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2017.10.2 UP

【NEWS】CEATEC JAPAN開催 4K・8K、CPS/IoTがつくり出す新たな映像ビジネス

A-PAB、NHK、JEITAは、8K・4K放送の準備が着実に進んでいる状況をアピールした
A-PAB、NHK、JEITAは、8K・4K放送の準備が着実に進んでいる状況をアピールした
デンソーの「VR-CAR」。さまざまな車体に応用可能という
デンソーの「VR-CAR」。さまざまな車体に応用可能という
KOAの昨年のブースでは、風車が風の強さで動くデモが紹介された
KOAの昨年のブースでは、風車が風の強さで動くデモが紹介された
FunLifeの「ARC Mirror(アークミラー)」。ゴルフや野球、踊りなど多様な分野での利用が期待される
FunLifeの「ARC Mirror(アークミラー)」。ゴルフや野球、踊りなど多様な分野での利用が期待される

 10月3日から6日までの4日間、幕張メッセでCPS/IoTの総合展 CEATEC JAPAN 2017が開催する。CPS/IoT、さらにはAI、VR・ARなど、最新技術の研究・開発の成果をもとに新しいビジネスの共創を提案するというCEATEC JAPANならではの展示が目白押しだ。最新技術を用いた放送、映像のビジネスの提案も数多くあり、放送、映像の関係者にも必見の展示会といえる。前日ということでまだ会場準備に追われる出展企業もあるなか、午後からのプレス公開で取材した中にも、映像を駆使して新しい製品・サービスを提案する企業が目立った。その一部を紹介する。
 
■4K・8K放送へ向けた準備進む 電波干渉の対策を喚起
 A-PAB、NHK、JEITAは、平成30年12月1日からスタートする4K・8K放送のデモを大型パネルでデモ。8K・4K放送の準備が着実に進んでいる状況をアピールした。
 会場では今年4月1日からの試験放送を受信した映像を大型ディスプレーで表示するとともに、4K・8K放送の本放送開始によって家庭で必要となる受信システムを図で紹介。

 また「良好な電波環境を維持するために(漏洩対策)」としたパネルを表示し、無線LANや携帯電話などの他の無線システムと同一の周波数帯を利用している場合、遮蔽性能の低い機器を使用すると電波干渉が起きること、法令改正により平成30年4月からは遺漏基準を満たさない受信設備が違法になるという注意喚起がなされた。

■シャープ 8Kテレビによる展開の強化をアピール Inter BEEにも初出展
 シャープは8月31日に世界同時発表した8Kテレビを出展した。8月の発表会に登壇した石田佳久副社長執行役員 AIoT戦略推進室長は席上、CEATECでの出展とともに、初めてInter BEEにも出展することを表明し、8K普及へ向けた意気込みを示した。

 CEATECのブースでは、ブース正面に、「70V型マルチディスプレイ」を出展(上写真)。70V型は「マルチディスプレイ用として世界最大」となる。
 55V型や60V型と比べ、少ない台数で大きな画面を実現できるため、境界線が目立ちにくく自然な映像表示ができる。具体的には、55V型だと4×4面(16台)表示で220インチ相当になるが、70V型だと3×3面(9台)表示で210インチ相当となる(会場のマルチディスプレイは4×4面構成)。

 10月2日から予約を開始し、12月1日に日本で発売する。シャープはまた、医療機器開発のベンチャー企業、カイロスと共同で、世界初・最軽量の8Kカメラ搭載の内視鏡システムを開発。医療やBotB向けの8K展開の強化を進めている。

■デンソーがVRで新事業 観光、教育などコンテンツ開発にノウハウ結集
 デンソーのブースでは、プロトタイプとして「VR-CAR」をデモ。同社が長年のクルマで培った画像を認識する技術、制御する技術を組み合わせたもの。
 一人乗りのEVカーを使って、実際に試乗デモができるコンテンツでは、360度映像で米ニューヨークやロシアのクレムリン「赤の広場」などの上空を飛翔する体験ができるが、飛び立つときや加速時、着陸時の体感が効果的で、飛んでいる感じをいっそうリアルにしてくれている。

