【Inter BEE 2014】エリクソン 4KTVサービス配信「TV Anywhere」を提案 正規パートナー マウビックのブースで4K番組配信デモを実施

2014.11.18 UP

TV Anywhereにより異なるデバイスに同じコンテンツを送れることを示している(MWC)

TV Anywhereにより異なるデバイスに同じコンテンツを送れることを示している(MWC)

MWCのエリクソンブースでは、4K映像によるTV Anywhereの実演もなされた

MWCのエリクソンブースでは、4K映像によるTV Anywhereの実演もなされた

TV Anywhereを発表するエリクソンのハンス・ベストベリCEO

TV Anywhereを発表するエリクソンのハンス・ベストベリCEO

活況を呈す巨大なエリクソンブース(MWC)

活況を呈す巨大なエリクソンブース(MWC)

 エリクソン・ジャパンは、11月19日(水)から21日(金)までの3日間、千葉・幕張メッセで開催されるInterBEE 2014のマウビックブース(ブース番号:5311)に参加し、同社のビデオ配信ソリューションや、4K映像コンテンツ配信などについて、デモを行う。

■世界が注目するエリクソンの「TV Anywhere」
 エリクソンが「TV Anywhere」を発表して注目を浴びたのは、今年2月にスペイン・バルセロナで開催された、Mobile World Congress(MWC)でのことだ。居間のテレビでも、スマートフォンでも同じコンテンツを視聴できる、というものだ。これまで、何度も語られてきたサービスだが、放送事業者やPC企業のコンセプトではなく、通信機器事業者の製品として登場した、という部分が新しい。
 「TV Anywhere」は、テレビ番組を、ケーブル局のサーバーで録画し、指定の機器に再生画像を送ることができるもの。同様の構想はすでに何年も前からあるが、通信機器事業者が装置(システム)を提供することと、局側のサーバーで録画するという点で大きく異なる。視聴者は、スマートフォンやモバイルタブレットなどを視聴デバイスとすることで、受像機の持ち出しも可能になる。現在放送中のコンテンツに対してばかりではなく、録画コンテンツも同様に扱われる。
 また、これまでの「どこでも」サービスの多くは、視聴者宅のSTBで録画し、ここから視聴者の出先にインターネット経由でコンテンツを送るように作られていた。受信した後は、あくまでも利用者が行う1対1の通信、という形を取っている。STB内のハードディスクに録画された時点でコンテンツは私的利用、として切り分けていた。

■米アズキ・システムの技術を活用
 今回、2月に発表したエリクソンの「TV Anywhere」では、録画はヘッドエンド(局)側で行う。この考え方は従来からもあった。しかし、従来は、ヘッドエンド側は容量を貸しているのであり、コンテンツの録画は視聴者の私的利用、ということだった。今回の「TV Anywhereでは、それを一歩進め、「複数人が同じコンテンツを録画しても、ファイルは一つ」としている。これで、記憶装置に掛けるコストも通信コストも低下させられるというのだ。
 TV Anywhere に関する開発を行って来たのは、米アズキ・システムで、今年2月にエリクソンに買収されている。アズキ・システムの担当者は「権利処理の方法が変わることは判っている。しかし、各視聴者用に記憶容量を持つ方が無駄だ。コンテンツ保有者も現実的になってきている」と軽いシステムで価格低下を図り、より視聴回数を増やした方が、全体としての利益になるという考え方を強調している。
 発表の会場で、エリクソンのハンス・ベストベリCEOは、筆者の質問に「エリクソンの従来の顧客とは異なる顧客開拓が必要になる」と答え、放送業界に積極的にアプローチすると述べた。

■日本での展開へ向け準備が進行中
 今回、そのTV Anywhereが、日本でも紹介されることになる。具体的には、4Kの画像伝送のデモを実施する予定だ。放送配信プラットフォームから映像処理装置まで、自社で取りそろえており、コーデックもデモするという。
 同社ではすでに、日本の正規パートナーとして、住商グループのシステムインテグレーターSCSKやマウビックと契約をしているほか、ソリューションや必要な要件ごとに、パートナーシップを組んでいくという。
 エリクソン・ジャパン株式会社事業開発本部メディアソリューション担当の小暮氏に、日本での展開などについて、話を聞いた。
 日本での「TV Anywhere」の展開について、小暮氏は次の3点を上げた。
 (1)従来のテレビ(地上波、BS、ケーブルなど)と同様の「品質」をTV Anywhereで実現すること。
 (2)さらに、従来のテレビにはない視聴状況の監視分析を可能とすること。
 (3)日本の放送やネットワーク環境に最適化したソリューションを提供すること。

■テレビと同等の品質をネットで提供 放送規格・日本語への対応も実施
 (1)の「品質」について、小暮氏は次のように説明する。
 「電源を入れ、リモコンのチャンネルボタンを押すと瞬時に番組をみることができる。このような操作感とスピード感をTV Anywhereで実現する」という。また、「簡単に見たいコンテンツにアクセスでき、選択したとたんにコンテンツが表示され、途切れることなく最後まで視聴できる環境を提供することが重要」と、品質重視を上げている。
 また、(2)の「視聴状況の監視分析」については、既存のテレビの視聴率との比較で、次のように説明する。「従来のテレビでは、第三者のリサーチに基づく『視聴率』のみが全て。ネットワークを介したTV Anywhereでは、具体的にどこの誰がどのコンテンツ(番組)をどのくらいの長さ見たか、もしくは、視聴者からのフィードバックを直接もらうことも可能となる」という。
 さらに「視聴者のプロファイル(年齢、性別、趣味など)を登録すれば、その人にマッチしたCMを意図的に放送配信することも可能。これにより、CM費用の評価方法も変わってくる。集められた情報を分析し、別のマーケティングに役立てることも可能」とし、視聴動向をもとにした新たな展開についても示唆する。
 最後の「日本の放送やネットワーク環境に最適化したソリューション」については、国内数社とのパートナーシップを通じ、「自社のソリューションを、日本固有の技術運用要件(ARIB仕様、IPTV-Forum仕様、もしくは通信事業法など)に適応し、さらに、視聴デバイスとなるタブレットPCやスマートフォンのアプリのユーザインタフェースの日本語化を対応していく」という。

■世界的スケールでソリューションを展開
 小暮氏は最後に「コンテンツ制作、映像素材伝送、放送、通信、コンテンツ配信全てにおいてエンドトゥーエンドでソリューションを持ち、映像に関するエコシステムを実現する」とし、他社の同様のサービスは「利用頻度、収益性、オペレーションも含めたコストなどに置いて壁にぶつかっている状況」であるが、エリクソンとして「日本だけでなく海外でも同じ状況に陥っている。エリクソンは全世界スケールでソリューションを展開する実績と経験を日本で展開する準備ができており、お客様ごとに異なるご要求に対応していく」と強い意志を表明した。
 
【マウビック】(エリクソン 正規パートナー)
本社住所:静岡県浜松市東区小池町408
URL:http://www.moubic.com
映像・放送関連機材部門 /ホール5 /5311

TV Anywhereにより異なるデバイスに同じコンテンツを送れることを示している(MWC)

TV Anywhereにより異なるデバイスに同じコンテンツを送れることを示している(MWC)

MWCのエリクソンブースでは、4K映像によるTV Anywhereの実演もなされた

MWCのエリクソンブースでは、4K映像によるTV Anywhereの実演もなされた

TV Anywhereを発表するエリクソンのハンス・ベストベリCEO

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活況を呈す巨大なエリクソンブース(MWC)

活況を呈す巨大なエリクソンブース(MWC)

#interbee2019

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