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2017.11.29 UP

【Inter BEE 2017】放送システムのIP化の流れが大きく進展 ソニーはIPによるライブ制作システムを出展 NHKは8K中継車を初出展

IP Liveプロダクションシステム 4K映像のリモートプロダクションデモの様子
IP Liveプロダクションシステム 4K映像のリモートプロダクションデモの様子
Media Over IPデモの様子
Media Over IPデモの様子
東芝のMedia Over IPデモの様子
東芝のMedia Over IPデモの様子
8K IP伝送装置「IT-5110」
8K IP伝送装置「IT-5110」

 Inter BEE 2017の各社の展示で見られた最も大きな傾向の一つが、放送システムのIP化の流れが大きく進展した点だ。 今後、ますます進む映像の高解像度化・高精細化に伴い、放送局においては伝送を中心としたIP化が避けられない。IP化は同時に制作の効率化やさまざまなメリットをもたらす点でも注目されている。ソニーが提唱する映像のIP伝送規格NMI (Network Media Interface) 関係の展示では、ソニーを中心にIPライブアライアンスメンバーがブース間をIPネットワークでつなぎ相互のIP伝送を行った。またアライアンスメンバーのNECや東芝は、「IP Live」や「Media Over IP」を掲げ、IPベースの放送システムを展示した。8Kライブシステムについては、アストロデザインが8K Video over IP伝送装置、NHKは8K中継車を今回初出展した。
(上写真=NHKブースで展示された池上通信機社製の8K中継車(SHC-1)車内制作室)

■ ソニー IP Liveプロダクションシステムを出展 4K映像のリモートプロダクションを実演
 ソニーは、映像のIP伝送規格をコア技術とした次世代の映像ソリューション「IP Live プロダクションシステム」を出展した。ブースでは、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ネクシオンと共同で、東京・飯田橋のIIJ本社に設置したリモートスタジオと幕張メッセを帯域保証型の10Gネットワーク回線で結び、4K映像のリモートプロダクションを実演した。4Kカメラの映像については、LLCV(Low Latency Video Codec)にて圧縮して伝送した。
 ソニーはこのIP Liveプロダクションシステムの広がりを視野に、ルーティングスイッチャーの制御用プロトコル「NS-BUS」を新たに開発、来年1月発売予定のNS-BUS対応のリモートコントロールパネル「MKS-R3210、MKS-R1620」を展示、NECブースから伝送された映像やソニーブース内の8Kカメラからの映像、リモートスタジオからの4Kライブ映像の映像切替を実演した。SDI-IP変換機を使うことでSDI機器も接続でき、「従来のSDIと同様にクリーンスイッチが可能なため、遠距離の映像もスタジオ内の映像も同じ感覚で使用することができる(担当者)」と説明した。また、NMIと互換性のあるメーカーの製品も接続が可能で、ブースではNECのIP-SDIコンバータ「MF4000シリーズ」や朋栄のIPゲートウェイ「USF-10IPシリーズ」をSDI-IP変換機として利用していた。IP Live プロダクションシステムの中核として、全てのIPを制御する「IP Liveシステムマネージャー」についても、システムコントローラーライセンス「PWSL-NM20」の追加で、「NS-BUS」に対応予定という。


■ NEC IPルーターやIPゲートウェイを出展
 放送システムのIP伝送で注目を集めていたのはNECだ。NECは「Studio Total IP Solution」をテーマに「Media Over IP」コーナーにて、IPルーター、IPゲートウェイなど、放送用IPソリューションを出展した。IPライブアライアンスメンバーであるNECは、ソニーブースからIP伝送された2つの2K非圧縮映像をIPルーターへ入力、SDI-IP変換するIPゲートウェイ(4K/IP Media Processing Converter)「MF4400」にてSDIに変換しモニターに表示するデモを行った。また、NECブースからは4Kビデオサーバから4K映像をソニーへIP伝送した。
 SDI-IP変換するIPゲートウェイ「MF4400」は、SMPTE 2022に対応し、最大56chまで対応する。12G/3G/HD-SDIインタフェース、12G/3G/HD-SDIの光インタフェースにも対応し、10GbpsのIPインタフェースで4K映像を伝送するために12Gbpsを3Gbpsに圧縮するIPゲートウェイユニット「IPGW4000」を具備する。
 IPゲートウェイユニット「IPGW4000」は、4K圧縮にTICOの圧縮方式を採用し、12G-SDIを1/4の3Gbpsに圧縮しているという。また、ソニーのLLVC方式については「ボード上にLLVC対応のLSIを載せることで対応可能なため、NMI,AIMSなどの主要な伝送フォーマットへの対応が可能(担当者)」と説明した。
 この他、マスター機能をソフト化したインテグレーテッド・プレイアウトサーバーを出展した。