 実際に体験者が乗っている車はコンテンツにあわせて前後に動くが、前後にほぼ1m程度の距離をなめらかに動いており、体感している加速度感がこれで出ているとは思えないほど、実際には静かに前後移動している。
 広報の松田悠氏は「コンテンツの動きを車の振動でどう表現するかといった点にノウハウがある。これによって、大規模な装置もいらず、実際のEV自動車に装置をつけることでVR体験を実現できる。駐車場スペースでVR体験を提供できるのも大きな特徴」という。

 デモでは1人乗りの実際のEVカーを使用。これに、HMD、ハイスペックPCと、「ハックボード」と呼ぶ装置を装着する。ハックボードは、車の動きと映像コンテンツを同期させる装置で、ここにデンソーのノウハウが結集している。「1人乗りに限らず、2人乗り、4人乗りの車でも対応する。屋内の利用を想定して排気ガスのないEVを対象にしているが、技術的にはガソリン車でも可能」という。

 さらに、ナンバーを取得している自動車を使用すれば、通常の運転で公道を走ることも可能。屋内で事前にVRによる体験をしてから移動を開始するするなど、さまざまな展開のコンテンツが可能になりそうだ。
 デンソーでは、このVR技術をコンテンツ開発を含めたパッケージサービスとして事業化する。すでに同社の地元でもある愛知県刈谷市と観光VRコンテンツを開発しており、近々公開を開始する予定だ。

■広島テレビ放送 企業向けVRコンテンツ開発を加速 「2年で50案件受託」
 昨年に続いて出展している広島テレビ放送は、 8K対応の超高精細VR「バーチャルツアー」や、「動画・写真投稿システム」クラウドサービスなど、VR、クラウドを用いたコンテンツ制作を提案。同社が360度VRの映像制作を事業化して3年目になるという。

 コンテンツ本部編成局 イノベーション事業部 マーケティングプランナーの片山裕太氏は「CEATECでは、B2Bの販路拡大やチャンネル拡大のアライアンスを目指している」と話す。実際、昨年の出展から企業からの依頼が集まっているという。
 広島テレビ放送はこの2年ですでに50本のVRコンテンツを受託制作しているという。コンテンツの種類はエンターテインメントやイベントではなく、製品等のプロモーションやアーカイブ、リクルーティングなど企業ニーズに対応したコンテンツづくりを展開している。

 会場では、さきごろプロ野球セ・リーグで優勝した広島カープの球場のシーンなどを360度映像にしたコンテンツを披露するなど、優勝ムードを醸し出している。
 片山氏は「VRコンテンツ制作は今後さらに需要が期待できる。今年の出展でも、放送局ならではの高度な映像制作を企業にアピールしていきたい」と意気込みを話す。

■IoT搭載の小型ロボット「ズック」 デジタルサイネージと連動し商品おすすめ
 デジタルサイネージの領域でも、AIやVRを用いた新たなサービスが提案されている。
 AIやIoTのサービス開発で実績を持つベンチャー企業のハタプロは今年9月、フクロウの姿をした愛らしい手のひらサイズのロボット「ズック」を発表した。

 小型のロボットというと愛玩用をイメージしがちだが、同製品は、IoT技術を用いたマーケティングツールだ。マイクとスピーカー、画像認証センサー、SIMカード、バッテリーを内蔵しており、通信には、IoT向けの通信規格である LPWAを採用し、リアルタイムにクラウド上のAIとデジタルサイネージ遠隔管理システムと連携する。

 ズックの前に来た人の性別・年齢を認識し、その人にお勧めするべき商品をデジタルサイネージで紹介する。このとき、カメラで同時に認識した複数の人間から、家族構成などを推定し、それにあわせたお勧めの商品の設定など、条件定義をクラウド上で設定できる。家族構成や人数、年齢、性別、表情などによってなにをお勧めするかは、店舗側の設定画面で簡単に設定できるため、商品の入れ替えなども店舗のスタッフが行える。

