番販や動画配信に積極的に取り組んでいる
MBS・経営戦略室エグゼクティブの長井氏は「同時配信や8K等の中でいくつものモヤモヤがある」と吐露する
MBS・経営戦略室エグゼクティブの長井氏は「同時配信や8K等の中でいくつものモヤモヤがある」と吐露する
ABCで初代のコンテンツ戦略部部長を務める的場氏は「大事なことは在阪局の哲学を持つこと。アイデア勝負なら得意分野」と強調
ABCで初代のコンテンツ戦略部部長を務める的場氏は「大事なことは在阪局の哲学を持つこと。アイデア勝負なら得意分野」と強調

 「関西キー局のみなさんが集まって。東京キー局ともちがうし純粋なローカル局ともちがう。どっちつかずの独特の立場の苦悩や楽しさを、赤裸々に語り合うセッションです」とタイムテープルにあるとおり、にぎやかでかつ真剣な「よもやま話」が繰り広げられた。関西を代表するメディア企業のキーパーソンと、MBS出身で現在は同志社女子大教授のモデレーター・影山貴彦氏による“おもろい話”のエッセンスを紹介する。
(取材・文:関根禎嘉)



■関西準キー局の現状と課題
パネリストの4氏はみな、立場は異なるがいわゆるコンテンツ事業・メディア事業に携わっている。その取り組みを聞くと、関西準キー局の現状と課題が浮き彫りになってくる。
 技術畑でキャリアをスタートした讀賣テレビ・メディア企画部の山下雄司氏は新サービスをいくつも開発し、現在は大阪城公園の指定管理者やプログラミング教室運営という放送とはまったく異なる事業に手を広げている。
 「(キー局と比較すると)投資が限定されるが収益源の多様化を図りたい」(山下氏)。

 カンテレ・コンテンツ事業部部長の竹内伸幸氏も「準キー局の事業規模でやるには資金が足りない」と言うが、海外番販や動画配信に積極的に取り組んでいる。前者ではドラマ「CRISIS」のヒット、後者ではVOD本店「カンテレドーガ」の運営が好例だ。ABCで初代のコンテンツ戦略部部長を務める的場崇氏は「在阪局だからできることを考えてきた」と力を込める。「バーチャル高校野球」や、自社制作バラエティ番組の配信で成長している。

 MBS・経営戦略室エグゼクティブの長井展光氏は地デジ化・ケーブルテレビ・デジタルラジオに携わった経験から「同時配信や8K等の中でいくつものモヤモヤがある」と吐露する。BSデジタルが開局するときに盛んに言われていたローカル局の「炭焼き小屋」化を防ぐことができるか。


■「東京キー局」ではないことの意義
 シビアな現状認識を示しながら、影山氏のまさに関西ノリの軽妙なモデレーションにより議論は笑いを交えて進んでいった。登壇者に共通しているのは、東京キー局ではないことに大きな意義を見いだしている点だ。セッションの趣旨からして当然と思われるかもしれないが、そのパッションは熱い。

 的場氏は「大事なことは在阪局の哲学を持つこと。アイデア勝負なら得意分野」と強調する。取り上げられた地域での視聴率が全国平均を大きく上回る「秘密のケンミンSHOW」を制作する讀賣テレビの山下氏は「東京一極集中すると視聴率で苦戦するということはある」と指摘。竹内氏の「キー局と差別化できる後押しをしなればいけない」とのひと言からは、ローカル局のリーダーという一面も垣間見える。


■明るく、おもろく、関西準キー局
 待ち受ける現実は平坦では決してない。得意技のアイデア勝負も「分業制の中で減ってきている」(的場氏)という。放送外収入に活路を見いだそうとしても、経営的には「在阪局以下は放送一本足打法」(山下氏)。

 しかし、パネリストに悲愴感はなく、前向きだ。それは、たとえ小さくとも成功体験を積み上げることの大切さを知っているからだろう。「一本足のようで一本足でないことをやっていくと大阪局のうまみがある」(長井氏)、「いいパートナーと小さいことでもやっていくのが大事」(竹内氏)と展望を語るその表情は明るい。

 セッションの最後に影山氏が「MBSを退いて15年経つが僕がいたころにはなかった部署ばかり。みなさん必死に汗をかいて立ち向かっている」と称えた。もしかすると、関西準キー局どうしの切磋琢磨する仲間意識が、激動の時代を生き抜いていく鍵になるのかもしれない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加