■ 素材伝送にMedia Over IPを提案
 東芝インフラシステムズは、「Media Over IP」対応製品として、CMバンクや番組サーバとして多くの実績があるフラッシュメモリサーバ「VIDEOS」の次世代機となるビデオサーバ「NextVIDEOS」とSDIからIPへ変換する「IP Gateway」を参考出展した。
 ブースでは、2K非圧縮映像信号を「IP Gateway」を介してSDIをIPに変換し、ビデオサーバ「NextVIDEOS」へ収録する「Media Over IP」のデモを実施、IPを利用した素材伝送を提案した。
 ビデオサーバ「NextVIDEOS」は、SMPTE2022、NMIのみではなく、SMTPE2110やAMWA (Advanced Media Workflow Association) NMOS(ネットワークメディアオープン仕様)についても対応予定という。また、「NextVIDEOS」は、「マスター機能を統合し、ソフトウェア化によりニュース送出やCATV送出、ネット配信などの新しいサービスへの対応も可能なコンポーネントを目指して開発している」と説明した。
 「IP Gateway」についても、現在は2K対応の1入力/1出力だが、今後4Kにも対応する予定という。


■ アストロデザイン 8K Video Over IP伝送装置を参考出展
 シャープと共同出展したアストロデザインは、NHKと共同開発している8K IP伝送装置「IT-5110/IR-5111」を参考出展した。「IT-5110/IR-5111」は、DualGreen(3G-SDIx8本)を10ギガビットイーサネット4ポート、8K/4:2:2(3G-SDI×16本)を10ギガビットイーサネット8ポートで伝送可能。加えてSMPTE2022-6規格に準拠したパッキングを行い3G-SDIx2本を10ギガビットイーサネット1ポートで伝送が可能だ。また、IEEE1588 PTP(Precision Time Protocol)時刻同期を採用し、送り返しポートを使用した遠隔地装置間の同期及び遠隔地装置の制御が可能という。「東京-大阪間で10Gbpsの回線を8本利用した8K/4:2:2映像の伝送実験を実施、安定した伝送に成功した(担当者)」と述べ、「遠隔地の中継現場からパブリックビューイングの会場にライブで非圧縮8K映像の伝送ができるので、劣化の無い臨場感のある映像を遠隔地間で共有する事が可能」と説明した。


■ 8K中継車を初出展、既に8K制作が可能であることをアピール
 NHKはInterBEEの直前に開催された「NHK杯国際フィギュアスケート競技大会」で使用した池上通信機社製の8K中継車(SHC-1)をInterBEEに初出展、8K中継車内では「NHK杯国際フィギュアスケート競技大会」で実際に撮影された中継映像を表示していた。
 8K中継車の中は、制作室と機材室がある。制作室には55型の8Kモニター、2Kピクチャーモニタ(池上通信機社製)、16入力4出力の1M/Eスイッチャー(NEC社製)、SSDスロー再生機(アストロデザイン社製)、8Kテロップ装置(日興通信社製)などを装備し、最大10台までの8Kカメラが接続可能という。また、機材室には8Kカメラオペレーションパネル、4Kマスターモニタ、4Kモニター、4K波形モニターなどが搭載されている。この8K中継車で制作した8K信号(非圧縮24Gbps)は、ダークファイバーで伝送することが可能だが、NHK杯国際フィギュアスケート競技大会では、「150Mbpsに圧縮し、光ファイバーで東京へ伝送した(担当者)」と説明した。
 NHKでは今回展示した8K中継車以外にソニー製SHC-2があるが3台目を開発中で、2018年12月から開始予定の4K・8K実用放送に向けて、準備を進めている。

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