Special写0:タイトルバック:”Quantel Rio 8K”(SAM)

2016.12.8 UP

私が見た"Inter BEE 2016"動向(その3)コンテンツ制作系

写1:4Kスイッチャー” Korona KFrame S”(GV)
写1:4Kスイッチャー” Korona KFrame S”(GV)
写2:4K HDR制作系の実演(ソニー)
写2:4K HDR制作系の実演(ソニー)
写3:8Kメモリーレコーダーとモニター(パナソニック)
写3:8Kメモリーレコーダーとモニター(パナソニック)
写4:多彩な機器による8Kワークフロー(アストロデザイン)
写4:多彩な機器による8Kワークフロー(アストロデザイン)

 (その1)では全体概要とコンファレンスについて、(その2)では多種多彩な4K/8Kカメラについて紹介した。(その3)では、本格化する4K、8K時代を迎え、ファイル化やIP化が進む高品質のコンテンツ制作系について概要を紹介する。
 SAMは8K対応のカラーグレーディング&フィニッシングシステム”Quantel Rio 8K”とスポーツ中継に最適なハイライトリプレイシステム”LiveTouch”をメインに出展していた。前者は既に8K/60p対応になっているが、今回さらに機能アップしPQおよびHLG両HDR方式対応になり、85”モニター(シャープ製)に映像を表示しつつリアルタイムでの8K HDRプロダクションの実演をしていた(写0:タイトルバック)。同機は既にNHKやソニーPCLなどにて8K、4Kコンテンツ制作で活躍している。後者は容易な操作でシーンを選択、各クリップへアクセスし、編集ツールとの連携によりハイライト映像を中継中や最後にすぐリプレイ、送出することができる。その他、コンテンツに生成した署名を抽出し比較分析し、同一性を確認し各段階での遅延量、信号の有無などを自動モニタリングできる”Media Biometrics”も展示していた。
 グラスバレーはNEWS & Digital Mediaコーナーで、新バージョンの”EDIUS Workgroup 8.3”を搭載し4K HDRにも対応し高精度のマスク処理や美しいスルーモーションも可能なハイエンドのノンリニア編集システム”HDWS-4K2 Elite”およびHD対応の簡易型”REXCEED X4000 G2”を展示していた。LIVE Production コーナーでは4Kカメラ”LDX86N”を核にしたライブ中継システムを公開していたが、従来のKayakと同等の設置スペースで 4K制作に対応することが可能なミドルレンジの3Gスイッチャーフレームの新たなラインナップとして“GV Korona K-Frame S”公開した(写1)。IPソリューションコーナーではリアルタイムでIPプロセッシングとルーティングが可能なSDIとIP両方に対応する次世代ルーティングプラットフォーム”GV Node”を展示していた。さらにユーザー、プラグインメーカーやハードメーカーとコラボレーションし「EDIUS 8の最新機能とHDR編集について」など、EDIUSをより便利にもっと快適に活用できる情報やテクニックに関するセミナーも開いていた。
 ソニーは効率的なワークフローに向け、4K HDRとHD SDRのシステムを統合し4K/HDの同時制作を行うソリューションを提案し、HLG/PQおよびHD/SDRに変換するHDRコンバーター"HDRC-4000”などを展示し(写2)、さらにスカパーJSATと共同で行った4K HDR/HD SDRのCSによる同時ライブ伝送実験も公開していた。IP化については、信号をIP化し光ケーブルで伝送しシステム全体をネットワーク上で一元管理する効率的で付加価値高い”IP Live Production System”を提案し、IP制作系のインフラであるNMIを装備したカメラやマルチフォーマット対応スイッチャーやマルチポートサーバーシステムなどを展示していた。またブース内のオールIPのサブスタジオと同社が提唱するIP Live賛同社のブースを接続しIP Live対応機器を連携する実証実験をしていた。
 パナソニックも時流に沿い4K、8K制作とIP化によるワークフローを支える各種機器展示とソリューションを出展していた。注目は今年夏から始まったBSによる4K/8K試験放送の展開に応える4K/8K対応のレコーダーである(写3)。8K用機種はAVC-ULTRA(Intra 4:2:2)フォーマットで、8K-YPbPr、59.94pで、入出力系共12G-SDI×4を備えexpressP2およびmicroP2カードに記録する。HD同時記録や4KおよびHDの同時出力も行える。また本格的8Kコンテンツ制作に応え8K字幕送出装置も展示していた。スイッチャーについては現行機種4ME/3MEタイプ”AV-HS7300”の上位モデルとして、4Kおよび2Kの大規模入出力に対応する大型機種”AV-HS8300”の試作モデルを出展した。HDR対応4K モードで最大80入力/40 出力、4ME+4DSK が可能であり、従来の2K運用と同等の機能、性能を高速4K処理技術で実現している。IP関連については、AIMSアライアンスが世界的に参加者が増えていることを反映し今年AIMS Japanが発足したが、そのチェアマンを同社が受け積極的に活動している。IP関係出展物はIP対応のスイッチャーなどもあったが、注目はケーブルテレビ向けフルIP多チャンネル送出システムである。
