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2018.1.17 UP

【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(8)「テレビ局のネット報道」テレビとネットの鍵を握るのは報道だ!

村上氏が、新聞雑誌やネット発のメディアも含めて全体の俯瞰図を整理して映し出した
村上氏が、新聞雑誌やネット発のメディアも含めて全体の俯瞰図を整理して映し出した
日テレは12月にネットでのニュース視聴に最適化した「日テレNEWS24」アプリを出すと紹介
日テレは12月にネットでのニュース視聴に最適化した「日テレNEWS24」アプリを出すと紹介
ホウドウキョクは多様な外部メディアに記事を配信しながら。各メディアに最適化した再編集をする分散型を推進
ホウドウキョクは多様な外部メディアに記事を配信しながら。各メディアに最適化した再編集をする分散型を推進
三者がきれいに別々の方向性でネット報道に向かっている点が非常にこのセッションの興味深い点だった
三者がきれいに別々の方向性でネット報道に向かっている点が非常にこのセッションの興味深い点だった

 INTER BEE CONNECTED 11月16日4つ目のセッションは、「テレビ局のネット報道はどうなっていくのか?」と題して。3つのテレビ局で新しい報道のやり方に取組むパネリストが登壇した。
 フジテレビで「ホウドウキョク」に取組む清水俊宏氏。日本テレビ報道局でサイバー戦略部を率いる宇佐美理氏、そしてNHKのNEWS WEBを編集する足立義則氏の3人の議論を。NHK文研の村上圭子氏がモデレートした。三者三様の方向性がくっきり見える。刺激的なセッションとなった。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)


■ネットでの動画ニュースの担い手はテレビ
 報道はテレビ局の中でもネット進出が目立っていなかったが。昨年来むしろ注目されるようになってきた。ネットではニュースの価値が重要になってきており。テレビ局も報道コンテンツの供給者として目立つ存在になっている。
 このあたりを、最初にモデレーターの村上氏が整理して見せた。新聞雑誌やネット発のメディアも含めて全体の俯瞰図を映し出した。動画メディアのニュースとしてはテレビ局が中心になっていることがひと目でわかった。


■ネットになじむニュースを配信する日本テレビ
 これを受けてまず日本テレビ宇佐美氏が自社のネット展開の考え方をプレゼンした。
 これはテレビ局報道のネット活用の最前線の話となった。実はいまのネットは「文字」が重要で。大量のテキストを人びとは高速に消化している。一方、映像には力があり時間性を持つため分割されにくい。またライブ配信も価値を持ちつつある。

 そこで日テレでは。CSチャンネルの「日テレNEWS24」をネットで配信する一方。ネット向けにニュースを再編集した「the SOCIAL」も配信している。さらにこの12月にはネットでのニュース視聴に最適化した「日テレNEWS24」アプリを出すという。

 ここまで「ネット対応ニュース」を意識したテレビ局はないのではと感じた。とくにアプリは、ニュースに限らずネットでの動画視聴の課題をすべてクリアしているように思えた。日本テレビのこの分野への意気込みが伝わってきた。


■分散型を具現化するフジ。不安に寄り添うNHK
 フジテレビ清水氏は。ちょうど一年前のこの場にも登壇し。ホウドウキョクのリニューアルの概要をプレゼンした。今年は。リニューアルのポイントであった分散型の特徴をさらに極めて多様な外部メディアに記事を配信しながら。各メディアに最適化した再編集も行ってきたことを報告。

 さらに今年7月からはビジネスキュレーションメディアNews Picksで「Live Picks」というニュース解説番組をスタートさせたという。分散型の理念を着々と具現化していることがよくわかった。

 また足立氏は「不安な時代に公共メディアは」と題してプレゼン。災害が増えていたり政治や社会の不安定な情報が各所で噴出しているいま、それに対応して伝えるのが公共メディアの役割だが。一方でパーソナルに伝えることも重要だと考えているそうだ。

 例えば災害時の発表情報・取材情報が過剰になっており、必要とする人に伝わらない懸念が出てきている。だからこそパーソナル性が重要であり、また「すぐにライブで伝える」必要も増している。一方で情報のミスマッチや情報被害を防ぐために。ソーシャル・リスニングにも力を入れているそうだ。


■地域ニュースへの対応が今後の課題か
 このような三者がきれいに別々の方向性でネット報道に向かっている点が非常にこのセッションの興味深い点だった。そこをさらに村上氏が掘り下げていく。

 日本テレビの「分割されにくい」という映像ニュースのとらえ方と。分散型メディアをめざすホウドウキョクの各メディアに合わせた加工する手法は対局にあるかもしれない。またフェイクニュースの問題が浮上してきたいま。テレビ局の当局の発表をもとにした「発表ジャーナリズム」的な伝え方を、公共メディアとしてNHKどう考えるか。など各登壇者に切り込んでいた。

 また村上氏は課題として「地域ニュースへの対応」を提示し。ローカル局との関係性を問いかけたが。日本テレビもフジテレビもまだ発展途上の様子だった。
 地域ニュースの担い手は今後もローカル局のはずだが、それをネットでどう展開するのか。キー局の役割はどこにあるのかなど、このテーマはまだまだ議論と試行錯誤が必要だろう。

 テレビ局のネット報道は。今後ますます重要度が増していくだろう。今後の議論と実践に注目したい。

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