Special写0:タイトルバック;4K伝送(NTT)

2016.12.13 UP

私が見た"Inter BEE 2016"動向(その4)符号化技術・配信、測定評価系

写1:8KHEVCコーデックと再現映像(NEC)
写1:8KHEVCコーデックと再現映像(NEC)
写2:8K/60pリアルタイムエンコード(ソシオネクスト)
写2:8K/60pリアルタイムエンコード(ソシオネクスト)
写3:ロスレスSDI Ticoコンバータ(ヴィレッジアイランド)
写3:ロスレスSDI Ticoコンバータ(ヴィレッジアイランド)
写4:8K対応解析装置と8Kレコーダ(日本コントロールシステム)
写4:8K対応解析装置と8Kレコーダ(日本コントロールシステム)

 (その1)から(その3)まで、多彩な講演会やシンポジウムから多種多彩なカメラやコンテンツ制作系についてみてきた。(その4)では、あらゆる分野の機器、システム、コンテンツ制作のベースを支える符号化技術と関連する配信系、測定評価系について紹介したい。

 NTTグループは、自社開発のASICを搭載しSDからHD、4K 60pのマルチフォーマットに対応する小型のリアルタイムHEVC 4Kコーデックシリーズを使い、100msと低遅延の4K伝送をし再現した映像を公開していた(写0:タイトルバック)。またNTTぷららが今年10月から始めたHDR対応4K-IP配信サービスと共に、トランスコード、フォーマット変換、HDR 対応カラーグレーディ ングなど高品質で効率的なHD/4K/8K映像制作が可能な”viaPlatz”によるワークフローの実演も公開していた。
 NECは8K/4K時代のマスターシステムをターゲットにした8Kおよび4K対応のHEVCエンコーダ/デコーダ装置と、それらを使って圧縮、伸張した8Kおよび4K映像を公開していた(写1)。IP化についてはAIMSやIP LIVEにも参加しているが、今回ソニーブースと接続しNMIを装備した機器類によるIP伝送の実証実験をしていた。またSDIとIPの双方向変換可能なゲートウェイを展示していたが、将来は柔軟なネットワーク構成ができるSDN技術を応用し局内設備のトータルIPシステム目指すそうだ。
 東芝は4K/8K放送関連機器や符号化技術、IP関連技術など多彩な出展をしていた。デジタルHD放送機器の更新を視野に次世代放送送出設備として、送信機の新ラインナップやバーチャルマスター、4KコーデックのデファクトスタンダードXAVC対応のフラッシュメモリーサーバー”4K VIDEOS neo”、さらに高画質低遅延のHEVCエンコーダなどを展示していた。IP関連では、Next StepとしてVideo over IPの実演やソニーブースからIP伝送された信号を4K/8K設備に入力しスイッチング、符号化、多重化を行い試作のMMT受信機で映し出す実演もしていた。
 富士通は高性能LSIを搭載し1Uハーフラックサイズの小型のH.265/HEVC映像伝送装置を使い4K映像のリアルタイム伝送を公開した。富士通系列のPFUはJPEG2000圧縮を採用し4K生放送でも使える低遅延、高画質のIP伝送装置を出展し、営電ブースと繋ぎ4K/60pの伝送をしていた。またバージョンアップで8Kまで対応可能となった非圧縮でIP伝送する装置も展示していた。
 富士通とパナソニックのLSI事業を統合し創設されたソシオネクストは、BS 8K試験放送に備えた8Kコーデックシリーズを出展していた(写2)。4K/60pをHEVC/H.265によりリアルタイムにエンコードできるLSI を4個搭載し、4分割した8Kを各LSIにより処理した後、同期をとり出力することで8K映像をリアルタイムにエンコードする。デコーダにはHEVC符号化に対応した8K映像を1チップでデコード処理できるLSIを搭載している。
 ヴィレッジアイランドは、NHKと共同開発した視覚的にロスレスの12G-SDI/Tico コンバータを展示していた。小型装置で従来12G-SDIを4本必要とした8K信号を一本で高画質に伝送でき、低遅延で局内や中継車などでシステムをシンプル、コンパクトに構築できる(写3)。IP化がまだ不透明な状況下、既に始まっている8K試験放送に向け、8KシステムをSDI(12G)で構築する解決策だそうだ。高い評価を受けている符号化技術Ticoの開発元のintoPix(ベルギー)は、伝送チャンネルがより厳しい環境下で高画質での素材伝送に使えるJPEG 2000による超低遅延で圧縮効率が高い伝送方式の実演もしていた。
 NHKアイテックはBS 8K試験放送をサポートする様々な機器、デバイスを中心に、安全安心の社会に貢献する様々な技術を展示していた。8Kシステムの構築をシンプル、コンパクト化するため、広帯域、高速の8K信号を従来のSDIケーブルに代り光化し接続するシステムを展示していた。光多重技術により4K/8K信号を長距離伝送も可能な光多芯(24芯)ケーブルと光コネクター”U-SDI”を使い、対応する「光多重伝送装置」、「光信号発生器」、光信号の監視確認と8K映像4Kにダウンコンバートできる「8K画像信号確認装置」、さらに「8K用小型光インタフェース装置」など様々な機器を展示していた。
 ポートランドにベースを置く日系企業Zaxelは独自開発した特徴ある技術を展示していた。被写界深度の浅い映像を補正し焦点深度を拡大する”zFocus”は人工知能とビッグデータの技術を使ったアルゴリズムを適用したもので、実際に映像を見たがディテールがはっきりし効果は大きかった。Affine変換アルゴリズムを搭載し、デジタルビデオや映画フィルムのノイズをディテールを壊すことなく取り除き自然感あるように改善するノイズ除去ソフト”Denoiser ”の実演もしていた。
 テクノマセマティカルは、独自開発で高い評価を得ているアルゴリズムDMNA を駆使した注目される符号化関連技術を出展していた。8K/4K 60p対応HEVCリアルタイムコーデックシリーズは、既に製品化しているデコーダに加え今回エンコーダを初出展した。DMNA技術を使うことにより小型化、低消費電力化し、合わせて独自画像処理技術を投入し高画質で低遅延化した。その他、4K 60pとフルHD 4ch 60pに対応するH.264リアルタイム伝送システム、30pを高画質で滑らかな120pにアップするフレームレートコンバーターさらに最大50台のタブレットにリアルタイムで映像音声を低ビットレート、低遅延、高画質で配信できる”Wifi Sync Viwer”など興味ある出展をしていた。

