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2017.12.27 UP

【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(4)「ケーブルIDでケーブルテレビ業界が変わる」業界が持つ“宝”をケーブルIDで発信する

ケーブルIDのねらいを図式化
ケーブルIDのねらいを図式化
ケーブルIDプラットフォームによる連携
ケーブルIDプラットフォームによる連携
ケーブルIDは質で勝るビジネスプラットフォームをめざすべきと北氏はいう
ケーブルIDは質で勝るビジネスプラットフォームをめざすべきと北氏はいう

 INTER BEE CONNECTED企画セッション、初日11月15日の最後となったのが「ケーブルIDでケーブルテレビ業界が変わる」だ。ケーブルテレビ業界の共通ID連携基盤「“ケーブルID”プラットフォーム」の運用開始が発表されたのは今年7月のことだ。本セッションでは当事者たちがこのプラットフォームの仕組みと展望について語った。
(取材・文:関根禎嘉)


■ケーブルIDという統一プラットフォーム
 まず、モデレーターの日本ケーブルテレビ連盟理事・二瓶浩一氏が、ケーブルIDのポイントを3点にまとめた。それは「統一のプラットフォームを作ること」「プラットフォームの上のビジネスを作ること」「加盟社が全国規模のビジネスを展開すること」だ。少数の大手事業者以外は、個々の事業者が地域密着のビジネスを展開しているのがケーブルテレビ業界。それら個社を一つに繋げようというのがケーブルIDというプラットフォームの基本コンセプトといえる。
 三重県を拠点とするMSO(運営統括会社)であるCCJで社長を務める塩冶憲司氏は、ケーブルテレビ連盟のケーブルID推進委員会で委員長の任に当たっている。塩冶氏によると、ケーブルIDのねらいは大きく4つに集約される。個人向けサービスの展開と世帯向けとの連携、業界連携サービス、EC対応による「脱・土管」化、競合他社に負けないサービスだ。いずれも、これまでのケーブルテレビの事業を連携させ、新たなビジネスを創出しようとするものだ。


 その新規事業の具体的事例を須高ケーブルテレビ社長・丸山康照氏がプレゼンテーションした。須高ケーブルテレビでは、サービスエリアの長野県小布施町でベルト状の「ライン」の上でジャンプをするスポーツ・スラックラインのワールドカップを開催した。この費用のうち500万円を、ケーブルID連携を前提に構築したクラウドファンディングシステムで調達。ワールドカップ当日、小布施町には3万人が集まったという。競技の模様は4Kで放送し、貴重なオリジナルコンテンツとなった。丸山氏は「ケーブルテレビが主体となってやることで一つの地域振興の可能性が示せた」と取り組みを振り返った。


 ケーブルIDのシステム設計を担う立場から発言したのが日本デジタル配信事業戦略企画推進本部の橋本幸典氏だ。従来のケーブルテレビのビジネスは、顧客、サービス事業者、各個社という3つのレイヤーで展開されていた。ケーブルIDプラットフォームは、サービス事業者レイヤーと各個社レイヤーの間に業界共通基盤レイヤーとして挟み込まれ、統一インターフェースにより全国の事業者との連携を容易にし、個社ごとの対応のコストを削減。さらにマイナンバーの利用も可能にしている。


■IDの“質”でGAFAに勝る

 「情報通信業界に愛を持って叱咤激励することがミッション」という野村総合研究所プリンシパル・北俊一氏は、これまで10社以上のケーブルテレビ事業者の立ち上げに関わってきた経歴を持つ。北氏は「IDは数の話になるが、数でGoogle・Amazon・Facebookに勝てるわけがない」と指摘。ケーブルIDはお茶の間のテレビにリーチできるというIDの質で勝るビジネスプラットフォームでなければならず、まずは事業者のためのプラットフォームとなり、そしてCaaS(Cable as a Service)を目指すべきと提言した。


■ケーブルIDで他業界とコネクト
 「開かれたケーブル業界としてみなさんとコネクトしていきたい」と二瓶氏が議論を結んだとおり、ケーブルIDが活躍する範囲は決して業界内に留まるものではない。他業界とケーブルテレビの結節点としてのケーブルIDへの期待が非常に高まっていることを感じたセッションだった。

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