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2015.1.21 UP

【NEWS】ディスカバリ・チャンネル創立者が定額制VODサービスの新会社 4K自主制作番組含め800本を提供開始 米国で始まる「第三次メディア革命」 5年で700万人加入目指す

キュリオシティ・プロジェクトのトップページ
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テレビ視聴者の25%の層を対象にした専門SVODサービス
テレビ視聴者の25%の層を対象にした専門SVODサービス

■著名プロデューサーとシリーズ制作契約も
 米国のVOS専門新会社キュリオシティ・プロジェクト社(Curiosity Project LLC)は、3月18日からノンフィクション専門の定額制VODサービス「CuriosityStream」を開始すると発表した。社会関連、歴史、自然、化学や紀行など、「ファクチュアル(Factual)番組」といわれる映像コンテンツを提供していく。
 キュリオシティ・プロジェクトは2014年5月に設立した新会社。創立者は、ディスカバリ・チャンネル(ディスカバリ・コミュニケーションズ社)の創立者であるジョン・エンドリック氏だ。エンドリック氏は2014年の春に、ディスカバリ・コミュニケーションズから早期引退し、キュリオシティ・プロジェクトを立ち上げた。
 開始当初から800本の番組を提供するという。BBC、NHK、Flame、TerraNoa、ZEDが制作した科学、技術、文明、ヒューマンマインド、ヒューマンネイチャーなどが集められており、8分程度のオリジナル短編番組も全体の3割程度揃えている。
 オリジナルコンテンツは、著名プロデューサーと契約をして制作していく予定。プロジェクト作品の1つ「Big Picture Earth」は、「Sunrise Earth」(ディスカバリ・チャンネルで放送したネイチャードキュメンタリ番組)の作品を監督したデビッド・コノバー氏に委託している。全20話で、4K解像度でも視聴できるという。
 サービスは月ベースの加入制で、SD(2.99ドル/月)、720HD(3.99ドル/月)、1080HD(5.99ドル/月)、そして4K(9.99ドル/月)と、コンテンツ視聴環境によって価格が変わる。加入者はインターネット対応TVから、PC、モバイルデバイス、またはRokuやGoogleクロームキャストを通して視聴できる。4K視聴の要求仕様はまだ公表されていない。
 キュリオシティ・プロジェクト社では、今後5年間でサービス加入者数が500~700万人までに成長できることを期待しているという。 

■「第三次メディア革命を待っていた」
 ヘンドリックス氏は公式リリース("Letter from Founder"、下記リンク参照)で、CuriosityStreamの開設のタイミングをこの時期としたことについて「NetflixやAmazonなどのオンラインビデオサービス事業者による独自コンテンツ制作での成功と、視聴者の視聴動向を見て判断した」とコメントしている。
 CBS、NBCではIPサイマルキャストを開始し、HBOでも独自のストリーミングサービスで、直接視聴者にリーチしようとしている。そして衛星事業者Dishでも新しく、OTTサービスでテレビ番組を提供開始する。ヘンドリックス氏は、この動きを「第三次メディア革命」(the 3rd Revolutionary Step)と呼んでいる。
 それによると、「第一次メディア革命」は、1940年、一般家庭にテレビ放送が始まったことを指し、「第二次メディア革命」では、HBO(Home Box Office)が初めて自主制作コンテンツを揃えた専門チャンネルを展開し、続いてESPN(スポーツ)、CNN(ニュース)、ディスカバリ(ドキュメンタリ)が専門番組チャンネルの市場を広げていく段階を指している。
 そして見たいとき、オンデマンドでテレビ番組が観られる現在を「第三次メディア革命」としている。
 ヘンドリックス氏は、この第三次メディア革命の時代は「視聴率重視となりがちなテレビメディアでは実現が難しい比較的少数向けの専門的なサービスも可能になる」という。新会社は、宇宙の謎や地球上の超自然なものを知りたいという探究心を持つ人たちを対象にしているが、この層はテレビ視聴者の約25%といわれる。ヘンドリックス氏は、「長らく第三のメディア革命を利用できるタイミングを待っていた」という。

■実力者が名を連ねる創設メンバー 制作スタジオも自前
 同社の代表には、エリザベス•ヘンドリックスノース女史(ヘンドリックス氏の実娘)が就き、上級副社長にピーター・ノース氏(ヘンドリックス氏の義息)が、役員としてコンテンツ制作管理担当に、ショナルジオグラフィックで役員であり撮影現場監督を務めていたスティーブ・バーンズ氏、チーフ・キュレーター には、ABC Newsで様々な大事件を第一線でレポートしていた特派員のリチャード・サーゲイ氏、オリジナル番組のエグゼクティブ・プロデューサーに、ディスカバリやナショナルジオグラフィックスといったファクタル番組で脚本や監督を務め、過去に多数の賞を受賞しているロブ・バーク氏など、錚々たる人物が揃う。
 諮問委員には、デトロイトエッジセンター長で南カリフォルニア大学の客員研究員/顧問のジョン•シーリー•ブラウン氏、インターネットの父と呼ばれる、グーグルの副社長兼チーフインターネットエバンジェリストのヴィントン・サーフ博士のほか、超弦理論の創始者の一人と言われるミチオ・カク博士やナノテックの会長ジム・フィリップス氏など、過去にディスカバリ・チャンネル番組に関わった研究者や様々な業界著名人が並ぶ。
 また、CuriosityStreamサービスとコンテンツを制作するスタジオ(Curiosity Studio)も自社で運用している。 
 このように多くの専門家から賛同を得て、ファクチュアルな自主コンテンツを強化する姿勢を整えている。

■毎年成長を続けるSVOD市場、レンタルの売り上げを越える
 米国の調査会社SNLケーガンによると、米国での2014年でのブロードバンドサービスのみの加入者数(有料TVの非加入世帯数)は、2年前から16%増加して約1060万世帯になった。また、デジタルエンターテインメント・グループ(DEG)からの市場報告データでは、縮小するDVDレンタル事業に反してSVODは年ごとに速やかに成長しており、総合売上でも2014年中にはレンタル事業の売上を超えている。
(ザッカ・メッカ 山下香欧)

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