Special写0:タイトルバック”EOS-C700”(キヤノン)

2016.12.6 UP

私が見た"Inter BEE 2016"動向(その2)テレビカメラ編

写1:新製品の4K8倍速カメラ”HDC-4800”(ソニー)
写1:新製品の4K8倍速カメラ”HDC-4800”(ソニー)
写2:ニューモデルの”VAICAM LT”とVARICAM Pure”(パナソニック)
写2:ニューモデルの”VAICAM LT”とVARICAM Pure”(パナソニック)
写3:小型の医療用8Kカメラ(池上通信機)
写3:小型の医療用8Kカメラ(池上通信機)
写4:リオでも活躍の8Kカメラ”SK-UHD8060B”(日立国際電気)
写4:リオでも活躍の8Kカメラ”SK-UHD8060B”(日立国際電気)

 (その1)では今大会の全体状況とイベント関係の概略を紹介した。(その2)では展示会の華でもあり、映像の高精細度化やHDR、広色域、HFRと言った高画質化、さらにファイル化、IP化が進むインフラ、ネット環境に適応すべく高機能化するテレビカメラの動向について紹介してみたい。
 キヤノンはカメラ系主力のEOSシリーズのニューモデルとしてハイエンドの”EOS-C700“を展示した(写0:タイトルバック)。自社開発のSuper35mm相当4.5K CMOSを採用、最大有効画素数は(4512×2376)で、シネマ系フル4K(4096×2160)および放送系UHD(3840×2160)の両方をカバーする。映像エンジンDIGIC DV5”を3基搭載し4K 60p/50pを内蔵CFast2.0カードにXF-AVCに加えProResで記録可能になり、ドッカブルタイプのRAWレコーダーを装着すると最大4K 120p収録もでき高精細かつ滑らかなスロー映像も得られる。さらに従来のCanon Logに加え最大15ストップの広ダイナミックレンジと簡易なグレーディング可能なCanon Log3を備え、トレンドのHDR映像制作に対応する。業務用デジタルビデオカメラとしては、小型コンパクトな4Kカムコーダの”XC-15”と ”XC-10”が展示されていた。両機種とも従来のHDモデルより大判の1”サイズのCMOSを搭載し、低照度時のノイズ低減、S/N向上に加えボケ味を活かした映像表現が可能である。また高画質エンジンDIGIC DV5と4K対応光学ズームレンズを搭載し、高画質とハンドリングのバランスに配慮しXF-AVCフォーマットで記録する。
 ソニーは「4K/8K、HDR、HFRと言った高付加価値映像」を掲げ豊富なラインナップのカメラを出展した。注目は2/3型3板式CMOSを搭載しHDR、BT.2020に対応しB4マウントの新モデルの4K 8倍速のマルチフォーマットカメラ”HDC-4800”(写1)である。さらに従来機のHDC-4300をコンパクトにしプロセッサーユニット”BPU-4800”と組み合わせ”4Kで2倍、HDでは8倍速のハイフレームレート撮影が可能な小型4Kマルチパーパスカメラ”HDC-P43”も注目された。その他、2/3型センサーを採用し多彩なB4レンズが使える4K対応ショルダー型XDCAMメモリーカムコーダ”PXW-Z450”、 大判Super35mm CMOSセンサーを採用し映画やCM撮影向きのレンズ交換型で従来機種”FS7”を機能アップした”FS7II”、また従来からの4K制作の主力機”PMW-F55”とコンパクトモデル”F5”と多彩だった。
 パナソニックは、4K制作で実績高いカメラレコーダーVARICAMシリーズのニューモデル”VARICAM LT”を出展した。従来機と同じSuper35mmセンサーを採用し、広ダイナミックレンジ、広色域、高感度を実現し、暗い照明下でもクリアな撮影ができる。従来より小型軽量になりジンバルやドローンに搭載したり幅広いスタイルで撮影しやすくなった。またCodexのRawレコーダーを装填した非圧縮による4K/120p収録を可能にした”VARICAM Pure”も初登場した(写2)。その他には、昨年デビューし高い実績を上げているレンズ一体型ハンドヘルド4Kカメラレコーダー”AG-DVX200”と、B4マウントでHDカメラと同じ運用性と機動性がある4Kスタジオカメラ”AK-UC3000”に加え、新製品の4Kマルチパーパスカメラ”AK-UB300”も出ていた。同機は新世代大判サイズの単板MOS(1100万画素)を採用し、外付けアダプターなしで2/3型レンズが使用できる。ボックスタイプで用途を考えホワイトバランス自動追尾やゲイン制御機能を備えている。業務用の廉価な4Kメモリーカードカメラレコーダー”AG-UX180”は有効1”サイズのMOSセンサーを搭載し、画素数は4K/24pの時約946万画素、UHD/60p,50p時約879万画素で、SDメモリーカードスロットを2基備え、リレー/サイマル/バックアップ記録に加えUHD/FHDデュアルコーデック記録も可能である。従来のハンドヘルドHDカメラの機動性、操作性を継承しながら4Kへの対応を実現し、ライカの高性能”DICOMAR”ズームレンズを搭載し、広角24mmから望遠480mmまでをカバーする。
