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2017.2.5 UP

【INTER BEE CONNECTEDセッション報告(4)】「テレビ局が切り拓く新たな報道」NHK、AbemaTV、ホウドウキョクが、ネットを使った新しい報道のあり方を激論!

冒頭、村上氏が現状のネット上でのニュースメディアの群雄割拠状態をわかりやすく説明
冒頭、村上氏が現状のネット上でのニュースメディアの群雄割拠状態をわかりやすく説明
NHKはネット経由で届いた視聴者の疑問にテレビ番組で回答し、その内容をまたtwitterで発信することも
NHKはネット経由で届いた視聴者の疑問にテレビ番組で回答し、その内容をまたtwitterで発信することも
「オトナの事情をスルーする」をスローガンに掲げたAbemaTV
「オトナの事情をスルーする」をスローガンに掲げたAbemaTV
オンデマンドでのニュース配信に方針を変更したホウドウキョク
オンデマンドでのニュース配信に方針を変更したホウドウキョク

 昨年11月に開催したInter BEEの期間中、幕張メッセのホール内オープン会場で開催したINTER BEE CONNECTEDの企画セッション、二日目最初はテレビ報道のネット活用をテーマにディスカッションが展開された。NHKネット報道部の山下和彦氏、テレビ朝日でAbemaTVのニュースチャンネルを担当する鎮目博道氏、フジテレビのネットメディア・ホウドウキョクを担当する清水俊宏氏の三人がパネリストとして登壇。NHK放送文化研究所・村上圭子氏の冴え渡るモデレーションで、熱い議論が行われた。
(コピーライター/メディアコンサルタント 境 治)

 まず議論の入口として、村上氏が現状のネット上でのニュースメディアの群雄割拠状態を説明。マスメディア系とネットメディア系、テキストメディアと動画メディアの4象限のマトリックスを使って各メディアを分類した図を示した。放送事業者だけでなく、広くメディアに関わる人びとにとっても混とんとするメディア状況をわかりやすく整理してくれた。
 その上で三人のパネリストが、それぞれの取組みをプレゼンテーションした。

■テレビとネットを立体的に融合
 NHKの山下氏は、「ニュース・防災アプリ」とtwitterを駆使することで、公共メディアの立場での、災害などの伝え方を説明した。アプリでは災害の発生をプッシュ通知でいち早く伝える一方で、twitterで刻一刻変わる状況を逐一状況を発信。ニュースの同時配信なども含めて緊急時の人びとのニーズに応えているという。
 また、場合によってはネット経由で届いた視聴者の疑問にテレビ番組で回答し、その内容をまたtwitterで発信することもあったという。まさにテレビとネットを立体的に融合させて視聴者の求めに応じている様子がよくわかった。

■タイムリー性と編成の自由度を活かした臨機応変な伝え方
 テレビ朝日の鎮目氏は、数十チャンネルをネット上で放送のように配信するAbemaTV全体の仕組みを説明し、その核となるAbemaNews、そして看板番組であるAbemaPrimeについてプレゼンした。同番組は「オトナの事情をスルーする」をスローガンに掲げ、様々な縛りがある地上波では扱いにくい題材、ハードルの高い手法などにこれまで多様に挑戦してきたという。また清原和彦釈放やシマウマ逃亡などの様子をライブで配信。タイムリー性と編成の自由度を活かし、臨機応変な伝え方も試みてきた。今後さらに多彩な番組を増やしていく計画とのことだ。

■「分散型メディア」として接触機会を拡大
 ホウドウキョクの清水氏は、その最新状況を説明してくれた。2015年4月からネット上での放送の形でスタートしたホウドウキョクだが、今年10月24日に大幅にリニューアルした。それに向けてアメリカの報道メディアの最新動向を研究したという。生まれ変わったホウドウキョクは、これまでのストリーミングオンリーからオンデマンドでのニュース配信に方針を変更。動画にこだわらず、テキストと画像の記事形式でも配信している。「分散型メディア」の考え方を取り入れ、自社サイトだけでなくFacebookやYouTube、Instagramなどあらゆるプラットフォームでニュースに接触してもらえる状況を作り出そうとしている。

■ニュース配信、自然な流れで
 後半では、村上氏が投げかけるテーマについて率直な意見を交わしあった。若者層に対するニュース配信について、鎮目氏と清水氏は「さあニュースを」と投げかけても見てくれないので、気がついたら見ていた、という自然な流れをつくりたいと主張。これに対し山下氏は「若者が真面目なニュースを見ないとは思わない」と反論した。報道についてのパネルらしく激論が戦わされ、三日間の多くのセッションの中でも熱いものとなった。もちろん、ディスカッションを盛り上げようとあらかじめ話し合っていたのだと思う。

 今年初めて扱った「報道」のテーマは、いま最もホットな領域のひとつだ。そしてメディアの存在価値の根幹でもある。各サービスの今後の展開に注目したい。

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