Special

2017.12.18 UP

【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(1)基調講演「配信新時代~キー局とプラットフォーム」配信激動の時代、各局はどう動く?

キー局の配信ビジネスをテーマとしたセッションは毎年恒例となった
キー局の配信ビジネスをテーマとしたセッションは毎年恒例となった
フジテレビは、プラットフォームを運営することによる広告やユーザーデータのコントロールを重視
フジテレビは、プラットフォームを運営することによる広告やユーザーデータのコントロールを重視
TBSは、テレビ東京、日経、WOWOW、電通、博報堂とプレミアム・プラットフォーム・ジャパンを設立した
TBSは、テレビ東京、日経、WOWOW、電通、博報堂とプレミアム・プラットフォーム・ジャパンを設立した

 InterBEE Connectedの基調講演「配信新時代~キー局とプラットフォーム」は会期初日の11月15日(水)、国際会議場で行われた。キー局の配信ビジネスをテーマとしたセッションは毎年恒例となった。登壇のパネリストは太田正仁氏(日本テレビ)、大場洋士氏(テレビ朝日)、茂川博史氏(TBS)、蜷川新治郎氏(テレビ東京)、野村和生氏(フジテレビ)のキー局5氏。TBS茂川氏以外は昨年に引き続いての登壇だ。モデレーターはこちらも続投のメディア・ストラテジスト、塚本幹夫氏(ワイズ・メディア)。(取材・文:関根禎嘉)


■各局の戦略は
 各局の戦略紹介から本格的な議論がスタートしたが、この5局の中で最も大きな動きを見せたのはTBSだろう。テレビ東京、そして日経、WOWOW、電通、博報堂とともに今年7月にプレミアム・プラットフォーム・ジャパン(以下、PPJ)を設立。TBS茂川氏は「レッドオーシャンに飛び込む中で考えた結果。株主間調整は大変だが、乗り越えられればおもしろいサービスができる」と意気込む。塚本氏の「考え方は変わったのか?」という問いに、茂川氏は「ガラッと変わった。TBSとしてはPPJを最優先にしてコンテンツを集める」と明言。2018年4月に開始する予定の新しいサービスに期待したい。


■プラットフォーム運営のメリットとリスク
 各局がプラットフォーム運営を進める中、そのリスクを冒すメリットは何だろうか。Huluなどの課金モデルと、無料見逃し配信などの広告モデルの二本立てで展開する日テレの見解は明快だ。B2Cであるがゆえに安定した収入を得られるSVODについて日テレ・太田氏は「参入障壁が高いのでやる意味がある場」、一方広告モデルは「極端な話プラットフォームはいらない」と言う。ユーザーには日常遣いのサービスで番組を見てもらい、そこで自局が売ったCMが見られれば理想的とのことだ。対してフジテレビはTVer利用時にもFODアプリが必要になるが、フジテレビ・野村氏はそれについて「(広告を)自分たちが出したいということ」と説明する。プラットフォームを運営することによる広告やユーザーデータのコントロールを重視していることがわかる。このスタンスの違いは興味深い。


■TVerの今後
 さて、PPJ設立で気になるのがTVerとの関係だ。PPJの元に各局が集約される可能性を想像してしまうが、茂川氏は「一本化することはないと思う」とこれを否定。「TVerは協調領域。」と続け、太田氏は「TVerは出し口の一つ」、テレ朝・大場氏も「キャッチアップ配信は違法動画をなくすことが最大の意義」と、各局が目的を共有しながら、個々の判断で今後もTVerが活用されていくことになりそうだ。


■放送同時配信
 最後の話題は放送同時配信。ビジネスとして成立するかどうかにについて、塚本氏がパネリストに個人的意見を求めた。「ビジネス的には話にならない」と一刀両断したのが太田氏。大場氏も「配信全体として考えるしかない」、茂川氏も「権利団体に説明できないと技術的問題がなくても進められない」と慎重な見解。対してテレ東・蜷川氏は「ユーザーからすればいつでもどこでも見られることはいいこと」と積極的な姿勢を見せた。すでにCSチャンネルをサイマル配信している野村氏は「その気になれば明日にでもできる。(ビジネスではなく)さっさとサービスと割り切るのがいいと思う」と提案。この考え方の違いは示唆に富む。


 キー局のプラットフォーム戦略が新たな段階に入っているためだろう、議論が盛り上がり予定時間を大幅にオーバー。サテライト会場への中継が途中で打ち切られるというハプニングもあった。これからまた大きな変化が訪れるはずだ。来年のこのセッションを今から楽しみにしたい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加