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2017.2.20 UP

【INTER BEE CONNECTEDセッション報告(11)】「配信プラットフォームのオリジナルコンテンツ戦略」クオリティの高い制作者にとって良い環境に向かっている?

カタログコンテンツ“の数を最初は競い合うが、それに加えて「そのサービスで優先的に配信されるオリジナルコンテンツ」が必要
カタログコンテンツ“の数を最初は競い合うが、それに加えて「そのサービスで優先的に配信されるオリジナルコンテンツ」が必要
オリジナル制作にこだわりつづけたdTV
オリジナル制作にこだわりつづけたdTV
共同テレビは、huluやAmazon、Netflixにもオリジナルを提供
共同テレビは、huluやAmazon、Netflixにもオリジナルを提供

 INTER BEE CONNECTED企画セッション、三日目三番目のセッションは「配信プラットフォームのオリジナルコンテンツ戦略」。プレイヤーが増えて活性化した動画配信プラットフォームでのオリジナルコンテンツ制作について、プラットフォーム側と制作者側それぞれの立場によるディスカッションだ。ITジャーナリストの西田宗千佳氏をモデレーターに、プラットフォーム側としてエイベックスデジタルでdTVなどを担当する村本理恵子氏、huluのコンテンツをディレクションするHJホールディングス・長澤一史氏、制作者側としてポリゴン・ピクチュアズの代表取締役・塩田周三氏、共同テレビジョンの関卓也氏が登壇。なかなか一度に揃わないメンバーにより非常に興味深い議論が展開された。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■重要性高まるオリジナルコンテンツ
 セッションのイントロダクションとして、モデレーターの西田氏からオリジナルコンテンツの意義について解説された。市場が活性化してプレイヤーが増えるほど差別化が必要になる。映像配信サービスでは既存の映画やドラマなどの“カタログコンテンツ“の数を最初は競い合うが、それに加えて「そのサービスで優先的に配信されるオリジナルコンテンツ」が必要になってくると説明した。
 またプラットフォーム側の関与もグラデーションがあり、制作費を全面負担して自社のみで配信される形から、制作費の一部を負担することで“配信では“優先権を得るが放送やパッケージメディアには関与しないやり方もあるという。

■huluが示すオリジナルコンテンツの3方向
 西田氏の前振りのもと、各パネリストがそれぞれのオリジナルコンテンツの取組みを紹介した。長澤氏は昨年huluで配信して賞も獲得した「フジコ」などオリジナルコンテンツに取り組んできた。親会社である日本テレビとの連携で制作した「ラストコップ」は、配信で好評を得たあと逆に地上波で新シリーズも放送された。長澤氏の整理ではhuluのオリジナルコンテンツには「1.日本テレビ及びネット局との連動を前提としたもの 2.新作劇場映画とのコラボレーションによるもの 3.既存メディアでは制作しえなかったような作品」の3つの方向があるそうだ。

■dTV、オンがル映像のライブ感覚醸成にVR映像配信
 続いて村本氏はdTVのオリジナルコンテンツについてプレゼンした。dTVはもともとオリジナルコンテンツをフィーチャーフォンに配信するBeeTVとしてスタートしており、2009年から様々なタイプのオリジナル制作を続けてきた。映画とのタイアップでスピンオフ作品を配信したり、逆に配信した作品を劇場で公開するなど様々な展開方法にも取り組んだ。一方で、コンサートのライブ配信も実現。今年はVR映像の配信も試みており、音楽映像のライブ感覚醸成に活かしている。

■Netflixで世界が視聴するポリゴン・ピクチュアズ作品
 塩田氏は、CGアニメの日本での草分けのような存在であるポリゴン・ピクチュアズの歩みについてプレゼン。アメリカ市場での制作を主軸としてきたことからNetflixと接触を持ち、日本市場でもセルアニメルックのCGアニメ制作が技術的にできるようになったため新しい作品制作に乗り出し、その配信権でNetflixとの本格的なつきあいがはじまった。「シドニアの騎士」「亜人」はNetflixを通じて世界中の人びとに視聴されているという。

■共同テレビジョン、多方面にオリジナル作品提供
 関氏からは共同テレビジョンによる配信向けオリジナルコンテンツ制作についてプレゼンされた。フジメディアグループのテレビ番組制作会社として知られる同社だが、ここ数年で急激に配信向けオリジナルコンテンツの実績が増えた。リストをスライドで見ると、その数の多さ、幅の広さに驚かされた。
 前述のhulu向け「フジコ」もそうだが、直近では小栗旬主演の「代償」もある。dTV向けの「高台家の人々」、Amazon向けの「ベイビーステップ」、またNetflix向けには明石家さんま氏企画の「Jimmy」も準備中だという。また他にもバラエティ番組や料理番組、VRを使ったものなど、実に幅広い番組制作を行っていた。

■競争下で進むライセンス料の高騰
 後半では、西田氏が準備した様々なテーマでのディスカッションとなった。議論の中で印象的だったのが、やはり明らかに配信市場でのオリジナルコンテンツが重要度を増しており、世界市場にも引っぱられる形でライセンス料が上がっていることだ。
 一方で、日本では配信プラットフォームの普及がまだまだであるため他の媒体との連携が重要であることも言及された。クオリティの高いもの、面白いものが非常に必要になっているが何がヒットになるかもまだ定型はできておらず、プラットフォーム側も制作会社側もまだまだ試行錯誤が必要のようだった。
 ひとつ印象的だったコメントを挙げておくと、関氏が言っていたことだ。「自分が何を見ればいいだろう、というユーザー向けに、ここにどんなコンテンツがあるかをだらだら流すような番組が必要なのではないか」と言っていた。筆者もひとりのユーザーとして非常に理解できる発言だった。

 そういったことも含めて、配信プラットフォームにとってのコンテンツは今後もしばらく試行錯誤が必要そうだ。だが議論のトーンは明るく、一緒に未来を模索しようという前向きなディスカッションだった。

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