 フレンドリーなインタフェースにしたことで、監視カメラやディスプレー型のデジタルサイネージなどと比べ抵抗感が少ない。すでに、三越伊勢丹、パルコ、ヨドバシカメラ、九十九電機など、流通小売業を中心に普及が進んでいる。
 同社はこの「ズック」を用いて、台湾の政府機関と観光プロジェクトとして、島全体をIoT化するという取り組みを展開している。ブースでは、その成果を紹介するほか、同社の国内外の様々な大企業 新規事業部や自治体との連携を推進する。

■KOA 高精度なセンサーで風の動きを視角化する「Windgraphy」 サイネージ用パネルを出展
 KOAは、電子部品の開発・製造・測定・実装など、高度で幅広い基盤技術を持つメーカー。今年は昨年出展した「風の見える化」の技術をさらに進化させ、立体形状での表示や、VR空間で風を視角化するなど、パートナー会社による作品も含め新たな演出を提案する。
 KOAでは、風の分布や動きを見える化・データ化する技術を新たに「Windgraphy」と名付け、さまざまな表示手段での活用を提案している。デジタルサイネージなどでの利用を想定した「風の見える化パネル」(LED自発光版とプロジェクター版)も出展する。

 ブースでは、LUCENT DESGINなどいくつかのクリエイターが風センサーを用いた作品を出展する。また、VR空間内でシャボン玉が風にゆれるといったVRデモも予定しているという。VR開発ツールの主流でもあるUNITYにデータを取り込めるようなツールをKOAが提供している。

■AR技術で遠隔地トレーニング 対話型のサイネージにも活用可能
 FunLifeはAR技術とモーションセンシング技術を活用したスポーツトレーニングシステム「ARC Mirror(アークミラー)」を出展。大型のハーフミラーを用いたもので、自分の姿と同じスケールになったトレーナーが鏡に映し出され、そのトレーナーの動きに自分の動きをトレースすることで、ダンスやスポーツなどの動きを学べる。

 センサーによって、トレーナーとの動きの一致度合いが分かる。動きの正確さは通信機能でフィードバックされ、自分自身で改善点を把握できるほか、トレーナーから適確な指導を受けることもできる。
 同社代表取締役CEOの田巻富士夫氏は開発の狙いを次のように説明する。
 「インストラクターに直接指導を受ける機会は限られている。PCやスマホでお手本映像を見ることはできるが、画面が小さい上、自分の動きが正しいかどうかはチェックできない。本格的なトレーニング方法をもっと気軽に学べるオンデマンド型のトレーニングシステムを作りたいと思った」

 個人データをクラウド上で管理することにより、複数地点でのトレーニングの成果を統合したアドバイスをすることも可能。ビッグデータとして解析することで、初心者が間違いやすい動きを洗い出してトレーニングに反映させたり、才能ある選手のスカウティングに応用するといったことも可能だ。
 スポーツクラブ、ヨガスタジオ、ダンススタジオ、学校、公共施設などでの需要を見込む。すでに11月から都内の子供向けトレーニング教室で導入する予定。費用はハード、ソフト、メンテナンス込みで月額20数万円から。

 田巻氏は「ARC Mirrorを用いたインタラクティブなデジタルサイネージも可能」という。「ジェスチャーに対応するUIをつくって子供に関心を持たせるといった演出も可能。また、テレビなどで流行ったダンスの振り付けで得点を競ったりといったこともできる。企業キャンペーンといった期間限定のプロジェクトにも応じていきたい」と話す。

■カシオ計算機 バンプをプリントアウトできる「2.5Dプリントシステム」を出展
 映像系ではないが、CAD・CGで用いるいわゆる「バンプマッピング」と呼ぶテクスチャーモデルを実際にプリントアウトするという装置「Mofrel(モフレル)」がカシオから出展されている。

 プリンターの核心技術でもあるドラム開発の長年の技術が応用されている画期的な製品だ。「CASIO 2.5Dプリントシステム」と呼び、布や革、石などの細やかな表面形状を高速かつ低コストで表現でき、同時に布や革などの「質感」や「光沢」をデータ化することで、アーカイブとして効率的に活用できる。
 すでに商品化しており、多方面から引き合いがあるという。製品のモデル開発のコスト削減、作業効率の向上に留まらず、実際に出力したものを利用することもできるため、利用範囲は幅広い。商品表現や新たな映像表現のツールとしても活用可能。

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