 測定器関係も4K/8K化、進展するファイル化、IP化に対応する機器が主流になっている。テクトロニクスはSDI、IPが混在するシステムで映像品質の解析ができ、ハイブリッドSDI/IPプロダクションワークフローの問題を解析できる測定器”Prism”を出展した。さらにデジタル放送やIPTVに対応するMPEGストリームをリアルタイムに解析できる装置、4K対応にアップグレードできHDRでの信号設定可能な波形モニター、ファイルベースの自動QCソリューション”Aurora”など多彩な展示をしていた。
 リーダー電子は4KトータルソリューションとしてHDR/12G/IP関連技術をメインに展示した。HDRについてHLG、PQおよびS-Log3方式に対応した波形のスケール表示や映像の中でHDR部分を強調するゾーン表示により輝度分布を確認できる。12G-SDI対応についてはアイパターンやジッタ測定も行うことができ、IP化の展開に備えNMI式IP伝送に対応した信号の映像、波形などの確認ができる。またHDR/IP対応オプション付き4K 波形モニターや4入力の4Kに対応するラスタライザーも展示していた。
 日本コントロールシステムはNHKの協力で開発したフルスペック8K/120p、RGB444に対応する小型のアナライザーを出展した。小型ながら多くの機能を一つにまとめたオールインワン解析装置で、ベースとなる波形モニターだけでなく、8K カメラでの撮影時に必須のフォーカスアシスト、U-SDI/3G-SDI信号変換機能、12G-SD対応プロトコルアナライザやパターンジェネレータ機能を備えている(写4)。既に8K制作、送出現場で使われており、今後の8K本放送や2020年の東京五輪において活用が期待される。また8K対応の非圧縮レコーダも展示していたが、15.6”型WXGAタッチパネルを装備しフルスペック8K信号を非圧縮で記録再生できる。
映像技術ジャーナリスト(Ph.D.)石田武久

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