Special

2017.2.13 UP

【INTER BEE CONNECTED セッション報告(8)】「ローカルからテレビの未来を考える」キングコング西野氏が唱える新たなファンとの関係づくり?!

LINE LIVEで会場を紹介してくれた西野亮廣氏
LINE LIVEで会場を紹介してくれた西野亮廣氏
村上氏がローカル局の自社制作比率について解説
村上氏がローカル局の自社制作比率について解説
齊藤氏はマル研の新たな取組みを説明
齊藤氏はマル研の新たな取組みを説明
西野氏は「クラウドファウンディングのように買い手に最初から参加してもうと良いのでは」と提言
西野氏は「クラウドファウンディングのように買い手に最初から参加してもうと良いのでは」と提言

 INTER BEE CONNECTED 企画セッション、二日目の最後は「ローカルからテレビの未来を考える」。NHK文研の村上圭子氏がモデレーター役となり、毎日放送所属でマルチスクリーン型放送研究会(通称マル研)の中心人物・齊藤浩史氏、東京MXテレビで放送同時配信の実験に関わる茅根由希子氏、讀売テレビ所属で局横断の「テレビの未来を考える会」を運営する西田二郎氏というメンバーに、なぜかお笑いコンビ・キングコングの西野亮廣氏が加わって、不思議なディスカッションが展開された。放送業界のイベントながらタレントがInterBEEのディスカッションに参加することは珍しく、いろんな意味で興味深い企画となった。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

■LINE LIVEでライブ配信
 ディスカッション本体を語る前に、直前の面白い出来事を紹介したい。セッションの合間に筆者は展示ブースを撮影して回っていた。そこでカメラクルーを引き連れた西田二郎氏と西野亮廣氏に遭遇。西田氏が、西野氏にイベントそのものを説明すべく案内していたようだ。筆者と西田氏は親交があるのだが、カメラを構えた筆者を見つけた西田氏がぐいっと寄ってきて、西野氏に紹介してくれた。彼らはこのイベント用にLINE LIVEで映像をライブ配信しているのだった。

 そんな出来事があったあと、セッションがはじまった。村上氏から齊藤氏と茅根氏が紹介され、齊藤氏はマル研のこと、茅根氏はエムキャスアプリを通じた放送同時配信のことを簡単にプレゼンテーションした。それに続いて西田氏と西野氏が紹介されて着席。彼らが行っているLINE LIVEの映像がスクリーンにも投影され、不思議な絵面のディスカッションとなった。

■「局の枠組を超えて連携しあうべき」
 西田氏は自身が中心になって結成した「テレビの未来を考える会」と西野氏の関係を話した。西野氏が何の気なしにはじめた「パイン飴プロジェクト」を、各ローカル局のディレクターが参加している「考える会」を通じて広めていった様子を紹介。もはや局の枠組みを超えて連携しあうべき時ではないかと投げかけた。

■ローカル局の自社製作比率
 ディスカッションは登壇者たちが用意したスライドと、西野氏のLINE LIVEが並んで映し出される中進んでいった。村上氏からはローカル局の自社制作比率を示した図について解説。ある在阪局の自社制作は放送時間10,000分あたりで見るとネット枠で300分、ローカル枠で2,500分で、もっと小さい局だとさらにぐっと少なくなっている。

■マル研、スマホで番組と付随情報を同時視聴可能に
 そんな中、10月に朝日新聞で報じられた「テレビのネット同時配信」のような話題が出てくると、ローカル局の危機感は増している。これを受けて、齊藤氏はマル研の新たな取組みを説明。スマートフォンの画面上部で放送同時配信された番組を見ながら、画面下部ではテレビ局側から付随的に様々な情報や広告を送り出す仕組みを開発中だという。新しい動きを前向きに受けとめる姿勢を示した事例と言えるだろう。

■クラウドファンディン具を用いた絵本の出版
 こうした事例を見たあとで、西野氏に「ローカル局への提言」を聞いた。西野氏は戸惑いつつも、クラウドファンディングを例にした話をした。西野氏は自身の絵本の出版やその展示会にクラウドファンディングを利用したそうだ。その意義を「お金が集めることだけが価値ではない」と語る。「本を作ると、自分と編集者と少なくとも二人の買い手が最初にいる。クラウドファンディングでお金を出してくれた人は本づくりに参加したから、同様に必ず買い手になる。そんな人が何千人も集まればきっと元はとれるはず。そんな風に、買い手に最初から参加してもらうとよいのでは」と提言した。

■エムキャス、ライブ配信で全国に番組提供
 西野氏の提言に応える形で、茅根氏も発言。エムキャスは同時配信だけでなく独自にライブ配信で番組を全国に送信できる。西野氏にもやってもらえないかと持ちかけたところ、西野氏も「やりたいやりたい!」とのってくれ「テレビづくりをゼロから一緒にやりたい」という意志を示した。

■シナリオを超えた想定外のおもしろさ
 こうしたディスカッションの間ずっと、スクリーンのLINE LIVEにはユーザーたちのコメントが走っていた。西野氏のファンとして参加し、InterBEEが何かも理解がないまま視聴しているファンの中には他の登壇者にふれるようなコメントもあり、時に会場はざわめいた。そうした想定外の要素も含めて、非常に刺激的で面白い発言も飛び出すセッションとなった。こうしたシナリオを超えた感覚にこそ、ローカル局の今後のヒントが潜んでいるのではないだろうか。

関連URL
  • このエントリーをはてなブックマークに追加