 創立70周年を迎えた池上通信機は急速に展開しつつある4K、8Kソリューションをベースに、時代のトレンドであるHDR、12G、IP化に対する取り組みと多彩な先端技術を展示した。新製品の4Kカメラ”UHK-430“は、2/3”4KCMOS 3板を搭載、B4レンズマウントを採用し、従来のHDカメラと変わらぬ運用性を確保し、スタジオや中継での4K映像制作が可能になった。HLG方式 HDRに対応し暗部から明部まで広ダイナミックレンジと広色域の豊な色彩表現が可能である。40Gbpsの光トランシーバを搭載しカメラ/CCU間の超広帯域伝送を実現しCCUを軽量化し、4K/HDのサイマル運用も可能である。また8Kカメラ”SHK-810”は3300万画素Super35mmCMOS単板センサーDG方式を採用し、従来機種より大幅に小型化され、カメラ本体とCCU間は光複合ケーブルで接続し、フォーカスアシストやレンズ色収差補正などの機能も有しており、CCUからは8K/4K/HDの出力が可能で様々な場で運用できる。同カメラはこの夏のリオオリンピックなどでも活躍している。これとは別に医療応用向けに開発した8K小型カメラ(写3)が医療用ロボットに搭載された実験情景と、撮影された3D映像が裸眼式と眼鏡式両方のモニターで公開していた。 
 日立国際電気は8K カメラとして2.5"3300万画素単板CMOSを搭載しHDRや広色域にも対応し、PLマウントハンディ型”SK-UHD8060B”を出展した(写4)。映画用や市販の4Kレンズも使え、SSD RAW収録系はドッカブル構造で分離でき従来困難だった環境でも使えるようになった。光伝送ユニットとCCUは現行HDカメラと同様に光複合ケーブルで接続され、CCUは1.5G-SDIと3G-SDI(2系統)を備え8Kと4K/HDの同時出力も可能で、8Kのみならず4K用にも使え様々な運用形態が取れ映像制作の使い勝手が向上する。同カメラもリオにて活躍した。4Kカメラは従来機種を中継用に運用性を改善した”SK-UHD4000-EX”を出展した。これらの4Kカメラは2/3型MOSセンサーを搭載し、S/N比62dBの低ノイズと広いダイナミックレンジを確保し、B4レンズマウントを採用し既存の放送用レンズ類が利用できる上、HDカメラと同等の操作性と運用性で4K撮影できる。特にスポーツ中継で問題の感度と被写界深度の問題をクリアし、さらにHDRにも対応し明暗差の大きいスポーツ中継などに適しており、CCUは小型コンパクトで4K/HD同時出力もできHDカメラと混在使用もできる。
 朋栄は小型4Kカメラの後継機”FT-ONE-LS”を初公開した。スーパー35mm相当でフル4KCMOSを搭載し、4K時最大500fps、HD時で1300fpsの高速撮影が可能である。さらにスロー映像と共にライブ映像の同時出力可能で、また12軸カラー補正機能を持ち中継現場でも自在に色相と彩度の調整ができる。フリッカー補正機能も追加され、屋内やナイター撮影、スポーツ中継などで大いに威力を発揮しそうだ。アストロデザインは、1.7”型3300万画素単板カラーCMOSを搭載した新型8Kカメラ”AH-4801B”を展示した。駆動回路を約10cm角の筐体に収めた重量2kgの超小型Cubeモデルで、PLレンズマウントを採用し、トレンドのHDR機能を追加し中継番組や水中撮影などに適している。カメラシステムはカメラヘッドとCCUをつなぐ光ケーブル送信機および受信機、CCUからの3G-SDI×8の信号を記録するSSDレコーダーからなっている。また890万画素CMOSを採用した4Kカメラ”AH-4410A”も展示していた。
 ブラックマジックデザインは、従来機種よりさらに小型軽量化したカメラ”URSA Mini 4.6K ”シリーズをメインに出展していた。Super 35mm相当、画素数4.6K(4608×2592)センサーを搭載し、15ストップと広いダイナミックレンジで、最大60fpsの撮影が可能である。5インチ開閉式フルHDの高輝度VFを装備しハンドヘルド型で価格も安い。12G-SDI出力で2枚の内蔵CFastカードに記録し、PLおよびEFマウントが用意されている。グラスバレーは、2/3”、3板式、B4マウントという放送用カメラスタイルを踏襲し、4K/HDとも 6倍速が可能で、HDR やBT. 2020 色域にも対応する新しいモデル” LDX86N”を出展した。撮影後、映像を記録再生しすぐに見ることができるインスタントリプレイシステム “K2 Dyno ”はHDのみならず4Kも6倍速可能にあわせてIPにも対応するようになった。
映像技術ジャーナリスト Ph.D. 石田武久

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