 朋栄はコンテンツ制作や配信に関し多種多彩な機器、システムを展示、公開していた。12G-SDI対応のルーティングスイッチャー”MFR-4000”は、72×72のクロスポイントを持ち4Kシステムでもケーブル量を大幅に削減できコンパクトなシステム構築が可能になる。プロセッサー”FA-9600”も12G-SDIに対応し、標準でHD 2系統を扱えHDR/WCGの各種変換も可能で、オプションによりアップ/ダウン/クロスコンバート、4K対応、12G/3G変換など各種機能が追加できる。Video over IPに関しては、参考出品ながら各種IPストリームの相互変換に対応するIPゲートウェイやIP-IP変換モジュールが展示されていた。8K関連ではフルスペックおよびDGに対応するテスト信号発生器、8K-DG信号のHDR/SDR変換と色域変換が可能なコンバーター、さらに8K/4K/HDに対応する字幕システム”NeON-SHV”を展示していた。また4K高速度カメラと組み合わせた4K切り出し装置に加え、4K 2SIで動作可能な3D DVE、追加オプションと新操作パネルを追加したスイッチャー”HVS-2000” で構成するシステムを公開していた。その他、1本で6TBの大容量記録可能なLTO-7を採用し、MPEG-2、AVC-Intra、DNxHD、DVCPRO、ProResのマルチコーデックに対応したアーカイブレコーダー”LTR-200HS7”、さらに10Gbs高速インターフェースにより4Kデータのアーカイブやバックアップ向きのLTOサーバも展示していた。
 アストロデザインは8Kワークフローシステムを展示していた(写4)。核となる8K SSDレコーダー“HR-7518” は8K-DG、8Kフル解像度(60p)の圧縮/非圧縮記録が可能な上、モジュール拡張によりフルスペックの8K 444 120pの記録も可能である。HQXコーデックのためグラスバレーの8Kノンリニア編集ターンキーシステムでそのまま編集できる。その他、8KカラーグレーディングシステムやHLG、PQ、S-Log、Canon Logが選択できHDR映像の制作に使う4K波形モニターも展示されていた。
 計測技術研究所は4K/8K関連技術をメインに出展していた。注目は8Kレコーディングシステム”KRS-8K”で、AJAのレコーダー”Ki Pro Ultra”を4台同期運転させ、8K/59.94信号をProResコーデックで記録再生できる。編集系へのデータ移行が容易に行え、HD/4Kマルチチャンネルに対応し8Kの収録再生だけでなく4KやHDの映像ソースにも活用できる。8K DGに対応する非圧縮ビデオサーバー”UDR-XL40”を2台同期運転するとフルスペック8Kへも対応できる。
 ブラックマジックデザインの注目はHD/U HDに対応する高品質のスタンダードコンバーター”Teranex AV”である。高度なアルゴリズムを搭載しフレーム間でスーパーコンピューター並みの演算処理を行い、視覚では識別できない高品質の変換を行うことができる。フル10-bitのイメージ処理で極めて高品質な上、全てのフォーマットおよびフレームレートのアップ/ダウン/クロス/スタンダードコンバージョンが可能である。また、4K撮影をサポートする“Video Assist”は、あらゆるSDI/HDMI対応カメラに簡単に追加でき、放送品質のモニタリングと収録機能を持っている。カメラのスクリーンより大きい7インチの明るいモニターを搭載し、ショットのフレーミングや完璧なフォーカス合わせが容易にできる。最新バージョンの”DaVinci Resolve”はノンリニア編集系との融合、VFXツールFusionとの連携、HDRグレーディングの追加、またフィルムグレインなどのエフェクト機能などが追加された。
 VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など新しい映像表現を公開するIGNETIONエリアでは様々な斬新な試みが見られた。その中でNHKは大きなテレビ画面をタブレット端末のカメラを通して覗くと、テレビの中のキャラクターが画面の外に出てくるような映像表現が体験できた。テレビとタブレットはネット接続不要で既存の機器がそのまま使える。高精度の同期技術とテレビ位置推定技術を用いてテレビ映像にAR技術を適用し画面を合成しているのだそうだ。デジタルサイネージやパブリックビューイング、博物館などの体験型展示など様々な応用が期待される。
映像技術ジャーナリスト(Ph.D.)石田武久

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